浸かって良し!飲んで良し!群馬・上牧温泉「月がほほえむ宿 大峰館」の湯は星3つ

浸かって良し!飲んで良し!群馬・上牧温泉「月がほほえむ宿 大峰館」の湯は星3つ

更新日:2020/09/22 11:20

永澤 康太のプロフィール写真 永澤 康太 温泉旅行ライター
時は平安。三十六歌仙の一人、源順が東国巡業の折、三峰山から昇る月を見て「オオよき月よのかな」と心打たれ歌を詠んだ。その伝承が「月夜野」という地名に形を変え、群馬県利根郡に今も刻まれている。歴史深きこの地にあって、大正13年湧出の上牧温泉に暖簾を掲げる「月がほほえむ宿 大峰館」(以下大峰館)は昭和30年創業と比較的新しい。されど湯は歴史の長短に関係なく、源順が月に感じ入ったが如く、珠玉のものである。

高台に佇む「大峰館」は一人旅OK

高台に佇む「大峰館」は一人旅OK

写真:永澤 康太

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有名な水上温泉から少し下流の上牧温泉。利根川沿いに宿が5軒点在し、他に日帰り入浴施設「風和の湯」があるだけの密やかな場所だ。「大峰館」までは関越道の水上ICが程近く非常にアクセスしやすい。上越線の上牧駅より歩いても十数分で着き、道中は高台を目指すので坂が多い代わりに山河の風景も味わい深い。あえてスローな旅を選ぶのはいかがだろうか。

高台に佇む「大峰館」は一人旅OK

写真:永澤 康太

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宿は新館と本館に分かれ、一人旅も受け入れている。建物が斜面に建つ構造上階段が多く、またエレベーターが無いのでその点は注意。客室の広さやトイレの有無等を問題としない人、あるいは温泉がメインの方は、部屋代が安くなる本館を勧めたい(ちなみに本館廊下のトイレはウォッシュレット)。もちろん本館も含め掃除、メンテナンスはしっかり行き届いている。

自然に恵まれたロケーション

自然に恵まれたロケーション

写真:永澤 康太

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ホタルの里としても知られる月夜野。上越新幹線の上毛高原駅裏手は保護地になっており、ヘイケボタル、ゲンジボタル、クロマドボタルが生息している。実は「大峰館」周辺でも見ることが可能で、7月上旬にヘイケボタル、ヒメボタルが舞う。

これはホタルの生育条件が整っている、つまり自然環境が豊かなことの証明に他ならず、宿の目の前には周辺の山々の他、上記写真だと雪が積もっていて分からないがヘイケボタルの棲家となる田園が広がっている。風光明媚で、ホタルが保証してくれる環境の中、ゆっくりと滞在する。実に贅沢ではないか。

完璧な掛け流し!「大峰館」自慢の自家源泉

完璧な掛け流し!「大峰館」自慢の自家源泉

写真:永澤 康太

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男女別の「月見大浴場」にはそれぞれ内湯と露天風呂が一つずつ。敷地から湧出する無色透明の自家源泉を惜しみなく注ぎ、加水、加温、循環、消毒処理は一切せずパーフェクトに掛け流す。丁度良い湯加減に仕上げてあり、「湯量が多い」(内湯湯口に掲げられた看板より抜粋)と謳っている通り、常に内湯の縁から湯がザコザコ溢れてゆく。肌触りはさっぱりとして湯冷めしにくい。

完璧な掛け流し!「大峰館」自慢の自家源泉

写真:永澤 康太

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当然、露天風呂も掛け流し。内湯と比べちょい温めなのが心地良くグッド。蛙が縁取られた湯口の周りに析出物がびっしり成長していて、温泉の質の良さが伺える。残念ながら景色は望めないが、この素晴らしい湯を前にすれば、その点は些細な問題にしかならない。立ち寄り入浴は90分950円(2020年9月時点)と少々高め。けれども浸かる価値はお釣りがくるぐらいある。

湯浴みだけではなく、飲む温泉にも注目

湯浴みだけではなく、飲む温泉にも注目

写真:永澤 康太

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飲泉と一口で言っても、その許可を得るのは条件が厳しく定められているため大変で、飲める温泉は希少な存在だ。そして「大峰館」は保健所の審査をクリアし、玄関前に飲泉所が設けてある。口に含むと僅かなタマゴの香りと塩味がついていて、クセはまったくない。

湯浴みだけではなく、飲む温泉にも注目

写真:永澤 康太

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また飲泉所とは別に、宿の湯上り処に冷やした源泉も用意。自然な感じで体にすっと入っていき、これなら大多数の方は飲めるはず。もし上牧温泉を訪れるのであれば、身体の外からだけでなく、中にも湯の恵みを取り入れてほしい。

ビジネス・エコノミープランでも充実の膳

ビジネス・エコノミープランでも充実の膳

写真:永澤 康太

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「大峰館」の夕食は会席料理が味わえる三日月コースが売り。美味しそうな料理が公式ホームページや、じゃらん、楽天トラベルのサイト上にて確認できる。一方、ビジネス・エコノミープランだと定食が提供されると控えめに書かれているが、実際は地の物をふんだんに使った食事が並び、上記写真以外に、焼き魚、吸い物、ご飯、デザートがつく。

ビジネス・エコノミープランでも充実の膳

写真:永澤 康太

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特に目を引くのが上州牛の石焼。豪華な内容で忘れそうだが、これはあくまでリーズナブルなプラン。自分好みの焼き加減に調節して口へと頬張れば、程よくのった脂が溶けだし実に旨い。ここまでくるともはや定食の域を超えている。

ビジネス・エコノミープランでも充実の膳

写真:永澤 康太

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飲める温泉は朝食にも反映され、温泉豆腐と温泉粥が出る。温泉を使用しているものの、味に妙な部分はなく、むしろ美味。夕朝これだけ料理を満喫させてくれるビジネス・エコノミープランには大満足だ。

穴場の小さな温泉地

上牧温泉は周りを水上温泉や伊香保温泉、草津温泉などのビッグネームに囲まれややマイナーな印象を受ける。だが「大峰館」の湯はそれらと比べても遜色ないレベルだ。冬はスキー、夏はホタル狩りの拠点としてはもとより、純粋に温泉を楽しみたい人向けの穴場スポットとしてもお勧めする。

泉質/ナトリウム・カルシウム―硫酸塩・塩化物温泉
立ち寄り入浴:950円 11時〜18時

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/01/26−2017/01/27 訪問

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