冬の奈良「いかるがの里」で飛鳥ロマンの中心地をウォーキング

冬の奈良「いかるがの里」で飛鳥ロマンの中心地をウォーキング

更新日:2016/12/28 13:54

聖徳太子ゆかりの地「いかるがの里」の冬は、春の桜や秋の紅葉で賑わう観光客の姿が少ないので、寺社仏閣では行列に並ぶことなくゆっくり見学ができます。また、周辺道路をドライブする車も少ない季節なので、道路脇の道でも安全に田園風景を見ながらゆっくり歩くにはおススメの季節。
今回は、飛鳥ロマンの中心地を巡るウォーキングコースのご紹介です。

まずは松並木を通って、いかるがの里の中心である法隆寺から

まずは松並木を通って、いかるがの里の中心である法隆寺から
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ウォーキングのスタートは、法隆寺南大門へ延びる松並木。幅2m弱で長さ約300m参道であり、日常的に地元の人も往来する散歩道でもあります。松並木の外側にはお土産店や食堂が並びますが、今では珍しい松並木の地道を歩いてみてはいかがでしょうか。

まずは松並木を通って、いかるがの里の中心である法隆寺から
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いかるがの里とは、西暦601年に聖徳太子が斑鳩宮を造営した後に斑鳩宮に建立された斑鳩寺を中心とした太子ゆかりの広範囲の集落のことを呼びます。
松並木を通り抜けると、かつてこのいかるがの里の中心地であった斑鳩寺(現在では世界遺産の法隆寺)の入口、南大門が出現します。

飛鳥文化人の往来のあった中心地を歩く

飛鳥文化人の往来のあった中心地を歩く
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南大門(国宝)を通ると、正面が西院伽藍と呼ばれる建築群があります。中門(国宝)の西側にその入口があって、入口手前から五重塔とその東側に金堂が配置されており、北側にあたる中門に対して奥の正面に大講堂です。
五重塔と金堂を囲んで、中門と大講堂が回廊で結ばれた構造は、法隆寺伽藍配置法と言われる特有の構造です。

飛鳥文化人の往来のあった中心地を歩く
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中門あたりに立つと、左手に五重塔、右手に金堂。これらいずれの建築物の中にも、飛鳥文化からの仏像等が安置されています。
全ての建築物の外観だけでなく、内部に祀られた仏像からは、その荘厳さに圧倒されること間違いなし。時間をとって見学をどうぞ。

飛鳥文化人の往来のあった中心地を歩く
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建築物を囲む回廊長さは、東回廊が約76m、西回廊が約72m。この長い回廊もを聖徳太子も歩いていたんだなぁと想像するのもよし、世界最古の木造建築物ってこんなものなんだぁと考えるのもよし。この回廊でのウォーキングは、現在の慌ただしさを忘れさせてくれて、飛鳥時代に戻った気分になります。

西院伽藍の見学の後一息つくなら、西院伽藍入口前から約50m西の弁天池ほとりにある西茶所で。無料の日本茶で寒い身体をほっこりしてください。

静かに鎮魂の場所を歩く

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西院伽藍の出口から右手に東方向に進むと、左手で鏡池の向かい側が聖霊院(国宝)です。鎌倉時代以降に聖徳太子の御霊を法要する場所として、僧房(僧侶の住居)であった場所に聖徳太子の像を安置しています。聖徳太子のお姿を見たい方は必見の場所。江戸時代以降、一般の人々も太子のために手を合わせていた場所で、誰でも中に入って参拝が可能です。

静かに鎮魂の場所を歩く
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そして、聖霊院から東方向に向うと大宝蔵院。ここでは、百済観音(国宝)や聖徳太子にまつわる優品見学ができます。この大宝蔵院では飛鳥文化の逸品だけでなく、現代の有名画家の法隆寺にまつわる芸術作品も必見です。
長い鑑賞時間の後は、大宝蔵院の出口にも茶所とお手洗いがあるので、ここでも日本茶で一服を。
休憩のあとは、ウォーキングを再開して東大門(国宝)へ延びる道へ。この道は、かつて聖徳太子が造営した斑鳩宮があった場所へと続きます。

静かに鎮魂の場所を歩く
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斑鳩宮は、山背大兄王(聖徳太子の息子)の時代に蘇我氏に焼討ちされて今は建築物跡は何一つ残っていませんが、東大門を通りぬけてから東院伽藍の一体に存在していたことがわかっています。

