写真:小々石 曲允子
地図を見るJR・伊豆急行線伊東駅からバスに乗ること約30分、「梅の木平」の停留所で下車し来た方向を振り返った途端に目に飛び込んで来るのが、伊豆らしいシュロの木に囲まれたテーマパーク風の施設。「まぼろし博覧会」の会場です。
入場受付に辿り着くまでの石段の途中にも、怪しい姿態の人形やニセモノの祠などが連なり、ここが噂に違わぬファンタスティックな珍スポットであることを入場者は早々に予感することになります。
写真:小々石 曲允子
地図を見る元々植物園だったという敷地内は意外に広く、「密林にたたずむ大仏と古代文明」「昭和の時代を通り抜け」「悪酔い横丁」「魔界神社・祭礼の夕べ」の4つのエリアゾーンに大きく分かれています。このうち「悪酔い横丁」は2014年に設けられた比較的新しいエリア。
入場者は順路に従ってエリアを巡って行きますが、奇怪で過剰、シュール極まりない展示のオンパレードに思わず唖然、ツッコミどころに事欠きません。先のエリアゾーンに進むほどにディープ度が増して行くため、最後まで油断は禁物です。
写真:小々石 曲允子
地図を見る企業等による団体旅行の最盛期であった1960年代末から80年代にかけて、有名観光地や温泉地を中心に数多く作られた「秘宝館」。平成になってからの90年代以降、特に今世紀に入ってからは各地で廃館が相次ぎ、今や現存する秘宝館は本当にごくわずかとなっています。
しかし、そんな閉鎖された秘宝館から受け継いだ展示物の一部を、こちらの「まぼろし博覧会」で見ることができるのです。
まず「悪酔い横丁」のゾーンを抜け、「魔界神社・祭礼の夕べ」に向かう途中の遊歩道脇に立っているのが、「秘宝おじさん」の人形。「秘宝おじさん」とは、三重県伊勢市でかつて営業していた「元祖国際秘宝館」のマスコット・キャラクターで、国道に面した入口部分や館内に置かれていた人形の実物が、プロムナードで穏やかな笑みをたたえながら入場客の道行きを見守っています。
写真:小々石 曲允子
地図を見る続く「魔界神社・祭礼の夕べ」のエリアの中にも、「元祖国際秘宝館」やその姉妹館であった「鳥羽SF未来館」等で展示されていたものと同一のマネキン人形や装置がいくつか見られ、また現在では一般的にほとんど作製・流通することがなくなった動物のはく製が展示されている点に関しても、廃館となった秘宝館の展示物を引き取ったものと思われます。
表面の剥げなどの劣化度合やビジュアルセンス等から見て、おそらく他のエリアゾーンにも秘宝館経由の展示物が含まれている可能性は高く、昭和の秘宝館の残骸と面影を随所に残す、稀少な施設のひとつでもあると言えます。
ややマニアックではありますが、秘宝館ファン必見のスポットでもあるのです。
写真:小々石 曲允子
地図を見る写真:小々石 曲允子
地図を見る秘宝館を彷彿とさせる「トンデモ」展示ばかりが注目を集めがちな「まぼろし博覧会」。しかし、実はそういったインパクトの強い見世物系の展示以上の点数を誇るのが、昭和の貴重な時代資料だということをご存知でしたか?
「昭和の時代を通り抜け」のゾーンには、戦中・戦後の時代からまだ昭和の匂いが残る平成初頭までの広告宣伝用のポスター、看板、レコードジャケット、流行アイテム・玩具等が展示されており、時代を追いながらこれらの資料や展示品を眺めながら歩いているだけでも、あっという間に時間が過ぎてしまいます。中でも、映画の宣伝ポスターと商品広告のポスター類は掲示数が多く、つぶさに見て行くとこれだけでも半日以上かかりそうな程のボリュームと充実ぶりです。
また、懐かしい資料の周囲には、その頃の庶民の暮らしを怪しいシュール・テイストを交えて再現した当施設らしいブースも設けられており、レトロマニアはもちろん、若い人やまた当時を知る大人の目から見ても昭和の生活文化・風俗を面白く懐古出来る場所となっています。
写真:小々石 曲允子
地図を見る写真:小々石 曲允子
地図を見る昭和30〜40年代の高度成長期に活況を呈した観光地には、昔ながらのレトロな風情の観光ホテル、レジャー施設などが残っていることが多く、現代にはないユニークな意匠や趣を楽しむ目的で訪れる観光客が増えています。熱海と伊豆はまさにその中心となっている地域で、「まぼろし博覧会」はそのような目的でこの地域を訪れる若い人にとってのマスト・スポットともなっているようです。
昭和の懐かしいグッズや広告ポスター類なども数多く展示されていますので、往時を知る観光客にとっても存外に楽しめるスポットではありますが、本文中でご紹介しましたような秘宝館的なキッチュ(悪趣味)な展示も多々ありますので、苦手な方はどうぞご留意ください。
驚くほど雑多で無秩序でクレイジー。現代の洗練された感覚とは相当にズレがあるけれど、それゆえに今にはない突き抜けたパワーと面白さがある。秘宝館的な趣向も含めて、「まぼろし博覧会」は、そんな昭和由来の総天然色に彩られた迷宮と言えるでしょう。
ご興味が湧かれた方は、懐かしく仰天の異世界にぜひ1度足を踏み入れてみてくださいね!
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(2024/3/29更新)
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