エーゲ海に輝く神話の世界!世界遺産の無人島「ディロス」は、太陽神アポロンの故郷

エーゲ海に輝く神話の世界!世界遺産の無人島「ディロス」は、太陽神アポロンの故郷

更新日:2017/02/15 18:05

Hiroko Ojiのプロフィール写真 Hiroko Oji ヨーロッパ一人旅愛好家
ギリシャの東に広がるエーゲ海の中央、輪を描くように浮かぶ島々をキクラデス諸島と言い、輪の中心にあるのが、ディロス島です。古くからエーゲ海の制海権を保持するための拠点として栄華を極めたのですが、紀元前に島民が虐殺され無人島に。その後、19世紀にフランスの調査団に発掘されるまで、忘れ去られた島になっていました。よって、未だ謎が多く発掘も現在進行形。そんな無人島ディロスをご紹介します。

ディロス島へは、ミコノス島から日帰りで

ディロス島へは、ミコノス島から日帰りで

写真:Hiroko Oji

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ギリシャ・エーゲ海に浮かぶ島々の中で、サントリーニ島やミコノス島は有名観光地で、宿泊施設も完備し、ゆっくり滞在が楽しめます。ところが、世界遺産にも登録されているディロス島は、紀元前1000年頃イオニア人がこの島に入植した後、古くから制海権の拠点として栄華を誇ったものの、紀元前1世紀に島民が大虐殺されて以来、歴史上から姿を消され、現在も無人島の状態のままです。そのため、島には宿泊施設はなく、ミコノス島から出る船で渡るしかありません。

ディロス島へは、ミコノス島から日帰りで

写真:Hiroko Oji

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ディロス島への船は、ミコノス島の中心地・ミコノスタウンにある青い屋根のセント・ニコラス教会そばの埠頭から出ます。

埠頭入り口にあるチケット売り場は、船が出る日だけオープン。というのは、ディロス島自体がクローズされる月曜日や、波が高く海があれている日は欠航となり、このチケット売り場も閉ざされてしまうのです。売り場には、帰りの時間も表示されています。なお、クレジットカードは使えず現金のみの取り扱い。チケットは、町の旅行会社やホテルでも購入可能ですが、割高になります。

神話のディロス島は、自然と遺跡群の宝庫

神話のディロス島は、自然と遺跡群の宝庫

写真:Hiroko Oji

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ミコノス島から約30分の船旅で到着するのは、無人島のディロス。輝くという意味を持つ「ディロス」島全体が世界遺産に登録され、自然溢れる中にひっそりと眠る遺跡群の発掘は、今でも続けられています。

ディロス島には、アポロン神殿・アルテミス神殿をはじめ、数々の神殿跡やアゴラ、古代劇場跡、大規模な貯水システム、当時の町並みに点在するいくつもの大邸宅跡などが、2000年以上もの歳月を経て、今なお残っているのです。

神話のディロス島は、自然と遺跡群の宝庫

写真:Hiroko Oji

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ギリシャ神話によると、女神レトが、全能神ゼウスの妻である女神ヘラに隠れて、ゼウスとの子である太陽神アポロンと月の女神アルテミスの双子を生んだ聖地とされています。

船を下りて、フィリップ5世の柱廊を通り、北へ向かう通路にあるのがアポロンの神殿です。隣にはアテネ人の神殿やポロス神殿が続き、さらには金庫跡が続きます。ペルシアの攻撃に備えるためのディロス同盟が結成された頃から本部がここに置かれ、同盟の金庫も置かれ、経済的に潤っていたようです。

神話のディロス島は、自然と遺跡群の宝庫

写真:Hiroko Oji

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アポロン神殿から北へ進むと、イタリア人のアゴラ跡の先に、この島で最も有名なライオン像が見えてきます。

ライオンの回廊に並ぶ5体のライオン像は、大理石製。タテガミらしきものはなく、一見ライオンとは程遠い四つ足の動物が、海側から聖域を守るように並んでいます。当初は10体近くあったそうですが、現在は5体のみで、写真のものはレプリカです。オリジナルは、島内の博物館内で保護されています。

