シェーンブルンとは「美しい泉」という意味。宮殿の名はこの地に湧き出す清らかな泉にちなんでいます。17世紀末に夏の離宮として建てられたのが始まりで、18世紀、女帝マリア・テレジアによって現在の姿に改築されました。
ウィーンにはハプスブルグ家の宮殿がいくつかありますが、規模はシェーンブルン宮殿が最大。「マリア・テレジア・イエロー」と呼ばれる黄色い壁面が印象的です。宮殿は外観はバロック様式、内部はロココ様式で1400室もの部屋があります。
現在はそのうち絢爛豪華な大広間やホール、皇帝一家の暮らした部屋など約40室が公開されています。中でも「会議は踊る、されど進まず」の言葉で知られるウィーン会議の舞踏会の会場となった大広間「グローセ・ギャラリー」や6歳のモーツァルトが御前演奏をした「鏡の間」は必見です。
宮殿の背後には広大な庭園が広がります。マリア・テレジアの時代から造営が始められたフランス・バロック様式で、シェーンブルンの丘のネプチューンの噴水を中心に、ローマ遺跡風の石造物やグロリエッテ、迷路庭園、動物園、ヨーロッパ最大の温室、さらには日本庭園などもあり、見る者を飽きさせません。
宮殿の前から庭園へはミニ鉄道も走っています。9つの駅があり約45分で一周しますので、散策の途中で利用してみるのも楽しいですよ。
宮殿内にはいくつかのカフェがありますが、一番のおすすめはこちら。動物園内にある「皇帝のパビリオン」という建物を利用したカフェです。
シェーンブルン宮殿内にあるウィーン動物園は、現存する動物園としては世界最古。1752年、神聖ローマ帝国皇帝フランツ1世が、妻であるマリア・テレジアのために造ったことに始まります。
「皇帝のパビリオン」は動物園のほぼ中央に位置し、ここから園内へ道が放射状に延びています。皇帝夫妻は世界各地から集めた珍しい動物をながめながら、朝食を楽しんだといいます。
パビリオンは八角形で、マリア・テレジアの誕生日にはこのパビリオンにまっすぐに陽の光が差し込むように設計されているのだそう。夫君フランツ1世の深い愛を感じますね。
宮殿の後方、シェーンブルンの丘の上に建つのがグロリエッテ。
シェーンブルン宮殿はマリア・テレジアの居城であり、その娘マリー・アントワネットも15歳までこの宮殿で暮らしました。グロリエッテはフランスへ嫁いだマリー・アントワネットからの強い勧めでマリア・テレジアが建てたもの。彼女はこのグロリエッテをことのほか愛し、忙しい公務の間にも屋上テラスでコーヒーを楽しんだといいます。
現在のグロリエッテは第二次大戦で爆破されたのちの再建で、内部にカフェも併設されています。
グロリエッテからの眺めはすばらしく、庭園と宮殿、そしてウィーンの街並みが一望できます。宮殿からグロリエッテまでは徒歩で20分ほど。有料ですが、屋上テラスにも上がることができます。丘の上からの眺望をぜひ楽しんでくださいね。
いかがでしょうか。マリア・テレジアが愛する家族と過ごし、数々の歴史の舞台ともなったシェーンブルン宮殿。宮殿にはこのほか馬車博物館や子供博物館も併設されています。子供博物館では宮殿での生活用具の展示や子供が当時の宮廷衣装を着て写真を撮ることのできるスペースがあり、馬車博物館では皇帝の婚礼や葬送に使われた馬車、フランツ・ヨーゼフ1世とエリザベートの婚礼衣装などを見ることができます。また、近くの技術博物館ではエリザベートの宮廷サロン車両を展示しているので、立ち寄ってみるのもおもしろいですよ。
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