超貴重な陶磁器を心ゆくまで鑑賞!「大阪市立東洋陶磁美術館」

超貴重な陶磁器を心ゆくまで鑑賞!「大阪市立東洋陶磁美術館」

更新日:2016/12/19 14:15

島塚 渓のプロフィール写真 島塚 渓 トラベルライター
大阪の都心部にありながら、緑と水を感じられる癒しスポット中之島。
2つの川に挟まれたこのエリアには、大阪市立科学館や国立国際美術館といった文化的な施設が多く集まっています。

今回紹介する「大阪市立東洋陶磁美術館」も中之島エリアにある美術館の1つ。コレクションの質・量ともに世界第1級を誇り、『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』第4版(2015年)にも掲載されている、大注目の観光スポットです。

「大阪市立東洋陶磁美術館」へのアクセス

「大阪市立東洋陶磁美術館」へのアクセス

写真:島塚 渓

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“中之島”という地名は、堂島川と土佐堀川という2つの川に挟まれた、中州一帯を指しています。
江戸時代には諸藩の蔵屋敷が立ち並び、全国から物資が集まってきたことから“天下の台所”という大阪の異名のもとにもなりました。

現在の中之島は文化施設やホテルが集まる優雅な癒しエリア。
2008年には京阪中之島線が開通したことにより、交通の便も格段にUPしました。
今回紹介する「大阪市立東洋陶磁美術館」に行くのにも、中之島線の「なにわ橋駅」1号出口を利用すれば、歩いてすぐの距離。(地下鉄御堂筋線・京阪本線「淀屋橋駅」と地下鉄堺筋線・京阪本線「北浜駅」からは約400mの距離となっています。)

いっぽう「大阪市立東洋陶磁美術館」には専用の駐車場がないため、車での来館は困難。周辺のコインパーキングも都市部で割高なところが多いため、公共交通機関を利用するのがおススメです。

「大阪市立東洋陶磁美術館」は世界的な収蔵品を誇る美術館

「大阪市立東洋陶磁美術館」は世界的な収蔵品を誇る美術館

写真:島塚 渓

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1階で受付を済ませると、さっそく展示室のある2階へGO!
「“東洋”陶磁美術館」という名前のとおり、ここは“中国”“韓国”“日本”の陶磁器を鑑賞できる美術館。収蔵品は約6000点を数え、陶磁器に関する超一流のコレクションを誇っています。
特に中国・韓国の収蔵品は世界的にも名高く、国宝に2点、重要文化財に13点が指定されています。

そんな貴重な陶磁器コレクションを鑑賞するために、展示室は大小合わせて11室が設けられており、各時代の優品をたっぷりと堪能することができます。
展示品の量が多く、キャプションもかなり充実しているので、すべてを集中して見ようと思えば、かなりの気合が必要。あらかじめ下調べをして、陶磁器の基本的な知識を頭の中に入れておかないと、情報量の多さについていけなくなるかもしれません。

また、展示室内の撮影は禁止ですが、1階玄関前と2階の第2ロビーはOK。
展示会によっては、2階のロビーに作品が置かれていることもあるので、その時はぜひ写真に収めてみてください。

韓国陶磁器の鑑賞ポイントは?

韓国陶磁器の鑑賞ポイントは?

写真:島塚 渓

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「大阪市立東洋陶磁美術館」の注目ポイントは、なんといっても中国・韓国の第1級の陶磁器コレクションが見られる点!常設展では韓国陶磁の展示室4つ、中国陶磁の展示室3つを使って、両国の陶磁史全体像がつかめるように工夫されています。

まず、韓国陶磁室では、高麗時代(918〜1392年)から朝鮮時代(1392〜1910年)にかけて作られた陶磁器が展示されています。ここで見られる主な陶磁器は“青磁”“粉青沙器(ふんせいさき)”“白磁”といった種類のもの。

おそらく“青磁”は、多くの方がなんとなくイメージできると思います。青緑色の釉薬がかかった高級感あふれる花瓶やお皿を、教科書などで見たという記憶があるかもしれません。
朝鮮では中国の影響を受けて早くから、青磁が作られていたようです。なかでも12世紀ごろに登場する「翡色(ひしょく)」と呼ばれる深い青みを帯びた青磁は必見。その美しさに吸い込まれそうになるのが青磁の魅力です。

次の多くの方が耳にしたことがないであろう“粉青沙器”とは、白土を用いて化粧掛けした陶器の総称。象嵌や刷毛目といった、さまざまな技法が見どころの陶磁器です!

そして15世紀初頭になって本格的に作られはじめたのが“白磁”。この純白の色が、清廉・高潔の象徴として考えられ、上流階級の間で受け入れらるようになった陶磁器です。

中国陶磁器の2つの国宝

中国陶磁器の2つの国宝

写真:島塚 渓

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つづいて「大阪市立東洋陶磁美術館」のおススメ展示品が揃っている中国の陶磁器類もご紹介します。さきほどの韓国陶磁室の展示とおなじように、時代を通して1級品の収蔵品を鑑賞できるのがポイント。
なかでも、おススメは“飛青磁花生(とびせいじはないけ)”“油滴天目茶碗(ゆてきてんもくちゃわん)”という2点の国宝。

“飛青磁花生”は青磁製造で有名な中国の龍泉窯(りゅうせんよう)で焼かれた花瓶。表面に鉄斑を散らした模様があることから、飛青磁という名前がついています。その透き通った青は、見る人を誘惑するような妖しさを持っています。

そして建窯(けんよう)という窯(かま)で作られたお茶碗が“油滴天目茶碗”。油の滴のように金や銀に輝く斑点があることから、この名前がつきました。日本に8点しかない、国宝茶碗の1つです。
(写真の作品は企画展での水滴になります)

ちなみに、これら2つの国宝は、常時展示されているわけではないので、注意が必要です。絶対に見たいという方は「大阪市立東洋陶磁美術館」のホームページ等であらかじめ確認してから、足を運ぶようにしてください。

入館料はあらかじめ調べておくべし

今回紹介した「大阪市立東洋陶磁美術館」の見どころは、何と言っても中国・韓国の陶磁器。焼き物が好きな人もこれまであまり気に留めていなかった人も、1級品のコレクションを鑑賞することで、新たな興味が芽生えてくるかもしれません。

また、常設展の入館料は500円になっていますが、特別展・企画展などを開催しているときは展示によって入館料が変わるので、注意が必要です。
さらに特別展・企画展を開催しているあいだは、常設展だけを見るということはできないので、あらかじめ料金を調べていくことが大切ですよ。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/11/17 訪問

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