カルロヴィ・ヴァリの文化が詰まっているチェコ料理屋「カレル4世」

カルロヴィ・ヴァリの文化が詰まっているチェコ料理屋「カレル4世」

更新日:2017/03/09 14:04

浅井 みら野のプロフィール写真 浅井 みら野 総合旅行業務取扱管理者、全国通訳案内士(英語)、世界遺産検定2級、JSBA スノーボード バッジテスト 1級
文豪ゲーテや天才モーツァルトなど数々の歴史的著名人が英気を養いに訪れた温泉リゾート地“カルロヴィ・ヴァリ”。サーモンピンクやレモンイエローなど淡い色に彩られた家が谷間に沿って重なり合い、その景観からヨーロッパで最も美しい温泉地とよばれています。この町で訪れたいのがチェコ料理レストラン「カレル4世」。町が辿って来た歴史を店内で見つけることができ、よりこの土地の文化を感じることができますよ。

レストランがあるのは19世紀の雰囲気が再現された広場

レストランがあるのは19世紀の雰囲気が再現された広場

写真:浅井 みら野

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レストラン「カレル4世(Charels IV)」があるのは、カルロヴィ・ヴァリ駅近くにある“ベッヒャー広場(BECHERPLATZ)”の内部。建物に入ると石畳の床が広がり、まるで屋外の広場のような雰囲気。寒い冬でも温かく、快適に過ごすことができます。

レストランがあるのは19世紀の雰囲気が再現された広場

写真:浅井 みら野

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もともとこの広場は、この町で誕生したハーブリキュール“ベヘロフカ(BECHEROVKA)”が醸造されていた場所でした。カルロヴィ・ヴァリの名水と30種類以上のハーブでつくられ、そのレシピは門外不出。レシピは200年以上守られ、社内でも知る人はたった二人のみです。アルコール度数は38度と高いですが、毎日適量を飲めば健康になると世界中でも高く評価されているリキュールです。

現在は郊外の新しい工場で醸造されていますが、移転するまでの約170年間はカルロヴィ・ヴァリの町中でつくられていました。ベッヒャー広場には、ベヘロフカの歴史が展示された博物館もあります。

カレル4世との密接な関係

カレル4世との密接な関係

写真:浅井 みら野

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レストラン名にもなっている“カレル4世”とは誰なのでしょうか。チェコ国内で頻繁に聞きますが、14世紀にボヘミア王、さらに神聖ローマ皇帝になった方です。プラハ出身で母国愛も強く、プラハを皇帝の都にするため、チェコの文化と学業の発展に貢献しました。現在もチェコ人に人気があり“祖国の父”として親しまれています。

この町の名前“カルロヴィ・ヴァリ”も、当時この近辺を訪れていたカレル4世が湯気の出ている泉を見つけたため、“カレルの温泉”という意味をもつんですよ。その後カレル4世はこの土地にビールを醸造する権利も与えています。醸造所はレストランに隣接し、窓から見える席も。つくられているビール名も“カレル4世”。町やレストランだけでなく、ビールさえも彼の名前にちなんでおり、関わり合いの深さが感じられますね。

店内は醸造所跡らしい雰囲気

店内は醸造所跡らしい雰囲気

写真:浅井 みら野

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レストランは地下にあり、広場から階段で降りて入ります。温度を一定に保つために設置されたパイプ状の暖房や小さめの窓などから、かつての醸造所の名残りが感じられますよ。座り心地がよい木製のイスも、ベヘロフカが入っていた樽を再利用したもの。やわらかい照明に照らされ、落ち着いた雰囲気が感じられる店内からはこの建物の歴史が感じられます。

色々なクネドリークを食べ比べ

色々なクネドリークを食べ比べ

写真:浅井 みら野

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伝統的なチェコ料理ではずせないのが“クネドリーク(Knedlíky)”。メイン料理の付け合わせとして同じお皿に盛られる場合が多く、見た目は蒸しパンのよう。しかし、蒸すのではなく茹でてつくるため、もちもちとした柔らかい食感が特徴です。

材料によって見た目が異なるクネドリークですが、一番定番のものは小麦粉でつくられたもの。ソースとの相性も良く、単品で食べるよりは、ひたひたになるまでソースに浸して食べるのがチェコ流。

色々なクネドリークを食べ比べ

写真:浅井 みら野

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町の名前をとって“カルロヴィ・ヴァリ クネドリーク(Karlovy Vary Knedlíky)”とよばれるものも。ごろごろとした見た目の正体は、一口サイズにちぎられたバケット。他のクネドリークより少し硬めで、バケットの食感も楽しめます。

シカやイノシシなどジビエ料理も豊富なチェコ。こちらのレストランではイノシシが食べられます。パプリカベースのグラーシュとよばれるソースと一緒に、ことこと煮込まれたお肉はクセがぬけ、柔らかくとてもジューシー。ローズヒップを煮込んでつくったソースが加えられ、味にほのかな酸味が感じられます。

色々なクネドリークを食べ比べ

写真:浅井 みら野

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小麦粉よりもちもち感を楽しめるのが、じゃがいもでつくられたクネドリーク。食べごたえがあり、腹持ちも良いですよ。お店によってはベーコンを一緒に入れる場合もあります。ほうれん草をすり潰した緑色のソースをつければ、シンプルだけど素材の甘みがぎゅっと凝縮されている味をお楽しみいただけます。

多くのリキュールを生んだ名水も飲んでみて

多くのリキュールを生んだ名水も飲んでみて

写真:浅井 みら野

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どこか懐かしいデザインが特徴のガラス瓶には、カルロヴィ・ヴァリの水が入っています。ヨーロッパの水は硬水なため、日本と比べると味にクセがありますが、こちらの水はさっぱりとした味で飲みやすいですよ。ベヘロフカやカレル4世ビールなど、この土地で生み出されたリキュールの原料となった水、その本来の味を味わってみるのもいかがでしょうか。

カルロヴィ・ヴァリの文化が盛り込まれたレストラン

レストラン店内を見渡せばウィンクしながら微笑むカレル4世のイラストや、大ジョッキのビールを掲げて幸せそうな男性の壁画が。ドリンクメニューの一番上には、かつてこのレストランで醸造されていたベヘロフカの名前があります。来て見て楽しいレストラン「カレル4世」で、温泉リゾート地以外のカルロヴィ・ヴァリの魅力を感じてみませんか。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/12/15 訪問

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