写真:car min
地図を見るダルムシュタット/Darmstadtの町の東側に、19世紀末から20世紀初頭にかけてヘッセン・ダルムシュタット大公のエルンスト・ルートヴィヒがドイツ各地から芸術家を呼び寄せて造った芸術家村「マチルダの丘/Die Mathildenhoehe」があります。その丘の中心となる場所に不思議な手の形をしたレンガ色の建物とロシア正教会がとても奇妙な調和をみせています。
この手の形をした建物は「結婚記念塔/Hochzeitsturm」と呼ばれ、1905年に結婚したエルンスト・ルートヴィヒ大公とエレオノーレ妃への結婚のプレゼントとして1907年から1908年にかけて建てられ、ダルムシュタット市民から寄贈されたものです。この5本の指がのびた手は結婚式での大公の宣誓した手をモチーフにしたと言われています。
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地図を見る1993年よりこの塔にはドイツの戸籍役場、スタンデスアムト/Standesamtが入っていて、ダルムシュタット市民は市役所かこの「結婚記念塔」で結婚式をあげることができます。日本の市役所では婚姻届提出のみですが、ドイツでは必ずこの戸籍役場で担当者立ち合いのもと、お互いの意思の確認をし、婚姻証明書にサインをしなければなりません。その後、教会で式を挙げたり会食をするのがドイツスタイルの結婚です。
4Fの大公の間は戸籍役場に、5Fの大公妃の間は結婚式の部屋として現在使われていて、年間500組のカップルがこの部屋を使って伝統的な結婚式を挙げています。結婚式が無い時は1世紀前の壮麗な装飾をされた部屋を見学することもできます。
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地図を見るヨーゼフ・オルブリヒ/Joseph M Olblichによる個性的な「結婚記念塔」はその装飾も芸術性にあふれています。塔の南面には宇宙をイメージするように青いガラスモザイクに金色の星座が煌めき、その中心に黄金色の太陽が輝いている日時計が設置されています。またその下にはRudolf Bindingによる人生の儚さをうたった詩も記されています。
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地図を見る玄関ホールに足を踏み入れると、とてもロマンティックなモザイクが目に飛び込んできます。「Der Kuss/口づけ」のタイトルのモザイクは真っ青な宇宙の中で男女の天使が永遠の愛を誓っているように見えます。
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地図を見る玄関ホールの天井は黄金のアーチ型でその中に小さな星々が瞬いているように見えます。そして二人の天使と反対側の壁には、幻想的な天使が描かれ、その足元にはエルンスト・ルートヴィヒ大公とエレオノーレ妃の名前が記されています。このモザイクのタイトルは「Die Treue/誠実」で、大公と妃の結婚の象徴として変わらぬ心を表現しています。この2作品と日時計はF.W.Kleukenによるものです。
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地図を見る7階の展望デッキへは玄関ホールで料金を払いエレベーターで昇ることもでき、ガラス越しですが33.5mの高さからダルムシュタットの町を眺めることができます。ドイツらしい赤やレンガ色の屋根の中に一際目立つ建物は、日本でも著名な建築家フンデルトヴァッサーの「森の渦巻き/Waldspirale」です。間近で見るのも素晴らしいですが、こちらから遠目に見る外観全体も印象的です。
ご紹介した「結婚記念塔」以外にもマチルダの丘には展覧会場、芸術家コロニー美術館、そしてユーゲントシュテイール建築の家が残っています。周辺には緑も多く散策にも適しているので、ご自身のお気に入り芸術作品を発見してくださいね。
開館日等は季節によって異なるので、下記関連MEMOから確認して訪問されることをお勧めします。
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(2024/4/20更新)
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