大邸宅跡群の奥にある大規模な貯水システムと古代劇場跡

大邸宅跡群の奥にある大規模な貯水システムと古代劇場跡

写真:Hiroko Oji

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アポロン神殿の南の方に広がるのは、古代の富豪の大邸宅が点在する一帯。石造りの土台に加えて、煉瓦を積み上げた壁の一部や、神殿のような柱が残っているのもあって、当時の生活を想像しながら、古代人になったつもりで歩くのも楽しくなってきます。

中でも、クレオパトラの家や、床のモザイク画と数本の石柱が残るディオニソスの家(写真がこのお家です)、また、イルカがデザインされた美しいモザイク画が床に残るドルフィンの家、仮面の家などが観光客の人気を集めています。

大邸宅跡群の奥にある大規模な貯水システムと古代劇場跡

写真:Hiroko Oji

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邸宅の間を縫って、石畳の通路をさらに進むと、古代劇場跡へと続きます。これは、紀元前4世紀〜紀元前3世紀にかけて造られたもので、背後の丘の上からの眺めも大変素晴らしい所です。

大邸宅跡群の奥にある大規模な貯水システムと古代劇場跡

写真:Hiroko Oji

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古代劇場前には、当時の貯水システムを今に伝える設備がしっかり残されています。石を積み上げて造られており、島全体の水を賄うための大々的なシステムだったことが伝わってきます。

ディロス博物館内も必見

ディロス博物館内も必見

写真:Hiroko Oji

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船の着く港から一番奥に見えるのが、ディロス博物館。たくさんの発掘品と共に、保護のため、ライオン像のオリジナルも展示されています。

地上階のみの、がらんとした建物の中に、ほとんど頭部や手足の先がない大理石製の彫刻の数々に頭部のみの彫刻、壺や皿、壁や床のモザイク画、大理石に施されたレリーフ、装飾品などなど、たくさんの発掘品が並べられています。

なお、この島にはトイレというものは、この博物館内のみ。見学も兼ねて利用しておくことをおすすめします。

ゼウスの聖域があるキントス山山頂へ

ゼウスの聖域があるキントス山山頂へ

写真:Hiroko Oji

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平らな島の遺跡群の南東にあるキントス山は、標高110メートルの岩がゴロゴロとした小高い山。博物館のそばの色とりどりのお花が咲き乱れる道を南東に進んでいくと、だんだん上りになってきます。やがて、平坦な所に来ると、背後の岩がゴロゴロした小高い丘にイーシスの神殿が建っています。周辺にはセラピオン神殿もあり、ここからも、ディロス島はじめ周囲の島やエーゲ海の素晴らしい眺めが楽しめますので、キントス山の頂上まで行く時間がない場合は、ここまでは来てみるとよいかもしれません。

ゼウスの聖域があるキントス山山頂へ

写真:Hiroko Oji

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お時間にゆとりがあれば、さらに写真のような石段を上って行ってみて下さい。不揃いの大きな石が積まれた石段ですので、踏み外すと足をくじきかねません。足元には要注意です!

ゼウスの聖域があるキントス山山頂へ

写真:Hiroko Oji

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標高わずか110メートル程の頂上には、ガレ場のようなゼウスの聖域が広がり、ここからのエーゲ海を見渡す眺望が大変素晴らしい!近くのミコノス島も眺めながら、しばし、エーゲ海を渡ってくる風に吹かれてくださいね。

日程に余裕を持たせて

宿泊施設が一切ないディロス島へは、ミコノス島から日帰り訪問するしかありません。基本的に月曜日はディロス島自体がクローズされてしまいますので、この日を避けて日程を組んでくださいね。また、海が荒れて波が高ければ欠航、運が悪ければ3〜4日間続くこともあります。また、一日に数本の運航しかないことを考えると、見学できるのはラッキーなことかもしれません。それでも、訪問できると、美しい自然と、その中で息を潜んでいる遺跡からパワーをもらえることに違いありません。ぜひ、お天気に恵まれて、余裕のあるスケジュールでご訪問ください。ただし注意点がひとつ!帰りの船に乗り遅れると一晩この無人島で宿泊!という事態になりかねません。帰りの船の時間厳守で、楽しんできて下さい。

ミコノス島への船や飛行機のサイトをMEMOにリンクしておきますので、どうぞご利用ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/04/07 訪問

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