空中に浮かぶ修道院も!ギリシアの奇岩群に潜む聖地「メテオラ」

空中に浮かぶ修道院も!ギリシアの奇岩群に潜む聖地「メテオラ」

更新日:2017/02/12 20:11

Hiroko Ojiのプロフィール写真 Hiroko Oji ヨーロッパ一人旅愛好家
標高2000メートル級の山々を有するピンドス山脈から流れ出るピニオス川流域に位置する平原の中、突如として現れる奇岩群!9世紀には、洞窟や奇岩の裂け目に修道士が住み着いていたというギリシャ聖地メテオラです。険しい地形のため、世俗から断ち切られた環境の中で、祈りと瞑想に没頭できたのでしょう。ここに、修道院群ができたのは14世紀に入ってから。起点のカランバカの町からは、トレッキングコースも延びています。

観光の起点となる町「カランバカ」の背後に迫る奇岩群

観光の起点となる町「カランバカ」の背後に迫る奇岩群

写真:Hiroko Oji

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ギリシアと言えば、古代遺跡の数々に紺碧のエーゲ海を思い浮かべることが多いかと思いますが、それだけではありません。ギリシア本土の背骨ともいえるピンドス山脈の東部、湖と緑に囲まれた平原の中に突如として現れる奇岩群に潜む、世界遺産にも指定されている「メテオラ」があるのです。「中空の」という意味を持つギリシア語「メテオロス」という言葉に由来する、ギリシア正教の聖地。険しい自然の美しさの中、厳かな空気を求めて世界中からの観光客が集まってきます。

観光の起点となるのは、奇岩群の麓の町カランバカ。宿泊施設や飲食店などが整い、交通の便も比較的良いので、ここでゆっくり宿泊して観光に出かけられます。町中のどこからも、背後に聳え覆いかぶさるような奇岩の姿を見上げることができます。

観光の起点となる町「カランバカ」の背後に迫る奇岩群

写真:Hiroko Oji

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カランバカの町からは、町外れからアギア・トリアダ修道院に通じるトレッキングコースがあり、山道を上ること40分ほどで行くことができます。しかし、冬場は凍りついていて大変滑りやすくなっていますので、細心の注意が必要です。歩くのはちょっと…という方は、一番北にあるメガロ・メテオロン修道院まで、夏場であればバスが利用できますが、本数は少なく、冬はタクシーで行くしかありません。そこから他の修道院へは、タクシーか徒歩で回ることになります。徒歩となると、奇岩から奇岩へと続くトレッキングルートを、写真のような風景を眺めながら、または大平原と周りの山並みを一望しながら歩くことになります。なかなか楽しいひと時ではありますが、時間と体力が勝負どころとなるでしょう。

メテオラ最大の「メガロ・メテオロン修道院」

メテオラ最大の「メガロ・メテオロン修道院」

写真:Hiroko Oji

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修道院群の中で北の端に位置するメガロ・メテオロン修道院は、14世紀に建てられた、メテオラ最大の修道院です。幅の広い、高さ613メートルの岩山の上にあり、看板のある広場から石畳の坂道と石段を下って、岩山と岩山の間の谷に架かる橋を渡り、長い階段を上ったところが入口。ここで、ズボンの女性はスカート代わりになる布を渡されますので、巻きスカートのように着用すると入場を認められます。

修道院内の教会は、アトス山の建築様式で16世紀に建てられました。ドーム内の壁に描かれたフレスコ画のキリスト、使徒のルカス、大天使ミカエル、預言者ダニエルなどは必見と言われています。が、内部は、写真やビデオ撮影は一切禁止!残念なことですが、しっかり目に焼き付けてきてくださいね。

メテオラ最大の「メガロ・メテオロン修道院」

写真:Hiroko Oji

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内部は、他にもイコン(宗教画)や頭蓋骨がたくさん並ぶ部屋や、博物館、土産物屋、展望台、荷物を岩山の上に運び上げるための設備などがあります。

外側の石積みの壁にはフレスコ画が残り、室内のイコンが並ぶまわりの壁や天井にも一面のフレスコ画。修道士たちが集まって食事をとる部屋は、石壁に囲まれ、長いテーブルに当時の食器などがセッティングされています。入り口に壺が並べられた博物館の中には、当時の生活がよくわかる台所用品や生活用品が並べられています。

メテオラ最大の「メガロ・メテオロン修道院」

写真:Hiroko Oji

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敷地内にある眺めの良い展望台からは、大平原と周囲を取り巻く山並みを見渡せます。また、隣の谷を隔てた岩山のヴァルラーム修道院や下方に控えるルサヌー修道院を見下ろすこともできるので、眺望を楽しんでくださいね。

フレスコ画が素晴らしい「ヴァルラーム修道院」

フレスコ画が素晴らしい「ヴァルラーム修道院」

写真:Hiroko Oji

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メガロ・メテオロン修道院から車道沿いに下って5分ほどで到着するのが、ヴァルラーム修道院。

