写真:藤谷 愛
地図を見る「ジェフリー・ミュージアム(Geffrye Museum)」は、17世紀から現在までのイギリスの「家」にスポットをあてたミュージアム。メジャーな博物館や美術館が目白押しのロンドンでは穴場で、人ごみを気にせず、じっくりと展示を見ることができるのが嬉しい点です。
博物館に入ると、各時代の建築様式や、間取りなどを説明したボードが展示されています。写真にあるように、間取りは断面図で説明されており、家族の居間、寝室がどのように配置されているのか?使用人のフロアは何階なのか?など、時代によって変化する様子が見て取れます。特にシャーロック・ホームズやダウントン・アビーなど、英国ドラマや映画にハマっている人には「ああ、こういう場面、あった、あった!」と想像してしまう展示です。
写真:藤谷 愛
地図を見る特に「ピリオド・ルーム」のエリアでは、異なる時代の応接間/居間(中流階級)を11部屋見ることができます。写真は1830年代の応接間(Drawing room)を再現したもの。
実は、Drawing room(ドロウイング・ルーム)というのは、Withdrawing roomを短くしたものなのですが、直訳すると「引き下がる部屋」という意味。特に上流階級では、食事の後に男性たちは喫煙室に行って煙草を吸いながら会話をしますが、女性や子供(食事の招待客も含む)たちの、食堂から“下がって”集まる部屋、ということで、この時代はドロウイング・ルームと呼ばれていたのです。インテリアからもイギリスの階級社会を見ることのできる興味深い展示群です。
写真:藤谷 愛
地図を見るミッドセンチュリーの家具が好きな方には、1960年代のリビングルームがお勧め。前述のドロウイング・ルームとは違い、ゲストというよりも家族が集い、多くの目的を持つ部屋になるので、家具も自然と機能的で、かつ心地よくシンプルなものになっていきます。北欧家具や食器などが配置されている部屋は、現在の感覚で見てもしっくりきます。
写真:藤谷 愛
地図を見る館内では絵画のコレクションに加え、家具や食器類の貴重なコレクションも見ることができます。特に椅子のコレクションは膨大で、イギリス各地のものから20世紀に特化したものまで、そのデザインの流れを見ることができます。手仕事で丁寧に仕上げた、有機的なデザインが特徴のアーツ&クラフト時代の椅子と、シンプルを美とするミッドセンチュリーの椅子とでは全く趣が異なります。
写真:藤谷 愛
地図を見るまた、1933年にハロッズで販売されていたという電気掃除機もあります。なんとこの掃除機、豪華な革張りです!掃除はしづらそうですが、デザイン的には美しいですね。
博物館では時代、アイテム、はたまた使用人などにスポットをあてた多彩な企画展を行っており、その都度それにマッチしたアイテムを展示しているので、何度訪れても楽しむことができます。
写真:藤谷 愛
地図を見る博物館自体のデザインも楽しむことができます。1998年に増築された20世紀時代の居間を展示したエリアには、斬新なデザインが施され、曲線を描かないらせん階段は必見です。
写真:藤谷 愛
地図を見る後述する、この博物館の歴史にも関係しますが、この博物館内にはチャペルがあり、その祭壇の裏側には、庭を眺めることのできる「ガーデン・リーディング・ルーム」があります。日差しが燦々と降り注ぎ、とても温かいこの通路/部屋の側壁には、これもまた温かい色合いの壁画があります。この博物館の穏やかで心地よい雰囲気を象徴するような一画です。
写真:藤谷 愛
地図を見る前述した増築エリアには、庭を見ることのできるガラス張りのカフェとミュージアムショップがあります。デザインにフューチャーしている博物館だけあって、販売しているグッズも可愛いものばかり!イギリスのデザイナーのポストカードや食器まで、ここでお土産を買うこともできますよ。
写真:藤谷 愛
地図を見る館内見学が終わったら、ぜひ裏手のお庭の見学も忘れずに。写真に見える黄色い柱の建物が、増築エリアのカフェの部分です。カフェからこのお庭を眺めることもできるのですが、実際に花やハーブの香りをお庭で楽しんでみましょう。
写真:藤谷 愛
地図を見る料理好きな人やアロマなどに興味のある方には、ハーブ園は必見です。しかし、このハーブ園で「味見」は気を付けてください。写真の赤い「警告」の札に見てとれるように、毒物も含まれます!
*冬季は閉園します
写真:藤谷 愛
地図を見るそもそも、博物館の名前である「ジェフリー」とは、金物会社の社長でもあり、ロンドン市長の経験もあったサー・ロバート・ジェフリーからとられています。彼の死後、遺産の一部で1714年に建てられたのが、この金物会社の救貧院で、1911年にロンドン市に売却。1914年に建物保護の名目と共に博物館がオープンしました。「金物会社の救貧院」という名残が、博物館前にある写真のオブジェ。1950年代には「建築的歴史的重要建造物リスト」のグレード1に登録されており、文化財としての価値も大きい博物館です。
写真:藤谷 愛
地図を見る入館は無料で、地域コミュニティーにも浸透している博物館とあって、昼間は地域の子供たちが学校のピクニックで訪れることもしばしば。自由で穏やかで美しい時間の広がる、ロンドンでも稀有な施設です。
ジェフリー・ミュージアムの裏手には、現在、ホクストン鉄道駅がありますが、その駅からのアクセスの改良や、新たなエリアの増築、改築を目指して、2018年1月7日から約2年間閉館予定となっています。小ぢんまりとしていながら、現在でも内容が大充実の博物館のさらなる飛躍は楽しみですが、1年半以上も見学ができないのは残念。2017年が現在の姿を見る最後の年になるので、ぜひ見逃すことのないように!
<ジェフリー・ミュージアムの基本情報>
住所:136 Kingsland Road, London, E2 8EA
電話番号:(+44)020-7739-9893
アクセス:ホクストンHoxton駅から徒歩2分
開館時間:毎日10:00-17:00
閉館日:バンクホリデー以外の月曜日、グッド・フライデー、12/24〜26、1/1
*「関連MEMO」にはロンドン中心地で建築やデザインを楽しめる観光スポットもご紹介しています。併せてご利用ください。
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(2024/3/28更新)
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