ラーマ5世が眠るお寺「ワット・ベンチャマボピット(大理石寺院)」

ラーマ5世が眠るお寺「ワット・ベンチャマボピット(大理石寺院)」

更新日:2018/07/27 17:30

モン ガラのプロフィール写真 モン ガラ ライター
タイの政治の中心地である「ドゥシット地区」に、最も国民から尊敬された王・ラーマ5世によって建てられた寺院があります。そこは別名「大理石寺院」とも呼ばれ、建物のほとんどが大理石でできた美しいお寺です。ラーマ5世が見た教会建築の影響を受けて西洋技術が多く取り入れられ、タイの他の寺院とは雰囲気が異なります。
ラーマ5世がこだわりぬいて造った美しきヨーロピアンテイストの寺院を是非訪れてみませんか?

眩しいほどの白い大理石が輝く寺院

眩しいほどの白い大理石が輝く寺院

写真:モン ガラ

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正式名称「ワット・ベンチャマボピットドュシットワナーラーム(Wat Benchamabophit)」は、1899年にラーマ5世によって建てられた王立寺院です。お寺の名前は「第5番目の国王が建立した寺」という意味。屋根瓦を除いた建物のほとんどに大理石を使用していることから「大理石寺院」とも呼ばれています。

ここで使われている大理石はイタリアのトスカーナ州カララ市から運ばれてきたもの。
白い大理石が一面を飾り、豪華でとても美しい寺院です。その神々しい建物は見るだけでも十分に価値があります。

眩しいほどの白い大理石が輝く寺院

写真:モン ガラ

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広い境内も全て大理石で出来ています。屋根だけはタイ様式で造られていて、通常とは焼き方の異なるオレンジの瓦が使用されています。純白の大理石と鮮やかなオレンジ色の屋根のコントラストが、いかにもタイらしいデザインです。

この寺院は有名でありながら、観光客が少なく静かな場所であるのも魅力の一つ。王宮の混雑などと比べると空いているので、ゆっくり見て楽しむ事ができます。

眩しいほどの白い大理石が輝く寺院

写真:モン ガラ

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大理石寺院は、ラーマ4世の王子でタイ欧折様式に強いナリッサラーヌワッティウォン親王が設計に携わったので、金張りの窓にはステンドグラスがはめ込まれるなど、西洋の建築様式が多く取り入れられているのが特徴です。イタリア人の建築家との共同設計なので、細部に至る装飾も豪華。狂犬のような獅子もすべて大理石製です。

メインの本堂は左右対称に建てられ、上から見ると実は十字形をしています。寺院の像が5バーツ硬貨の裏に刻印されていますので、是非実物と見比べてみて下さいね。

タイの三大大王・ラーマ5世が眠る本堂の内部

タイの三大大王・ラーマ5世が眠る本堂の内部

写真:モン ガラ

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入場料20バーツ(約60円)を支払うと、本堂の内部に入れます(地元住民は無料)。ここには青銅製の仏像が安置されています。この仏像は北部のピッサヌローク県にある寺、「ワット・プラ・シー・ラタナー・マハータート」のタイで最も美しいと言われている仏陀像「プラプッタ・チンナラート」を、ラーマ5世が職人に模造させたものです。

この台座の中に、建立者でもあるラーマ5世の遺骨が納められています。ラーマ5世はタイ三大大王のうちの一人で、現在のタイをつくった事で有名です。タイで最も尊敬されている人物と言っても過言ではありません。今でも国民からの人気が高く、地元の方も参拝に訪れます。

タイの三大大王・ラーマ5世が眠る本堂の内部

写真:モン ガラ

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西洋建築の代表ともいえるステンドグラスも見ものです。光が差すと鮮やかに模様が浮き出て来ます。ヨーロッパの教会を連想させるステンドグラスですが、よく見ると模様が仏教的なのが特徴です。西洋の素材&技術にタイ様式の絵が融合し、洗練されたタイ建築が完成しています。ラーマ5世とその指示に従った設計者の感性は実に見事です。

まるで博物館!世界各地の仏像が見られる回廊

まるで博物館!世界各地の仏像が見られる回廊

写真:モン ガラ

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本堂の周りにはぐるりと回廊があります。床と柱はもちろん大理石。ただし、本堂の床とは違う色の大理石を使用している点に注目です。

回廊の屋根の内側には、金色の星細工が施されています。また、屋根瓦を1枚1枚よく見ると全て仏様が合掌しているのです。細部の装飾までぬかりなく造られており、建設者の寺院に対する思い入れが伝わってきます。

まるで博物館!世界各地の仏像が見られる回廊

写真:モン ガラ

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ラーマ5世は、優れた仏像を人々に見せようと世界各国の様式の仏像を回廊に並べました。台座の上にある52体の仏像は博物館のような雰囲気です。仏像はバンコクや他の主要都市、インド、日本、ビルマ、スリランカから集めてきたもので、その中には貴重な仏像も含まれています。

面白い事に、国によって仏像の姿勢や表情が違います。訪れた際は日本の仏像を探してみてくださいね。

敷地内を探検!運河に架かる橋と宿坊に潜入

敷地内を探検!運河に架かる橋と宿坊に潜入

写真:モン ガラ

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敷地内に小さな運河と橋があります。僧侶が生活できるようにと、寺院建設開始に伴いラーマ5世の指示で堀りはじめられたものです。この運河はドュシット地区と繋がるように掘られ、当時は水源として人々の消費生活を支えました。

写真の橋はイタリアに注文して鋳造でつくられました。橋の両側の手すりにはタイ模様が施され、たもとには中国人形が飾られています。橋には「国王の命により土木省建設」と刻印がされています。この運河には大トカゲも住んでいるので、運が良ければ橋から見れるかもしれません。

敷地内を探検!運河に架かる橋と宿坊に潜入

写真:モン ガラ

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橋を渡ると宿坊があり、許可を取ると少しだけ中を見せてもらえます。普段なかなか見る事のできない、お坊さんの生活を垣間見る事ができる貴重な体験です。興味のある方は宿坊の方面まで足を運んでみる事をおすすめします。

大理石寺院は美しき穴場スポット

大理石寺院は観光エリアから離れている為、タクシーやトュクトュクでないとアクセスできない場所にあります。広い通りに面していながら一歩中に入ると観光客も少なく静かな環境です。

西洋とタイの技術が融合したこの寺院を見れば、ラーマ5世がタイの近代化に貢献し、人々から尊敬されたのも納得できます。今までにないヨーロッパの教会を思わせるお寺で、一面に輝く大理石は豪華そのもの。ため息が出るほど美しい寺院です。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/12/21 訪問

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