岩山の上部の壁を削って建てられたヴァルラーム修道院へは、これもまた、谷に架かる木造橋を渡り、岩壁を削って設置された階段を上って入場します。

フレスコ画が素晴らしい「ヴァルラーム修道院」

写真:Hiroko Oji

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隠遁者ヴァルラームが14世紀に建てた隠遁所の跡に建てられた修道院で、建物内部は撮影禁止。外側の壁にあるフレスコ画やイコンでさえ素晴らしいのですが、内部には、さらに見事なフレスコ画が壁面いっぱいに広がっています。特に、16世紀中ごろに描かれたフレスコ画は他の修道院とは一味違っていて、西ヨーロッパの影響を受けており、色使いや構図が目を惹きます。

フレスコ画が素晴らしい「ヴァルラーム修道院」

写真:Hiroko Oji

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敷地内には、メガロ・メテオロン修道院と同じく、岩山の麓から荷物運び上げる設備や台所用品の展示などもあり、興味深く見学できます。展望台からは、岩山のメガロ・メテオロン修道院や、反対側の山並みを背景にしたルサヌー修道院などの眺望が楽しめます。

何処から上れるの?「アギア・トリアダ修道院」

何処から上れるの?「アギア・トリアダ修道院」

写真:Hiroko Oji

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メガロ・メテオロン修道院やヴァルラーム修道院からルサヌー修道院を眺めながら、トレッキングコースと合体した車道を下ってくると、切り立った岩山の垂直壁のてっぺんに建つアギア・トリアダ修道院が見えてきます。1475年、ドメティオスにより創建された修道院で、背景の山並みと共に大平原をバックにしたこの写真は、どこかで目にした人も多いのではないでしょうか。

いったいどこから上れるのだろうと思ってしまうこの修道院へは、岩の麓、付け根の部分から、1925年に設置されたという130段の階段を上らなければなりません。高さ565メートルの岩山にある修道院には、大天使ガブリエルとミハエルの壁画があり、洗礼者ヨハネに捧げられた教会があります。金色に輝くイコンが並ぶ教会内は、厳かな空気に包まれています。

カランバカ周辺の絶景!「アギオス・ステファノス修道院」

カランバカ周辺の絶景!「アギオス・ステファノス修道院」

写真:Hiroko Oji

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修道院群の中では一番南に位置するアギオス・ステファノス修道院は、ルサヌー修道院と共に女子修道院として知られるもの。メテオラの中では修道士の活動が一早く見られ、巡礼者用の施設も整っており、岩山の上でありながら広い敷地を持っています。

カランバカ周辺の絶景!「アギオス・ステファノス修道院」

写真:Hiroko Oji

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石造りの頑丈そうな谷に架かる橋を渡って、敷地内へ入ると、石段の上に2世紀に殉死した聖人に捧げられた教会と、1798年に建てられた古い教会が建っています。修道院内で見られる数々のイコンや、壁一面と天井に描かれたフレスコ画は、それはそれは見事なものです。

また、資料館内には、16〜17世紀のイコンが収蔵されていて、写本や、刺繍製品なども展示されていますので、お見逃し無きように!

カランバカ周辺の絶景!「アギオス・ステファノス修道院」

写真:Hiroko Oji

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そして、なんといっても、アギオス・ステファノス修道院で忘れてはならないのが、カランバカを見渡す絶景!

庭の片隅に設けられた展望台からは、カランバカの町並みが広がる大平原と、その奥に続く山並み、手前の足元には、急峻な岩山の崖が一望のもとです。ぜひこの風景をタップリご覧になって下さいね。

見学できるのは6つの修道院

メテオラの修道院群は、ここでご紹介した修道院の他に、ルサヌー修道院やアギオス・ニコラオス修道院があり、全部で6つ見学可能です。ルサヌー修道院とアギオス・ニコラオス修道院は、どちらも細くて小ぶりな岩山に張り付いており、見る角度によっては、空中に浮いたようで、全く足掛かりの無いように見えることも。坂道や石段を上って辿り着くのはかなりハードな所ですが、内部の調度品や、そこからの眺望は、ご褒美として値するものと思います。

なお、見学可能な6つの修道院は、修道院ごとに、また時期によっても休館日が異なっていますので、確かめてからご訪問くださいね。

メテオラ観光は、個人ではアクセスが容易ではありません。一番楽なのは、カランバカの町中からタクシーで回る方法。途中で歩いてもよいという方は、北のメガロ・メテオロン修道院までバスかタクシーで行き、南へ下る方向で修道院を周り、最後はアギア・トリアダ修道院近くのトレッキングコースの山道を下りてくるのが良いでしょう。なお、健脚の方なら、カランバカからカストラキ村を経由して行くバスのコースを歩くことも可能です。この場合は2時間ほどかかることを念頭に入れておいてくださいね。

掲載内容は執筆時点のものです。 2007/12/22−2007/12/25 訪問

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