法隆寺東の端にある東院伽藍は、一般に夢殿(八角円堂 国宝)と呼ばれる建築物で、こちらも聖徳太子の没後に供養するための場所。建築物の技巧だけでなく、かつて優雅だった斑鳩宮の悲惨な歴史を知って、鎮魂の場所を感じてみてください。

昔ながらの集落を通って法輪寺へ

昔ながらの集落を通って法輪寺へ
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東院伽藍入口前の土壁沿いの細い道を北方向に歩くと、すぐに田園風景。自動車の交通量も少ないので、ウォーキングするにはぴったりの道を歩くことができます。

昔ながらの集落を通って法輪寺へ
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田園風景の中に道筋が浮かんで見え、遠くの山々を遮るものはないので、遠くを見ながらゆったりした気分で歩けます。この辺りは三井集落とも言われる飛鳥時代からの村であり、その風景は昔から変わりがありません。
道の脇には、小春日和の日には陽が当たって暖かく感じるベンチもたくさんあるので、荷物を置いて陽の光を浴びてみてはいかがでしょうか。

昔ながらの集落を通って法輪寺へ
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田園風景の先に見えてくるのは法輪寺。山背大兄王らにより、聖徳太子の病気平癒のために建立されたお寺です。三重塔は昭和19年に落雷で消失してしまいましたが、国宝に匹敵する建築物であったため、色々な方々の努力で飛鳥時代のものと同等に再建されています。
冬の季節にお寺を引き立てるのは、椿の花と南天の実の赤。臙脂色の三重塔と合わせて冬の法輪寺の彩となっています。

さらに飛鳥時代と変わらない集落を通って法起寺へ

さらに飛鳥時代と変わらない集落を通って法起寺へ
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法輪寺から東方向の約500m先に進むと、法起寺(世界文化遺産)が見えてきます。聖徳太子が居た岡本宮を山背大兄王が太子の没後にお寺として建立しています。特に三重塔は、三重塔(国宝)として最大最古の建築物。小さな池を挟んだ飛鳥時代から健在する三重塔を眺めながらひと時を。

また、建築物近くからの風景だけでなく、周辺の風景を含めた三重塔も趣があります。お寺の脇にある地道は、プロカメラマンの写真スポットなので「いかるがの里」にふさわしい写真が撮れること間違いなしです。

さらに飛鳥時代と変わらない集落を通って法起寺へ
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法起寺からは、きた道を戻って約400m南に行くとカフェがあるので、コーヒータイムが取れます。スタート地点の松並木への復路は歩いてきた道を戻りますが、まだ歩きたりない方には、少し高台にある斑鳩神社(斑鳩天満宮)での参拝をおススメします。いかるがの里の集落で祀られているこの神社では、10月の第2土曜、日曜には盛大な秋祭りが行われるので人が多いですが、人が少ない冬にはゆっくりと参拝を。

また、斑鳩神社向かいの池のほとりからは、のどかな雰囲気を醸し出す法隆寺の五重塔を目の当たりにできます。是非、高台からの冬のいかるがの里の雰囲気を味わってみてください。

さらに飛鳥時代と変わらない集落を通って法起寺へ
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ウォーキングの最後は、スタートの松並木に向ってすでに歩いた道を戻るのも良いですが、法隆寺周辺でまだ歩いていない道を通ってみては。法隆寺周辺の通りの数が少なくてわかり易くて道に迷う心配もなありません。土壁が続く古い通りには、土壁の景色に馴染む民家風建物にカフェやお土産店があるので旅の思い出を。

以上のコースはほとんど平坦な道ですが、斑鳩神社への道のりだけが坂道なので、歩き慣れたシューズでウォーキングしてください。

法隆寺参道へは、JR法隆寺駅から徒歩20分、また、奈良交通バスの法隆寺前停留所すぐ。

「いかるがの里」は飛鳥時代からこの先も変わらぬままで

今回は、あえてゆっくり観光していただくために、あえて冬の季節のウォーキングコースをご紹介しました。冬ならではの、のどかな里の風景とその背景の歴史を感じることができます。
飛鳥時代からほとんど変わらない「いかるがの里」は、小春日和にはどの道も身体にやさしいウォーキングコース。ウォーキングで飛鳥時代の中心地を感じてみてはいかがでしょうか。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/12/15 訪問

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