コルドバの中心街は足ですぐに周遊できてしまうほどのコンパクトな規模です。繁華街は観光客で賑わっていますが、一歩奥へ足を踏み入れると、ひっそりと静まり返った小道や路地裏の存在に気づきます。その佇まいは、その昔にも吹き抜けた歴史を感じる風を感じるような気さえしてします。
南スペインの夏の日中の暑さはとても厳しいです。日本では経験のできない暑さに驚く方もいるかもしれません。
スペインには日陰のできる小さな広場に、暑さ凌ぎに休息が取れるようにベンチが街中に所々多く置かれています。何をするでもなく、ただ座っている地元の人々をよく見かけます。暑い中で勤しんでも体が堪えるだけということを身を以て知っているからでしょう。
日が落ちて動きやすい気温になると、人々は外に出て路地に座ってビールやタパスをつまみながらおしゃべりをしたり、チェスをしたり、新聞を読んだり、皆一様に涼しい時間を楽しみます。子供達も、驚くような時間まで外で遊んでいることも稀ではありません。
メスキータ(Mezquita)とはスペイン語でモスクを表し、実はあまり知られていませんがメスキータと一般的に呼ばれているケイン造物の正式名称は聖マリア大聖堂 (Catedral de Santa Maria de Cordoba)です。
初めにイスラム教の寺院として建造されたのは785年のこと。その後、このモスクを中心にイスラム文化が定着し、10世紀にアブド・アッラフマーン3世とハカム2世の治世の下で大きくコルドバは繁栄しました。
写真で見られるのは、イスラム教の礼拝の間です。レンガと石灰岩の赤と白の石で組まれた広い空間に広がる天井を支える柱とアーチ「円柱の森」です。その名前の通り、まるで森のように奥まで続くのです。これを見たさに訪れる方は多いのではないでしょうか。
13世紀半ばになるとキリスト教の勢力が強まり、コルドバはカスティーリャ王国の支配下に置かれました。その頃より徐々にメスキータ内にキリスト教のカテドラルや礼拝堂を徐々に200年以上かけて増築していったのです。それでもモスクの姿をここまで多く残したキリスト教会が存在するのは世界を見てもここだけだとか。まさに奇跡なのです!
イスラムの薫りが充満するメスキータ内を歩いていると突如として現れるのが天井がグッと高く、自然光の入ってくるキリスト教の礼拝堂です。先述した通り、奇跡そのものの図を目の前にすると身震いするほどです。
ここにも不思議なイスラムとキリストの融合する姿を発見!モスクのアーチの下にキリスト磔刑が。なんとも奇妙ですね。この合縁奇縁とでも言い表したくなるような箇所が盛り込まれているので、皆さんも探してみてください。
高さ約90mを誇るキリスト教の鐘楼が一際目立つオレンジの木の中庭は、かつてイスラム教徒たちが祈りを捧げる前に沐浴をして身を清めた場所でした。この一際目立つ鐘楼も、元はミナレットというモスクの尖塔でした。キリスト教の侵攻により、キリスト教徒たちが下の部分を鐘楼に改築したというわけです。
オレンジの木が植えられた中庭の周囲には、広々とした回廊がぐるりと巡っています。中央部のオレンジの木々のおかげでこの中庭は、アンダルシアの暑い太陽の日差を回避でき、涼むことができます。かつては身を清める神聖な場所でしたが、現在は、ここを訪れる観光客の休憩広場と化しているようです。
中庭に入る入り口にもイスラムとキリストの融合を発見!モスク特有のアーチと装飾が美しい門の壁面にマリア像が描かれたフレスコ画が。
ローマ橋(Puente Romano)はグアダルキビル川(Guadalquivir)
にかかる古代ローマ時代当時に作られた16のアーチで支えられたどっしりとした石橋です。全長は230mあり、この橋からメスキータや歴史地区を眺めることができます。時間のある方はぜひ足を伸ばしてみてください。
橋からの眺め。
最後におまけで美しい景色を眺めていただきましょう。少し離れてコルドバを見てみると、どのような土地に築かれた町なのかがよくわかります。台地の向こう側には永遠に続く田園風景が広がっています。こうしてみると、コルドバが、より神秘的に見えませんか?
何度も書いていますが、コルドバは実に不思議な町。イスラムとキリスト文化、またユダヤ文化も混在しているからです。建造物の歴史深い重厚感と、メスキータの美しさ、旧市街一帯が世界遺産に登録されるのも頷けます。世界の中でも希少な、というよりも唯一無二のこの2つの異文化融合の古都をぜひその目で皆さんも見て感じてください。鳥肌が立つこと間違いありません。
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