備前焼の牛の山は圧巻!奇妙な風習を伝える岡山・田倉牛神社

備前焼の牛の山は圧巻!奇妙な風習を伝える岡山・田倉牛神社

更新日:2017/02/11 18:01

乾口 達司のプロフィール写真 乾口 達司 著述業/日本近代文学会・昭和文学会・日本文学協会会員
岡山県に田倉牛神社と呼ばれる小さな社が存在すること、ご存じですか?実はこの田倉牛神社には、陶器で出来た無数の牛が奉納されており、それにもとづく奇妙な風習も残されているのです。いったい、どのような風習なのでしょうか。今回は田倉牛神社ならではの風習とその魅力に迫ってみましょう。

アクセスも快適!田倉牛神社入口

アクセスも快適!田倉牛神社入口

写真:乾口 達司

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田倉牛神社(たくらうしがみしゃ)は岡山県備前市吉永町にある神社。その名はもともと祭神としてまつられている「牛頭天王」(ごずてんのう)の名前にちなんでいることが推察出来ますが、江戸時代、地元・岡山藩が農業振興の目的で牛を飼うことを奨励したことで、牛馬の病気平癒を祈願する社へと敷衍・転化したものと考えられています。現在では牛馬の病気平癒や農耕の発展に限らず、家内安全や商売繁盛、結婚や就職、交通安全などさまざまな祈願において信仰の対象となっており、田倉牛神社がいかに多くの人たちから信奉されているかがうかがえるでしょう。

写真は田倉牛神社の入口。車道は備前市の内陸部を東西に貫く大動脈というべき県道96号線。それと並行して走っているのが、山陽本線です。田倉牛神社の最寄駅はJR吉永駅ですが、駅から歩くと少し遠いので、お車を利用するのが良いでしょう。

アクセスも快適!田倉牛神社入口

写真:乾口 達司

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山陽本線を北側に横断すると、ご覧のような光景が現われます。これが田倉牛神社の門前。こちらを奥に進み、小高い丘の中腹あたりに牛神さまが鎮座しています。

牛を買い求めて交換!?奇妙な風習

牛を買い求めて交換!?奇妙な風習

写真:乾口 達司

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田倉牛神社ならではの風習とは、以下のとおり。最初に鳥居脇の売店で販売されている備前焼の牛像を一体買い求めます。その牛像を持って本殿に相当する牛神さまのもとへと向かい、そこに奉納されている別の牛像と交換します。そして、大願成就のあかつきには、その持ち帰った牛像をふたたび田倉牛神社へと持ち帰り、新たに買い求めた牛像とあわせて牛神さまに奉納して来るというもの。つまり、新たな牛像を付け加えることによって、牛神さまに対して倍返しのお礼詣りをするわけです。

写真は鳥居脇の売店で販売されている備前焼の牛像。一体1000円ですが、牛像はここで作られており、一体とて同じものはありません。牛神さまに奉納するため、ご自身の気に入った牛像を選びましょう。

牛を買い求めて交換!?奇妙な風習

写真:乾口 達司

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牛像を買い求めると、牛神さまにお参りする際に必要なろうそくやお線香、火をつけるためのライターもお借り出来ます。ろうそくやお線香はご覧のビニール袋に入れていただけますので、買い求めた牛像もこれに入れて行くと便利ですよ。

牛!牛!牛!参拝者を出迎える無数の牛像

牛!牛!牛!参拝者を出迎える無数の牛像

写真:乾口 達司

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牛像を買い求めたら、いざ、牛神さまのもとへ!牛神さまの鎮座する地は鳥居のところから徒歩5分ほど。その途中にあるのが、こちらの狛犬です。備前焼のふるさとだけあり、狛犬も備前焼で作られていますが、その足元をよくご覧下さい。何やら小さなものがひしめいていますよね。そう、これは売店で買い求めたものと同じ牛像の群れ。こんなところにも牛像が置かれているとは、驚きですね。

牛!牛!牛!参拝者を出迎える無数の牛像

写真:乾口 達司

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さらに驚きなのは、ご覧の牛像。その大きさは等身大ほどもありますが、その周囲にも無数の牛像がひしめいています。

圧巻そのもの!無数の牛像が堆積する牛神さまの前

圧巻そのもの!無数の牛像が堆積する牛神さまの前

写真:乾口 達司

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石段を登り切ると、目の前にご覧の光景が広がります。これが牛神さま。本殿はなく、柵の向こう側、少し小高くなったところにまつられている石の牛像が、ご神体の牛神さまです。まずは持参したローソクとお線香に火をつけてお参りしましょう。

圧巻そのもの!無数の牛像が堆積する牛神さまの前

写真:乾口 達司

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柵の向こう側を見ると、何やら山のように盛り上がったものをご確認いただけるでしょう。柵に近づき、その正体をご覧になると、さぞ驚かれるはず。そう、これこそ、牛神さまの前にうずたかく盛られた無数の牛像なのです。その数、数十万体といわれているようですが、これほどの数の牛像が堆積した光景は、日本広しといえども、ここ、田倉牛神社だけでしょう。

圧巻そのもの!無数の牛像が堆積する牛神さまの前

写真:乾口 達司

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牛像の山に近づいて眺めてみましょう。一体ずつ異なった牛像が堆積しているのをおわかりいただけるはず。圧巻。その一言に尽きる光景ですよ。

他にもさまざまな牛が!境内で見られる牛像の数々

他にもさまざまな牛が!境内で見られる牛像の数々

写真:乾口 達司

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もちろん、牛をまつった社だけに、ほかにもさまざまな牛像が見られます。こちらは摂社の大仙社に置かれた石の牛像。田倉牛神社の牛といえば、どうしても備前焼で作られた陶器製の牛像をイメージしますが、備前焼だけではないことがこちらからもうかがえます。

他にもさまざまな牛が!境内で見られる牛像の数々

写真:乾口 達司

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こちらは田倉牛神社特製の絵馬。旅の記念にご自身の願い事を書き込んでみてはいかがでしょうか。

おわりに

田倉牛神社の魅力と独特の風習、おわかりいただけたでしょうか。珍しい風習ゆえ、旅のよい思い出ともなるはず。田倉牛神社に参拝し、ご自身の願いを成就して下さい。

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/01/04 訪問

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