写真:浅井 みら野
地図を見るプラハから西へ電車で約1時間、ピルスナービール誕生の街“ピルゼン(Plzen)”に到着します。「マリオネット博物館(Museum Loutek)」は、旧市街の広場に面した場所にあり、博物館以前は貴族の邸宅として使われていました。中世の趣きが色濃く残されたこのエリア一帯は文化遺産として国に登録されているほど。訪れた際は、綺麗に横一列に並んでいる建物周辺も、建物内に入る前に見てみてくださいね。
写真:浅井 みら野
地図を見るそもそも、なぜマリオネットはチェコにとって重要になったのでしょうか…。中世の頃よりチェコでは娯楽としてマリオネットが親しまれ、18世紀には有名なマリオネット操者がいたことも歴史に残されています。街によってはマリオネット専用の劇場があるほど人気で、独自の技術や脚本が生み出されてきました。
娯楽として身近な存在だったマリオネットの立場を変えたのが第二次世界大戦。ドイツ支配下になり、言語もチェコ語からドイツ語に強制されますが、唯一マリオネットだけはチェコ語の使用が認められたのです。チェコ人のアイデンティティーを繋ぎとめる象徴となり、その歴史と文化が評価され、ユネスコにも世界無形文化遺産として登録されました。
写真:浅井 みら野
地図を見る今でもチェコ人にとってマリオネットは子供の頃に遊んだ懐かしいおもちゃであり、大切にしていきたい文化のひとつ。各家庭には、日本のリカちゃん人形のようにマリオネットがあり、簡単な舞台もあるのだとか。自分たちでオリジナルストーリーを考えて、家族の前で上演したという、温かい思い出をもつチェコ人も少なくないんですよ。
写真:浅井 みら野
地図を見るマリオネット博物館には約300体のマリオネットが展示されています。一番古いものだと、1830年代に制作。木を削って描かれた顔は、まるで本物の人間のようなリアルさです。着ている洋服も、当時を反映したデザインが多いので、中世の雰囲気を感じることができます。
博物館は3階建て。1階と2階には簡単な劇場があり、マリオネットがどのように動くのか、その様子も見ることができます。
写真:浅井 みら野
地図を見る大きさも様々なマリオネットが置かれています。よく見る30cmほどの定番サイズのものから、最大で2mを超すものまで。自分より大きいマリオネットは糸で操るのではなく、抱きかかえて操るなど、操り方もそれぞれ異なります。
写真:浅井 みら野
地図を見る人間以外にも、ドラゴンやワニにキリン、それにセイウチなど様々な動物のマリオネットもありますよ。ヨーロッパでよく見る恐ろしい顔をしたドラゴンに比べ、こちらはあどけない表情が可愛らしいですね。
チェコでは誰もが知っているマリオネットのキャラクターがいます。ひょうきんな表情で一度見たら忘れられないのが“スペイブル(Spajbl)とホルヴィーニック(Hurvinek)”の二人組。20世紀に活躍したマリオネット操者ヨゼフ・スクゥバ(Josef Skupa)が生み出し、TV番組が制作されたほど人気を集めました。
この二人組が初めて登場したのがピルゼンの劇場だったため、博物館には専用のコーナーが設けられています。昔のTVが放送されていたり、一緒に写真も撮れたりと、チェコ人が懐かしい思い出を振り返りながら盛り上がる場所になっています。
写真:浅井 みら野
地図を見る最上階は体験エリアとなっていて、誰でもマリオネットで遊ぶことができます。小さめのものから1mを超す大きいものがあり、種類も豊富です。
写真:浅井 みら野
地図を見る人形に手を入れて遊ぶぬいぐるみタイプなら紐が絡み合う心配もありませんよ。簡単なステージもありますので、即興で上演してみるのも楽しそうですね。チェコの人たちが子供時代に経験した思い出を自分たちが体験できるのも、ここならでは。
マリオネットだけを扱った博物館は世界でも珍しく、それだけチェコとの関係が深い証拠。最初は娯楽として始まりましたが、時代と共に身近なおもちゃ、家族の思い出、チェコ語の生命線、そして称賛すべき無形文化遺産など多くの役割を担ってきました。マリオネットとはチェコが大切にしてきた文化そのもの。ぜひこの機会に触れてみてはいかがでしょうか。
この記事の関連MEMO
- PR -
トラベルjpで250社の旅行をまとめて比較!
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索
(2024/3/29更新)
- 広告 -