辰野金吾の故郷に唯一残る“辰野式”建築!佐賀県唐津市「旧唐津銀行」

辰野金吾の故郷に唯一残る“辰野式”建築!佐賀県唐津市「旧唐津銀行」

更新日:2016/12/28 15:36

“東京駅”や“日本銀行本店”を始めとする国内外の有名建築の設計に携わった日本を代表する建築家・辰野金吾の出身地はどこか御存知でしょうか。
1854年に、辰野金吾は現在の佐賀県唐津市に生まれました。そして故郷の唐津に残る唯一の“辰野式”建築物が「旧唐津銀行」。現在は一般に無料公開され、夜にはライトアップされる「旧唐津銀行」を様々な人物と共に御紹介致します。

「旧唐津銀行」の概要とアクセス

「旧唐津銀行」の概要とアクセス

提供元:(一社)唐津観光協会

http://www.karatsu-kankou.jp/地図を見る

JR唐津駅の北口から歩いて約10分の場所にあるのが、唐津の近代経済発展の礎ともなった「旧唐津銀行」。監修したのは、唐津出身で日本の建築学の基礎を築いた建築家・辰野金吾(たつの きんご、1854年〜1919年)です。

1912年(明治45年)に竣工し、1997年(平成9年)まで銀行として営業していましたが、後に唐津市に寄贈され、現在は無料で一般公開されています。駅からのアクセスも良く、唐津の代表的観光スポットのひとつです。

赤レンガと白い花崗岩を組み合わせ、屋根の上に塔やドームなどを載せた“辰野式”建築を間近で楽しんでみて下さい。

唐津出身の二人の有名建築家・辰野金吾と曽禰達蔵

唐津出身の二人の有名建築家・辰野金吾と曽禰達蔵
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飾り格子が付き、銀行として今では見られない木製カウンターがどっしりと構えた1階部分。入り口付近には、辰野金吾と同じく唐津出身で、“旧三菱銀行神戸支店”や“慶應義塾大学図書館”などを手掛けた建築家・曽禰達蔵(そね たつぞう、1852年〜1937年)の胸像も展示されています。

2008年(平成20年)から3年間の保存修理工事を経て、2011年(平成23年)に一般公開が開始されました。建築デザインの特徴や創建当時の姿へ戻すための修復工事の模様など写真と共に紹介されています。

1億円の重みを体感!

1億円の重みを体感!
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唐津銀行は1885年(明治18年)に設立し、翌年に開業しました。初代頭取には、唐津藩の英語学校“耐恒寮”で、辰野金吾や曽禰達蔵と共に学んだ大島小太郎(おおしま こたろう、1859年〜1947年)が就任。

1955年(昭和30年)には佐賀興業銀行と合併、佐賀銀行となり建物は「佐賀銀行唐津支店」となりました。地元の金融機関として、多くの貨幣や紙幣が取り扱われたと思いますが、こちらでは、新札1億円が用意されています。

もちろん、1億円分のレプリカです。でも、大きさ、重さは本物と同様。いつか手にするであろう1億円の重みを体感してみてはいかがでしょうか。

「旧唐津銀行」の監修は辰野金吾、設計は愛弟子の田中実

「旧唐津銀行」の監修は辰野金吾、設計は愛弟子の田中実
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「旧唐津銀行」の2階の展示室では、辰野金吾が手掛けた“東京駅”や“日本銀行本店”に関する資料や唐津銀行の創建に携わった人物たちの紹介がされています。

因みに「旧唐津銀行」の監修は辰野金吾ですが、設計したのは愛弟子の田中実(たなか みのる、1885年〜1949年)。というのも当時、辰野金吾は国家プロジェクト“東京駅”の設計工事の最中であったためです。

建築家・田中実は師匠の故郷である事に配慮し、建築全体のデザインには典型的な“辰野式”を採用しつつ、赤レンガ調タイル等を用いた独自のデザインも取り入れ完成させたのです。

夜にはライトアップも

夜にはライトアップも
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その他に、重役室や来賓室なども観覧できるようになっています。館内にある大きな鏡や暖炉、窓ガラスなどは創建当時のものが使われています。柱頭に渦巻き装飾がつくイオニア式の柱やケヤキの木目を生かした手すりの付いた階段など、細かい部分までチェックして味わってみて下さい。

夜にはライトアップされ、昼間とはまた異なる雰囲気を味わえるのもポイントです。食事や観光の帰りに散策しながら、唐津の夜に煌めく「旧唐津銀行」も良いですね。

佐賀県唐津市「旧唐津銀行」のまとめ

周辺には、国指定重要文化財の近代和風建築を堪能できる“旧高取邸”や“唐津城”、日本三大松原のひとつ“虹の松原”など、観光スポットも豊富なので「旧唐津銀行」と併せて巡ってみてはいかがでしょうか。

以上、日本の近代建築の基礎を築いた建築家・辰野金吾の故郷に唯一残された“辰野式”建築、佐賀県唐津市にある「旧唐津銀行」の御紹介でした。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/08/27−2016/08/28 訪問

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