播磨の牡蠣小屋を攻略せよ!これで貴方も牡蠣奉行上級者〜住栄丸

播磨の牡蠣小屋を攻略せよ!これで貴方も牡蠣奉行上級者〜住栄丸

更新日:2017/12/14 16:10

津田 泰輔のプロフィール写真 津田 泰輔
近年、都心でも店舗が増えているオイスターバー。でもせっかく新鮮な牡蠣を食べるのなら産地に赴いて採れたての物を頂きたいもの。そんな貴方にはぜひ産地の牡蠣小屋を訪れて欲しい。新鮮な牡蠣を炭火の網の上に自分で焼いて食す。これこそ食の醍醐味!
近年、良質の牡蠣が水揚げされると注目を浴びている兵庫県の播磨の牡蠣。かき日本一決定戦で第3位にも選ばれた室津港の住栄丸で、牡蠣小屋を楽しむための攻略法を伝授したい。

美味しさの条件がそろった播磨灘の牡蠣

美味しさの条件がそろった播磨灘の牡蠣

写真:津田 泰輔

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室津港を含む播磨灘一帯で牡蠣の養殖が盛んになった理由のひとつに、海水に養分が流れやすい地形にある。播磨灘には千種川と揖保川という2つの大きな川が流れ込み、この川は兵庫県中部の豊かな自然の残る山岳地帯を源流として流れてくる。山や森などの自然の栄養素が川に溶け出し、それが海へと運ばれてくるのだ。

また海岸線からすぐに山々が続き、自然の森が広がっている。人の手が入りにくい地形だからこそ自然の恵みが豊富に得られるのだろう。
海のミルクと呼ばれる豊富な栄養を含む牡蠣は山や森の恵みによって育まれてきたのだ。

美味しさの条件がそろった播磨灘の牡蠣

写真:津田 泰輔

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牡蠣は1日に400リットルもの水を濾過すると言われている。濾過する際に海水に含まれる養分を吸収して育っていくので、養分が多く含まれる海水ほど大きな身をつけて成長する。

瀬戸内海には元々多くの川が流れ込み、川を通して陸地の土壌から多くの養分が運ばれてきた。一方で生活用水も多く流れ込み、その養分が増えすぎるとプランクトンが大発生し、赤潮などの弊害も引き起こす。
昔の社会の教科書で瀬戸内海といえば赤潮と書いてあったと思うが、最近は赤潮と言う言葉自体を聞く事がない。生活排水が綺麗になったこともあるのだろうが、瀬戸内海で牡蠣の生産が盛んになったことで海が浄化されたと言う説もあるのだ。
汚れた海を牡蠣の養殖で蘇らせ、地元も牡蠣によって活気が戻っていく。新しい環境サイクルが瀬戸内に出来上がりつつある。

牡蠣小屋で食す絶品焼き牡蠣

牡蠣小屋で食す絶品焼き牡蠣

写真:津田 泰輔

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牡蠣のウンチクはこれぐらいにして、早速牡蠣小屋で食す絶品焼き牡蠣をいただこう。「住栄丸」は90分入れ替え制をとっており、時間が来ると炭火の上に網が置かれた席に案内してくれる。要はバーベキューの牡蠣版といったところだ。

牡蠣小屋で食す絶品焼き牡蠣

写真:津田 泰輔

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テーブルの上には醤油とポン酢が調味料として置かれるのみ。しばらくするとバケツに山積みされた牡蠣を持ってきてもらえるので、後はひたすら網の上に焼いていく。バケツの牡蠣が無くなったらまた次のバケツを持ってきてくれるが、基本的に食材は牡蠣のみ。ただし、一般的に食材持込OKの場所も多く、「住栄丸」でも野菜やごはん、調味料に限っては持ち込み自由となっている。

牡蠣以外のサイドメニューとして、カキフライや酢牡蠣なども注文することができるのだが、こちらは別料金となっているのでご注意を。

牡蠣小屋は戦場だ!

牡蠣小屋は戦場だ!

写真:津田 泰輔

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牡蠣の焼き方にはコツがある。
まずはテーブルにある手袋を左手に装着し、右手にはトングを持とう。手袋は元々片手分しか用意されていないので、パーティ全員に装備して焼き奉行だけトングを右手に装備。

バケツに山盛りになった牡蠣を炭火の上に並べるのだが、まずは牡蠣の殻が平の側を下にして焼こう。時間は約2〜3分。ぐつぐつと中の汁が溢れて来たら今度は反対側にひっくり返す。牡蠣の貝柱が平側についているのでここでしっかり焼いていないと実がはがれ難くなってしまう。ひっくり返す時は熱い汁がこぼれるので火傷に注意しよう。
反対側も2〜3分焼いたら食べ頃。備え付けのヘラを使ってパカっと開いて蒸し焼きにされたぷりぷりの牡蠣の身が出てくる。

焼く際に気をつけないといけないのが、牡蠣は爆発するということ。焼いていると中の空気が急激に上昇して水蒸気爆発を起こすことがある。中の熱い汁が飛び散り、灰を巻き上げるため洋服や荷物は必ず汚れることを覚悟して行こう。
しかも爆発を注意しなければならないのは自分の網の上だけではなく、隣のテーブルから奇襲攻撃されることもある。爆発を恐れて牡蠣を放置していると焼きすぎて水分が飛んでしまうし、慌てて生焼けで食べてしまうと牡蠣にあたる危険性もある。周囲からの攻撃に耐えながらいかに手際よく焼き上げていけるかが、牡蠣奉行上級者へのポイントだ。

飽きてきたらバリエーションを!

