ゴシックの宝箱!世界遺産の町・伊「シエナ」で中世にタイムスリップ

ゴシックの宝箱!世界遺産の町・伊「シエナ」で中世にタイムスリップ

更新日:2017/01/25 10:12

ナカヤ アキのプロフィール写真 ナカヤ アキ
イタリア・オルチャ渓谷の丘にそびえ、中世の美しい佇まいを今日に残すシエナの町。こじんまりした町ですが、古くから交易や金融の要所として栄えてきた歴史があり、町のいたるところに当時の面影を発見できます。イタリアを代表するゴシック建築の街並みや芸術、名物料理などの旅の醍醐味がぎっしり詰まった古都シエナの魅力をご紹介します。

シエナってどんな町?

シエナってどんな町?

写真:ナカヤ アキ

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シエナはトスカーナ州フィレンツェから約60km南に位置する城塞古都です。「ルネッサンスのフィレンツェ、ゴシックのシエナ」と呼ばれトスカーナ州の人気観光都市のひとつです。フィレンツェ駅近くの長距離バス乗り場からバスで約1時間、車窓からオルチャ渓谷の丘の美しい景色を楽しんでいるうちについてしまいます。

中世の面影をそのままに残す町は1995年に町全体が世界遺産に登録されました。町の中心にあるカンポ広場を囲むように擂り鉢状に広がるシエナの町。まるで迷路のような町の路地には素敵なショップやギャラリーなどが軒を連ねます。世界遺産登録件数が世界一のイタリアでも、町全体が世界遺産に指定されているのはシエナ、ヴェネチア、ヴェローナの3都市のみで、世界的に歴史価値のある町として注目を集めています。

中世の統治者により音楽や学問、芸術が保護され、特に美術はシエナで独特の発展をとげます。優雅で装飾の多い絵画を得意とする画家集団はシエナ派と呼ばれ、シモーネ・マルティーニなどのフレスコ画家を多く輩出しました。ヴェネチア派、フィレンツェ派と並ぶ3大グループとしてイタリア美術に大きな功績を残しました。

シエナってどんな町?

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また、シエナは交易の要所として商業、金融業、手工業が栄え、世界一古い銀行として有名なモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行が誕生した町としても有名です。町に銀行にちなんだ名前の通りが多いのもその名残です。町によって通りの名前の由来に特徴があるのも面白いですね。

シエナの町は、古びてどこか懐かしいような独特なレンガ色に覆われています。シエナの町民はその昔、近郊の山で採取した土をレンガの材料として家を建てたのですが、その黒味を帯びた黄褐色の土は絵の具の顔料としても用いられるようになり、町の名前がそのまま色の名前「シェンナ」としてつけられました。土を焼いていないものは黄味が強くローシェンナ、焼いたものは赤褐色でバーントシェンナと呼ばれます。夕焼けに一層赤く輝き町中ロマンチックな雰囲気に包まれますよ。

世界で一番美しいと讃えられるカンポ広場

世界で一番美しいと讃えられるカンポ広場

写真:ナカヤ アキ

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360度どこを切り取っても美しい町の中央に位置し扇の形をしたレンガ色の「世界で一番美しい」と称されるシエナの象徴、カンポ広場。迷路のように複雑な町の路地で迷ったら、町のいたるところにあるカンポ広場のサインに沿って歩くと、この広場にたどり着くけるので、観光のスタート地点としてカンポ広場の場所を把握しておくとスムーズに街歩きを楽しめますよ。

いつも観光客で賑やかなカンポ広場は市庁舎の入り口に面し、周りを中世の美しい建物で囲まれ、建物の下部はレストランやギフトショップが軒を連ねます。
カンポ広場は、当時のシエナの9人の支配者にちなんで9つに分けられています。レンガで舗装されたよく見ると小さな白い石で区切られていますよ。

世界で一番美しいと讃えられるカンポ広場

写真:ナカヤ アキ

せっかくなので、シエナの郷土料理を広場の周りで堪能するのもいい思い出になりますよ。観光客向けのカフェやレストランが広場を囲っていますが、少し脇道に入ると地元の人も通うような美味しいトラットリアもあります。トスカーナの大地で育ったオリーブオイルやワイン、肉料理は絶品ですよ。シエナ周辺で昔から食べられているピチというパスタもおすすめです。トリュフやポルチーニなどの季節に旬の食材を使ったソースはもちろん、定番のミートソースやクリームソースも美味しいですよ。

