当時東洋一!台湾で今でも尊敬される八田與一が建てた「烏山頭ダム」

当時東洋一!台湾で今でも尊敬される八田與一が建てた「烏山頭ダム」

更新日:2019/08/21 09:55

大川原 明のプロフィール写真 大川原 明 旅行ジャーナリスト(ライター)
親日家が多い事でも知られる台湾。そんな台湾で尊敬される日本人の一人が日本人技師である八田與一です。八田與一が台南市に建てた烏山頭ダム。ダムは1930年の完成当時に東洋一の規模を誇るものでした。烏山頭ダム建設による灌漑整備によりダム周辺は台湾最大の穀倉地帯になりました。

今回は、台湾の教科書に載るほど台湾の人々に尊敬されている八田與一が建てた烏山頭ダムをご紹介いたします。

完成当時東洋一のダムであった烏山頭ダム

完成当時東洋一のダムであった烏山頭ダム

写真:大川原 明

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台湾は、日清戦争後の1895年〜1945年まで50年間日本の統治下に置かれました。日本統治下に日本政府は台湾のインフラ整備をしたのですが、そのうちの1つが治水工事です。台湾に多くのダムを建設したうちの1つが、今回ご紹介する烏山頭ダムです。

烏山頭ダムは1920年に着工し10年の歳月をかけて1930年に完成したダムで、完成当時は東洋一の規模を誇ったダムでした。嘉南平原の農業灌漑を主目的として建設され、ダム完成後に台湾最大の穀倉地帯になりました。このダムを建てた八田與一の功績に関して、台湾の人々は非常に感謝しており、教科書に載るほど尊敬されています。

※烏山頭ダムまでいくにはいくつかのルートがありますが、一番のお薦めは、台鉄「善化駅」前のバス亭から「烏山頭水庫」行き橘4路バス利用です。所要時間は30分程。

広大な八田與一記念公園

広大な八田與一記念公園

写真:大川原 明

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烏山頭ダムの敷地は広大な八田與一記念公園となっており、公園内には八田與一記念館、八田與一居住家屋、八田與一象、竣工碑など多くの見所があります。上記写真は、ダムの放水路ですが、映画『KANO』のロケ地となった場所です。『KANO』が好きな方にも堪らない場所です。

公園内は非常に広いので、足腰に自信がないと周るのに苦労すると思います。また、公園内には自動販売機がありません。暑い時期に訪れた場合、脱水症状を起こす可能性がありますので、事前に1リットル以上の水を購入し、持参する事をお薦めします。

八田與一を知ることが出来る八田與一記念館

八田與一を知ることが出来る八田與一記念館

写真:大川原 明

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毎日のように多くの台湾人が訪れる烏山頭ダム。日本人にはあまり知られていない八田與一ですが、台湾では学校の教科書でも紹介しているので知らない人がほとんどいないほど、知名度と人気が高い日本人です。八田與一記念館には様々な資料や写真が展示されていますので、八田與一を知る上で、訪れていただきたい場所です。

八田夫妻の墓と銅像

八田夫妻の墓と銅像

写真:大川原 明

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記念公園内には、八田與一の銅像と與一と妻外代樹の墓があります。銅像はダムが完成後の1931年に八田與一を慕う近隣住民により建てられたものです。第二次世界大戦下には、金属供出を求められた際、住民はこの銅像を隠していました。また、日本が敗戦した後に中国国民党政府が台湾に入ってきた時に、政府は日本人の銅像などを撤去する命令を出しましたが、住民は拒否し、銅像は密かに隠され保存されていました。

1990年代に台湾の民主化が進み、八田與一の業績が再評価され、住民の手により再び公開されるようになりました。銅像が置かれている場所の近くにダム建設に従事して事故で亡くなられた134名の方々の殉工碑があるので、併せて訪れていただきたいです。多くの台湾人がここを訪れ、合掌しています。

八田與一居住家屋

八田與一居住家屋

写真:大川原 明

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八田與一記念公園の北端にある、復元された八田與一と同僚幹部職員の居住家屋。昔ながらの日本の伝統家屋で、毎週1か所のみ内部見学が可能です。古き良き懐かしい日本の雰囲気を感じとる事が出来ます。八田與一に関しての映像資料を展示する施設や喫茶室もありますので、併せて訪れる事をお薦めします。

台湾発展のために貢献した八田與一

いかがでしたか?日本人にはあまり知られていませんが、台湾では教科書に載るほど知名度が高く尊敬されている日本人。台湾発展のために貢献した八田與一は、1942年にフィリピンへの赴任を命じられ、フィリピンに向かう船が米軍による攻撃を受けた際に亡くなりました。

台湾で尊敬されている日本人は多くいますが、その中の代表格が八田與一です。台湾南部を訪問した際には是非とも訪れていただきたいです。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/10/26 訪問

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