南ドイツにあるロルシュ修道院は、8世紀に生まれた歴史ある世界遺産です。南ドイツ一の蔵書量を誇る図書館を持ち、文化の中心地として中世を通じ栄華を極めました。特に古書の作成と収集を得意としており、ロルシュ修道院の歴史書なしには、中世ヨーロッパの歴史は明かされなかったかも知れません。
しかし、ロルシュ修道院は中世が終わる頃には跡形もなく無くなりました。
現在残されているのは、近代に復元された小さな門(王の門)一つで、後は空き地になっています。当時の栄華を期待して訪れる者を確実にがっかり、もしくは呆然とさせてくれます。
写真:藤 華酉
地図を見るそれでも、南ドイツの修道院文化が失われた訳ではありません。ロルシュから電車で一時間程の町には、こちらも世界遺産に登録されているマウルブロン修道院が残されています。中世の頃のほぼ完全な形を残しているマウルブロンの修道院の美しさに触れると、かつてはその何倍もの規模を誇っていたと言うロルシュ修道院の失われた偉大さに気付き、しんみりとした気持ちになるかも知れません。
写真:藤 華酉
地図を見るシュパイヤー大聖堂は南ドイツに建つ、大聖堂の名に恥じない巨大な聖堂です。しかし、訪れた者はそのコンクリートっぽい仕立ての味も素っ気も無い新築の大聖堂に、なぜここが世界遺産に…?と首を傾げるでしょう。特に世界遺産に登録されている訳でも無いのに、千年以上の歴史を持つ教会がゴロゴロ建っているヨーロッパを旅した後なら、尚のこと不思議ですね。
シュパイヤー大聖堂は11世紀に建築され、神聖ローマ帝国の皇帝達が眠る場所として愛されていました。高すぎる名声が呼び寄せたのか、中世の後期には3度に渡ってフランス軍に焼き払われています。焼失する度に大聖堂は建て直され、最後に修築が終わったのは現代に入ってからの事です。その為、古い飾りは何も残されておらず、装飾性に欠けるコンクリートの教会は、何が特別なのやらさっぱり分かりません。
実際、新築のシュパイヤー大聖堂を世界遺産として認めるべきか否かについては議論が重ねられました。しかし、度重なる災害の度に修復を行った人々の執念と情熱、シュパイヤー大聖堂がドイツの歴史の中で果たした大きな役割を思えば、世界遺産に登録されるのは当然の流れだったのかも知れません。
提供元:Mr.Marbot
https://en.wikipedia.org/wiki/Berlin_Modernism_Hou…ベルリンのモダニズム集合住宅群は、現代のマンションの礎となった、近代建築の長です。
その見た目は、特にオシャレでもない普通のマンション。まだ人が暮らしており、見学不可能な部分も多い事がますます「どこにでもあるマンション」感をかもし出しています。
しかし、ベルリンのモダニズム集合住宅群が建築された1980年代には、これらの建物は近未来の現れでした。衛生的で合理的、余りに整合が取れていた為、以後は世界各国でこの形式が一般化された程です。ベルリンのモダニズム集合住宅は、余りに有名になり、一般化された為に何か素晴らしいのか分からない、逆がっかり世界遺産と言えるかも知れません。
写真:藤 華酉
地図を見る船を難破させる麗しくも危険な妖精が棲むと言われ、ハイネの「ローレライ」の歌で名高いローレライの岩は、世界遺産にも登録されているライン川にあります。この神秘的な伝説を求めてライン川下りに参加される人も多いのではないでしょうか。ライン川の景観もまた、世界遺産の認定を受けています。
しかし、ローレライの岩場がどこにあるか観光客には分からない為、最近ではローレライの岩場が近付くと、船上ではローレライの歌を流すようになりました。(ちなみに写真の左側の岩です)
例えローレライの岩場が「ふーん…」の感想で終わってしまおうと、次から次へと古城が現われ、ワイン畑の緑が目を癒すライン川下りに参加した事を後悔する事は無いでしょう。
マーライオンや人魚姫の像など、世界には訪れる人々をガッカリさせ続ける観光スポットが数多くあります。世界遺産だからと言って、万人の目を楽しませる訳ではありません。しかし、消え去った遺構の中にも歴史はあるもの。知って訪れればがっかりポイントさえ愛おしい、奥深いツウ向けの世界遺産を是非じっくりとお楽しみ下さい。
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(2024/4/26更新)
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