写真:藤井 麻未
地図を見るコルド・シュルシエルはフランス南西部、ミディピレネー地方に存在する。この地方には「美しい村」が最も多く、中心都市トゥールーズを拠点としていくつか街や村を巡ると良い。
トゥールーズから約80kmほどの場所にあるのが「天空の村」の異名を持つコルド・シュルシエルだ。村の内部に入る前にまずは全景を眺められる小高い丘へ向かおう。周囲にはどこか懐かしさ漂う長閑な田園風景が広がり、時おり吹く風は木々を揺らして田舎独特の牧歌的な匂いを運んでくる。丘を上がりきったところで前方に目を向けると、そこには幻想的なコルド・シュルシエルの全景が姿を現す。
小高い丘の斜面には小さな家々が肩を寄せるようにして張り付き、丘全体がまるごと村のようになっている。天に向かって伸びるような独特の景観はなるほど「天空の村」と呼ばれる所以であり、ジブリの代表作「天空の城ラピュタ」のモデルとなったというのも頷ける。とりわけ雲や霧が出ている時にはまるで本当に空の上に村が浮かんでいるように見えて、その美しさは余計に際立つ。
写真:藤井 麻未
地図を見るさて、天空に浮かぶ村の全景を堪能した後はいよいよ内部へと向かおう。車は入れないため丘の麓からは細く急な坂道を徒歩で上がって行くこととなる。
夏は観光客で賑わう村も、少しシーズンを外すとぐっと人が少なくなる。土産物屋やカフェが開き多くの観光客で賑わう村も楽しいが、オフシーズンに訪れる人のいない村もまた何とも言えない趣がある。こういった小村の場合はシーズンのオンとオフの差が激しく、そのコントラストを楽しむのもまた面白い。観光客のいない村は静まり返り、まるでおとぎ話の世界のような、不思議なベールを纏っている。
写真:藤井 麻未
地図を見る一見ゴーストタウンのようなひっそりとした街並も、よく観察してみると人々の生活の息吹が感じられる。玄関先に飾られた生花やリース。蔦の絡んだ窓は開き、中からは楽しげな家族の笑い声が響いていたり。陶芸や彫刻のアトリエが多く集まるコルドでは小さな小屋で黙々と作業をする人々の気配があり、軒先で読書に耽る村民の姿に出くわしたりもする。そういった密かな発見もコルドを訪れる醍醐味なのだ。
写真:藤井 麻未
地図を見るミディピレネー地方には、他にも美しい街や村が存在する。最後に、トゥールーズからコルド・シュルシエルへ至る際に立ち寄りやすいおススメの街をひとつご紹介しよう。
ちょうどトゥールーズからコルドへと至る途中に、アルビという街がある。アルビはフランスの画家ロートレックの故郷であり、宗教都市としての歴史と、何より中世から続く美しい旧市街の景観故、世界遺産に登録されている。アルビを訪れるなら日没前がおススメだ。陽が傾き始める夕暮れ時にタルン川にかかる橋からヴュー橋、そしてその向こうに広がる旧市街を眺めてみて欲しい。夕陽の最後輝きを受けて、橙色に輝く煉瓦造りの街並は言葉を失うほどに美しい。せっかくならば、こういった周辺の美しい街や村をいくつか組み合わせて周ると、旅の思い出もより素敵なものとなるだろう。
フランス各地に点在する「最も美しい村」の数々は、決して派手な見所があるわけではない。そこにあるのは古くから続く村民たちの変わらぬ生活や文化、自然と一体化した小さな村のありのままの姿だ。しかしこれらに触れたとき、私たちの胸には何とも言えない懐かしさや古き良きものに対するしみじみとした感慨が涌いてくる。
丘の上に孤立したようにある「天空の村」コルド・シュルシエルも、そんな独特の魅力を放つ村だ。ブティックやカフェの並ぶ華やかな街も素敵だけれど、こういった素朴な村巡りもフランスを旅するテーマのひとつとしてみてはいかがだろうか。
この記事の関連MEMO
- PR -
トラベルjpで250社の旅行をまとめて比較!
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索
(2024/4/26更新)
- 広告 -