飽きてきたらバリエーションを!

写真:津田 泰輔

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焼き牡蠣は何もつけずに食べてもほんのり自然の塩味がついていて美味しいのだが、テーブルのポン酢と醤油を少したらせばまた少し風味が変わって違う味を楽しめる。
それでも30個ぐらい食べようと思うと味に飽きてくることもあるだろう。
そもそも牡蠣小屋はある程度の持ち込みはOKなのだから、バーベキューのように食材や調味料を持ち込まない手は無い。
あまりお腹の膨れる食材を持ってきては牡蠣も食べれないので、オススメのトッピングを紹介しよう。

まずは、きざみネギにもみじおろし。もみじおろしはチューブに入ったものが売られているのでこれが便利だ。牡蠣をひっくり返して火が通ってきたら、平たい側の殻を外す。その上にネギともみじおろしを乗せ、備え付けのポン酢を適量かければ完成。すっきりした味になってちょっと飽きてきたところに良いアクセントになる。

飽きてきたらバリエーションを!

写真:津田 泰輔

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次は牡蠣バター。
こちらも殻を開いてバターを適量投入。ぐつぐつとバターが煮えてきたら出来上がり。牡蠣汁とバターの旨みが合わさって、これは間違いない美味しさ。ちょこっと醤油を垂らしても良い。牡蠣を開く際にできるだけ牡蠣汁をこぼさないように注意しよう。

バターのかわりにお酒を投入するのもオススメ。牡蠣の酒蒸しが出来上がるのだが、牡蠣の殻を杯に汁をすすれば、もう熱燗のを堪能しているかのよう。くれぐれも火傷と飲酒運転には注意しよう。

飽きてきたらバリエーションを!

写真:津田 泰輔

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最後はちょっと上級者向け。アルミホイルでお皿を作って、充分に焼いた牡蠣を投入。そこにオリーブオイルをたっぷりかけて、にんにくチップに鷹の爪を投入。仕上げにパセリやバジルをぱらっとかけて少し煮込めば、簡易アヒージョの出来上がり。
そんなに高い食材は必要ないので、みんなでワイワイ言いながらアレンジして作ってみてはいかがだろう。

牡蠣の美味しさの秘密

牡蠣の美味しさの秘密

写真:津田 泰輔

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牡蠣には生食用と加熱用の二種類あるのをご存知だろうか。生食用の方が新鮮でおいしそうな気もするが、実は鮮度ではなく牡蠣が採れる海域の違いにある。

生食用は保健所が指定した海域で採れた牡蠣の事で、その海域は水質が良い沖合いであることが多い。一方加熱用は川からの栄養をたくさん含む河口付近で水揚げされることが多い。栄養を貯め込んだ牡蠣は旨みが多く身も引き締まって濃厚な味わいになる。沖合いで育てられる牡蠣は海水の栄養素が少ないかわりに、微生物や有害物質も少ないので、生で食べることができる牡蠣が出来上がる。

どちらが美味しいかは一目瞭然で、生食用の牡蠣は水分を多く含んでいるため加熱するとすぐに水分が抜けて小さくなってしまう。鍋に入れてどこに行ったか分からなくなる経験をした人も多いだろう。比べて加熱用の牡蠣は身が締まっているため熱を加えても身はプリプリした状態をキープする。味が濃いという表現もできるだろう。

だからこそ、産地で買うことができる美味しい牡蠣はほとんどが加熱用。いくら採れたてで新鮮だからといって、お土産で買って帰った牡蠣を生で食するのは辞めよう。スーパーの牡蠣とは違って熱を加えても小さくならずプリップリの身が楽しめるはず!

栄養満点!そして低カロリー

牡蠣は意外に低カロリーで1個20gでわずか12キロカロリー。牡蠣小屋の食べ放題なら20〜30個はぺろりと行けちゃうが、カロリーは気にしなくて良いレベル。まあバターを入れたりアヒージョとか作っちゃうとそっちの方がカロリー高くなっちゃうけど。

でも海のミルクと呼ばれるほど栄養素も豊富で、特にビタミンB12と亜鉛が多く含まれる。ビタミンB12は貧血に効果があると言われ、亜鉛は免疫力を高めるとも言われている。美味しく食べて栄養もたっぷり。文句もつけようのない食材なのである。

牡蠣のシーズンはは1月から4月ごろまで。12月ごろから栄養を蓄えながら4〜5月の産卵に備えて身を大きくしていくので、本当に美味しいのは3月以降だといわれている。一方で後半になればなるほど市場からなくなってしまうと言う事情も。

思い立った時が旬。貴方も牡蠣のウンチクと調理方法をマスターして、牡蠣奉行上級者として牡蠣小屋デビューしてみよう!

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掲載内容は執筆時点のものです。 2017/02/11 訪問

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