世界的に有名な中世の祭「パリオ」

世界的に有名な中世の祭「パリオ」

写真:ナカヤ アキ

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カンポ広場の周りが他の通りとは違い、土でできているのは、「パリオ(旗)」という競馬で有名な伝統的な祭が開催されるためです。毎年7月2日と8月16日に開催され、この祭の日はカンポ広場は入りきらないほどの人で覆い尽くされます。トム・ハンクスなどの有名俳優も毎年観戦に訪れます。

1260年のモンタペルティの戦いでシエナが勝利し凱旋した際に、聖母マリアに感謝し、祭と競馬を行ったのがこの祭の始まりと言われ、祭の日は当時の衣装を身に纏った人で溢れ、さながら中世にタイムスリップしたような気分になりますよ。

多くのシエナには17の区があり、競馬の前に各区の代表者が中世の衣装を身に纏い、色鮮やかな旗と楯を振りかざしながらパレードします。パレードが終わると大砲が鳴り響き、競馬のスタートです。1位でゴールした騎手には赤ちゃんのおしゃぶりが授与されます。なんだか面白いですね。

祭が近づくと町の広場でパリオを振る若者たちの姿を見かけることもありますよ。

市庁舎(プブリコ宮殿)

市庁舎(プブリコ宮殿)

写真:ナカヤ アキ

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カンポ広場の正面、市庁舎として使用されているプブリコ宮殿は約20年の歳月をかけ1305年に完成したシエナで一番豪華な建築物として有名です。2階部分が美術館になっていて、シエナを代表する美術品が展示されています。

シモーネ・マルティーニの「荘厳の聖母」やアンブロージョ・ロレンツェッティの「良き政府と悪しき政府の効果」、「双子に乳を与える牝狼」のブロンズ像は必見です。

市庁舎(プブリコ宮殿)

写真:ナカヤ アキ

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「荘厳の聖母」は「マエスタ」とも呼ばれ、世界地図の間に飾られている横幅10メートルほどもあるシモーネ・マルティーニの初期傑作と言われる大作で、シエナ派のフレスコ画の代表作でもあるのでお見逃しなく!

「良き政府と悪しき政府の効果」は、部屋のそれぞれ壁の一面を使って書かれているのですが、良政の絵には楽しそうに生活を営む市民や富むシエナの光景が、窓からも燦々と太陽の日が差すように描かれているのに対し、一方、悪政の絵は悪や俗に塗れた地獄のような光景が、窓の光が絶対に入らない暗い壁に描かれているのが絶妙です。

「双子に乳を与える牝狼」はもともと外に飾られていたのですが、現在は保存のために美術館内に展示されています。ローマを作った狼に育てられたロムルスとレムスの双子の兄弟の伝説がモチーフです。領土争いの末にロムルスに殺されたレムスの息子たちがローマから逃げこの地にたどり着き町を作り、そのうち一人の名前セニオの名からシエナと名付けられたという伝説があり、街の至る所で狼と双子の彫刻などを見かけますよ。

また、隣には高さ88mのマンジャの塔が建ち、暗く狭い階段を上った先には素晴らしいシエナの景色が眼下に広がります。

シエナの大聖堂

シエナの大聖堂

写真:ナカヤ アキ

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白く輝くゴシック様式のファサードがかつてのシエナの繁栄を象徴する大聖堂は、200年の歳月をかけ建設されました。14世紀に現在の形になり、以後、丘の上からシエナの町を見守っています。実は、今もまだ未完成なんだそう。

シエナの大聖堂といえば荘厳なファサードが有名ですが、内装も外観に劣らず素晴らしい造りになっています。聖堂の床に施された大理石の象嵌絵巻や祭壇、
壁一面にフレスコ画が描かれ「ピッコロ―ミニ家の図書室」と呼ばれる部屋一見の価値があります。

また、併設の美術館の最上階の部屋から展望台に出る細くて狭い階段につながる通路があります。時間と通行制限と制限がありますが、丘の上にある大聖堂の展望台からの眺めは、シエナの町だけでは遠くのトスカーナの景色まで360度のパノラマで望め、マンジャの塔ですら眼下に見えます。

一味違うトスカーナの景色を堪能したいなら…

中世の面影がそのまま残る世界遺産の街、シエナには隠れた名所がたくさん散りばめられたゴシックの宝石箱のような町です。1日で見て回れるサイズの町なので、フィレンツェから日帰りで訪れるのがオススメです。きっと、シエナ色に輝くこの町の虜になること間違いなしですよ!

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/07/01−2016/07/31 訪問

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