江戸と東京。葛飾北斎ゆかりのスポットで、タイムスリップの旅

江戸と東京。葛飾北斎ゆかりのスポットで、タイムスリップの旅

更新日:2016/12/15 10:48

墨田区は東京23区の中でも、古い歴史を色濃く残している区の1つで、様々な活躍をした偉人が多数誕生している地でもあります。
中でも、国内外に大きな影響を与えた、浮世絵師「葛飾北斎」は、その墨田区で生涯の殆どを過ごし、題材にした作品を多く残している事で知られています。

2016年に新たにオープンした美術館と共に、北斎ゆかりのスポットを巡り、江戸へのタイムスリップ「ぶらり北斎さんぽ」してみましょう。

墨田区のニュースポット。すみだ北斎美術館は、超おすすめ!

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葛飾北斎は、宝暦10(1760)年9月に本所割下水(現・北斎通り)付近で生を受け、90歳で亡くなるまで、引っ越しをくり返しながらも墨田区内に住み続けました。

そのゆかりの地に、2016年11月世界的な評価を得ている建築家・妹島和世による設計で「すみだ北斎美術館」が誕生。シルバーのクールな外壁に鋭角なスリットが入った斬新なデザインの建物は、両国駅から10分程の緑町公園内にあります。

地下1階から地上4階の5フロアから成り、常設展示室や企画展示室、講座室、図書室、収蔵スペースなどを設け、すみだと北斎の深い関わりを学ぶ事が出来ます。北斎関連の収蔵作品数は約1800点。世界有数の北斎作品収集家で浮世絵の研究者の故ピーター・モースや楢崎宗重から譲り受けた資料も保存&展示されていて必見!

圧巻!北斎の名を高めた名作の数々

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開館記念展として、百年ぶりに発見された幻の絵巻『隅田川両岸景色図巻』の公開が話題となっていますが、それ以外でも、お馴染の『冨嶽三十六景』をはじめ、『諸国瀧廻り』や『諸国名橋奇覧』、『百物語』、花鳥画など、北斎の代表的な錦絵のシリーズ作品が一堂に展示されているのは、他ならぬこの美術館だけ。

また、3階の常設展示室は7つのエリアで構成されていて、各時代の代表作(実物大高精細レプリカ)をエピソードと交えて紹介するコーナーや、浮世絵の製作工程を映像で紹介するエリアタッチパネルモニターなどがあり、楽しみながら北斎とすみだとのつながりを知る事ができます。

更に、門人の露木為一が残した絵を元に再現された北斎のアトリエがかなりリアルで面白い。掃除もしたことのない荒れ果てた不潔極まりなく部屋で過ごしていたという説も、うまく表現されていました(笑)。

北斎の浮世絵と重ね合わせて、隅田川を歩く

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隅田川周辺には、北斎のゆかりの地がたくさんあり、作品として描かれた場所を訪ねて歩くのもオススメです。

彼の絵の題材で欠かせないのが隅田川。江戸時代の隅田川を描いた作品には、『隅田川両岸景色図巻』の他にも、『冨嶽三十六景』や『風流隅田川八景』などが挙げられます。
川に浮かぶ無数の小舟や屋形船。夕涼みをする男女、武士や商人、遊女たちなどが描かれ、江戸の風景や人々の暮らしぶりを知る事が出来ます。その中でも、一番目に付くのがなんと富士山。
今では考えられない、この場所から富士山が見えていたのです!北斎が数々の富士の絵も残していた理由は、常に身近にあったからなのでしょうね。

美しい回遊式庭園「旧安田庭園」で、北斎を偲ぶ。

美しい回遊式庭園「旧安田庭園」で、北斎を偲ぶ。

提供元:無料写真素材 東京デート

http://www.tokyo-date.net/machi_ryougoku/地図を見る

両国国技館の隣にある、元笠間藩主本庄因幡守によって築造された庭園「旧安田庭園」は、かつての隅田川の水を引き入れた池を配し、潮の干満によって変化する景観を楽しむ潮入り池泉回遊式庭園の姿を今日までとどめている区立公園です。

ここに北斎の浮世絵『馬尽シリーズ 駒止石』で描かれている駒止石が存在します。元々隅田川岸にあったものを庭園内に移されたもので、駒止石の由来は諸説ありますが、三代将軍家光の時代に隅田川が大洪水に見舞われた際、旗本の阿部豊後守忠秋が馬で隅田川を渡り、被害状況を検分した、その際に馬をつなぎ止めた石がこの駒止石と言われています。

園内はそう広くはありませんが、池を巡る散策路は変化に富んでいて、のんびり散歩するのに丁度良い場所です。
(改修工事のため2016年11月13日〜2017年3月下旬まで休館しています)

吉良上野介とも関わりがあった?吉良邸跡はちょっとした観光スポット

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北斎の曽祖父は、実は赤穂浪士討ち入りの夜、吉良上野介を守って討ち死にした小林平八郎だと、北斎本人が語っています。
忠臣蔵を題材とした浮世絵を描いたのは、北斎だけではありませんがシリーズものを描いているのは、そんな理由もあってでしょうか。特に『元禄赤穂浪士シリーズ 新板浮絵忠臣蔵第十一段目』には、吉良邸への討ち入りの場面が描かれていて小林平八郎も登場しています。

その吉良上野介の屋敷跡が、地元の有志会が発起人となって、本所松坂町公園として残されています。公園と言っても、約29.5坪ほどの敷地に、吉良上野介の首を洗った井戸を再現したり、吉良上野介を祀った稲荷神社、桜の木などがある程度で、むしろ記念広場と言った方が正しいかもしれません。
内部の壁面には義士関係の記録や絵画が銅板で展示されていて、北斎ファンのみならず、忠臣蔵ファンもたくさん訪れているスポットです。

北斎ゆかりのスポットは、まだまだあります

今回ご紹介したのは、両国エリアに限ってでしたが、スカイツリーのある地下鉄押上駅から北側にもゆかりのスポットがあるので、1日かけてゆっくり散策するのも良いでしょう。

目玉のすみだ北斎美術館の詳細は、下記の通りです。
*開館記念展「北斎の帰還-幻の絵巻と名品コレクション-」
会期:2016年11月22日(火)〜2017年1月15日(日)開催日数43日間
   前期 11月22日(火)〜12月18日(日)
   後期 12月20日(火)〜1月15日(日)
休館日:毎週月曜日(祝日・振替休日の場合は翌平日)、年末年始
開館時間:午前9時30分〜午後5時30分(入館は閉館の30分前まで)

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掲載内容は執筆時点のものです。 2016/12/05 訪問

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