美しすぎるゴミ処理場!広島・エコリアムがクールで参った

美しすぎるゴミ処理場!広島・エコリアムがクールで参った

更新日:2017/02/06 19:13

風祭 哲哉のプロフィール写真 風祭 哲哉 B級スポットライター、物語ツーリズムライター、青春18きっぷ伝道師
ゴミ処理場と聞くと、普通は町はずれの誰も知らない場所にひっそりと佇む、暗い建物を想像する人が多いのではないでしょうか。ところが広島には、そんな悪いイメージを見事にひっくり返すような施設があるのです。
その名も「エコリアム」。著名な建築家によって命を吹き込まれた、この驚くほど洗練された空間は「美しすぎるゴミ処理場」と呼んでもおかしくないほど。
今回は、そんな広島の「エコリアム」について紹介します。

「エコリアム」の正体は、広島市環境局中工場

「エコリアム」の正体は、広島市環境局中工場

写真:風祭 哲哉

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広島市の平和公園から南へと向かう吉島通りを進むと、海のすぐ手前の突き当りに突如現れる巨大な施設。これが広島市環境局の中工場。
ここはいわゆるごみ焼却施設なのですが、この建物の中央2階部分が「エコリアム」という名前の貫通通路となっています。
よく見ると吉島通りのラインにぴったり合わせてエコリアムのガラスの空間と通路ができているのがわかります。

「エコリアム」の正体は、広島市環境局中工場

写真:風祭 哲哉

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ごみ処理場というと一般的にマイナスイメージを抱きがちですが、それを隠すことなく前面に押し出しつつ、そのイメージをひっくりかえすための試みが、この広島・エコリアム。

設計は、世界的に有名な建築家、谷口吉生氏。谷口氏は美術館の名手とも呼ばれ、数多くの美術館建築を手掛けているため、このエコリアムもまるでどこかのアートハウスのよう。

ちなみに「エコリアム」とは、「エコロジー」と「アトリウム(広場)」を結びつけてできた造語です。

「エコリアム」の正体は、広島市環境局中工場

写真:風祭 哲哉

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「エコリアム」は、まるで美術館のようなゴミ処理場

「エコリアム」は、まるで美術館のようなゴミ処理場

写真:風祭 哲哉

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エコリアムにあるのは中央のまっすぐな一本の通路だけ。私たちが見られるのは、その両側のガラス越しに並ぶ稼働中のゴミ焼却装置のみです。
ところが、この展示の手法が驚くほど洗練されていて、それはまるで美術館のよう。思わず見とれてしまうほどなのです。

「エコリアム」は、まるで美術館のようなゴミ処理場

写真:風祭 哲哉

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目に入ってくるのは、メタリックな銀色に磨き上げられた配管ばかりなのですが、ところどころに効果的に緑が配してあるため、それがガラスの中に飾られている現代アートの作品である、と言われてもまったく不思議ではありません。

「エコリアム」は、まるで美術館のようなゴミ処理場

写真:風祭 哲哉

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このエコリアムは、建築的にも非常に優れた作品とされ、見学に来る建築関係者もたくさんいるのですが、一方でこの近未来感は、いわゆる「工場萌え」の方々にとってもたまらない魅力があるようで、知る人ぞ知る工場マニア垂涎の場所でもあります。

「エコリアム」は誰でも無料で、年中無休

「エコリアム」は誰でも無料で、年中無休

写真:風祭 哲哉

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この写真はパッカー車と呼ばれるゴミ収集車の展示。展示の前には簡単な説明用のボードも設置されてはいますが、もはや完全に現代アートの世界ですね。

このエコリアムですが、なんと予約も不要、入場料も不要。年末年始の12月29日から翌年1月3日を除く毎日、9時から16時30分まで自由に見学することができます。もちろん最新鋭の工場なので有毒物質は除去されていますし、臭いも全く感じません。

さらにこの中のごみ処理施設自体も予約をすれば本格的な工場見学が可能ですので、ご興味のある方はぜひ。詳細は関連MEMOをご参照ください。

「エコリアム」の先端には、瀬戸内の島々が美しいテラスも

「エコリアム」の先端には、瀬戸内の島々が美しいテラスも

写真:風祭 哲哉

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エコリアムの一番先端には元安川や太田川の河口とその先の瀬戸内海を見下ろすことのできるテラスがあります。
テラスの先、エコリアムと海との地上部分には公園のような広いスペースが広がっていて、天気がいい日は散歩をしたり、芝生に寝転んだりする人も。ゴミ処理場のすぐわきでこんなことができる場所は、なかなかありません。

また、夕日の時間帯に訪れると、瀬戸内の島々が金色に染まっていく様子が目の前いっぱいに広がります。これもまた、エコリアムのアート作品のひとつなのでしょう。

「エコリアム」の先端には、瀬戸内の島々が美しいテラスも

写真:風祭 哲哉

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「エコリアム」は、ごみ処理場の常識を覆すチャレンジ

ゴミ処理場は都市に不可欠な施設でありながら、どうしても敬遠されがち。このエコリアムはそんな悪いイメージを覆すために作られた大胆なチャレンジなのだと言えます。

環境への負荷が少なく、悪臭もない最新鋭の焼却施設を、まるで美術館の現代アートのように美しく演出することで「ゴミ処理場」というネガティブイメージを覆し、「人間が生活するためにはゴミ処理場が必要、だから敬遠ばかりしないで、みんなでもう一度よく考えてみよう」というメッセージを発しているのが、このエコリアムなのです。

ぜひ一度常識を覆すような、この「美しすぎるごみ処理場」をご覧ください。

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/12/23 訪問

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