映像フィルムの歴史を振り返る、と言いますがどこから振り返るといいますと、それは「活弁時代」からです。聞きなれない言葉ですが、映像フィルムの黎明期(明治〜大正時代)はモノクロは当たり前として「音」がでないんですね〜。
そこで映像に合わせて説明をする「活動弁士」という解説者が必ずいたのです。もちろんビデオなどない時代ですから映画館でフィルムを見るわけですが、スクリーンの横に活動弁士が立ち、その映像解説を生で聞くという寸法です。
人形浄瑠璃に代表されるように「話芸」も一緒に楽しむのが日本の文化ですので、この活動弁士が映画スター並にもてはやされたそうな。
なお節電により館内は基本的に暗いです。しかし、これがまたいい味を出しています。通ったところがセンサーによってライトがつくのですが、文字通り「先」が見えないんです。映画の歴史を遡っていく順番で展示がされていますので、先の展開が読めない「仕様」としてとらえると面白いですね。
こうして活弁からトーキー(外国製の場合そのまま外国語が流れる)そして字幕スーパーへと映画は発展を遂げていくのですが、海外からの輸入映像作品だけでなく国産の映画もどんどん作られるようになっていきます。
コンテンツはもちろん!?時代劇。これに尽きます。大衆演劇の延長にあるわけですね。これは戦後国際的に大活躍をする黒澤明監督の「羅生門」「七人の侍」「赤ひげ」などにつながっていきます。時代劇モノは時代を超えて人気コンテンツというわけです。
昔の映像フィルムを見るだけなら、テレビでもなんでも見られるのでしょうが、この美術館のスゴイところは、「昔の機材」で「昔の映像フィルム」を放映するところにあります!
放映は毎時間に数回自動で放映されますが、席はたったの2席!ですので要注意!プライベート映画館のつもりで楽しむなら、ちょっと早めにスクリーンの前に行って座っておきましょう。
ちなみに館内にはこのほかにエポックメイキングな映像作品については、その関係機材や時代背景の展示のそばでTV画面で映像を流しています。映像フィルムの専門美術館ですから「百聞は一見に如かず」を地で行く展示というわけですね〜。実際に文字で読んでもわからない専門用語も多いので、すごく助かりますね。
さて日本の映像作品と言えば、欠かせないのがアニメーション作品。現在も国内外でアニメはお家芸として認識されてますよね。
今のようなアニメになるまでの歴史も「東京国立近代美術館フィルムセンター」では振り返ることができます。例えば黎明期はご覧の通り、人形をコマ送りする人形アニメや影絵アニメ、切り絵アニメなど様々な試みがなされていたことが分かります。
最近ではコンピューターで描かれるのが主流のアニメですが、アニメと言えば「セル画」のほうが馴染みがありますよね。パラパラ漫画と同じ理屈ですが、実際はこのように一枚一枚撮影していくんですね。
貴重なセル画の展示だけでなく、当時使用されていた機械も一緒に展示してあるので、その映像の製作過程も学べるのがすばらしいですね。
もうひとつ日本の映像文化を振り返るうえで欠かせないのが特殊撮影、いわゆる「特撮」ですね。もちろん「東京国立近代美術館フィルムセンター」ではこの分野の資料もしっかり押さえております。
特撮といえばウルトラマンやゴジラが有名ですが、2014年にハリウッド映画「GODZILLA」、2016年には日本映画で「シン・ゴジラ」とコンピューターグラフィックス技術を使用した「映画」のゴジラのほうが今や有名なのかもしれません。
子供のころ見ていた映像がすでに過去の「歴史」の一部というのは、映像文化の歴史の流れの速さを感じてしまいますね。
「東京国立近代美術館フィルムセンター」では今まで見てきた日本映画の歴史が常設展となっており、展示室の外にも往年のスターの写真がところせましと飾られています。これで一般大人210円はリーズナブルですよね〜。
さらに展示室内には企画展示(こちらは撮影禁止)も行われており、追加料金不要で観覧することができます。2017年1月29日までは戦後ドイツ(東ドイツ含む)の映画ポスター展というマニアックな!?展示が行われております。ぜひこちらもどうぞ!
いかがでしたでしょうか。このアートスポットは実際に映像を見て楽しむ、、まさに「百聞は一見に如かず」という体験型の美術館ですので、映画好き以外の方でも楽しめるのが特徴ですね。
東京国立近代美術館フィルムセンターは東京駅からほど近い京橋駅(東京メトロ銀座線)及び宝町駅(都営地下鉄浅草線宝町駅下車)から徒歩1分と抜群のアクセスですが、駐輪場や駐車場は一切ありませんのでご注意ください。
なお展示室はビルの7Fにあり、11:00am〜18:30pmという営業時間なのですが、ビル内にある映像関連の書籍を集めた図書室は12:30am〜18:30pmとなぜか開館が遅いので、こちらもご注意ください。
ではお気をつけていってらっしゃいませ〜
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(2024/4/20更新)
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