写真:car min
地図を見るナミビアの北部に鉱業で発展した町ツメブ(Tsumeb)があります。この町は1905年にドイツの植民者によって開かれ、現在も当時の様子を記録した博物館が町の中にあります。ツメブは北部ナミビアの玄関口として重要で、多くの野生動物が生息するエトシャ国立公園に行くにも便利な場所にあります。
このツメブから南へ約55Km、オタビ山脈の山肌を見ながら車で約40分走ると一面に広がる農場が見えてきます。その見渡す限りの畑と平原しかない場所に突如として石造りの壁が見えてきます。
写真:car min
地図を見る「ホバ隕石」には地面衝突時にできるクレーターが無く、そのため地中に埋まった隕石の発見は本当に偶然の産物でした。1920年に農園、ホバ・ウエスト・ファームで農夫が牛で畑を耕している時に鋤に硬い物があたりました。通常の石と異なるその硬い石は、科学者ジェイコブス・ブリッツ(Jacobus Hermanus Brits)により20km離れたグルートフォンティン(Grootfontein)の研究所に報告され、隕石だと確定されました。
発見当初は畑の中にそのまま置かれていたため、破壊行為などがあり、ナミビア政府は「ホバ隕石」を1950年に国定記念物に指定し、保護策を講じました。その後1987年に当時の農場所有者が「ホバ隕石」とその周囲の土地を国に寄付し、国はツーリスト・センターを開設して「ホバ隕石」の保存の強化策を図りました。現在は入場料を払って見学できるようになっています。
写真:car min
地図を見る入口からナミビア固有のアロエが並ぶ通路を奥に進むと、石で円に形づくられた小さなコロッセオのような場所に、とても存在感がある「ホバ隕石」が鎮座しています。「ホバ隕石」は国定記念物に指定されていますが、訪れた見学者は実際に触れることができます。その堂々とした大きさは縦・横各約2.7m、厚さ約1mあり、成人男性が数名その上に寝転がってもまだ余裕のある大きさなので、訪ねた際には「ホバ隕石」の上での記念撮影をすることも可能です。
写真:car min
地図を見る「ホバ隕石」はこれまで発見された中で世界最大の隕石で、成分は鉄82.4%、ニッケル16.4%、そしてその他コバルト、炭素、クロムなどが含まれていて、地上でみつかった天然の鉄の塊としても史上最大の大きさです。発見時は約66トンほどの重さがありましたが、浸食や調査のためのサンプル採取、また盗難目的の破壊行為で現在の重さは約60トンになっています。
世界第二位とされるアルゼンチンのカンポ・デル・シエロ隕石の重量が約37トンといわれ、それを比較してみても、その規模の大きさが分かります。1954年にはアメリカの自然史博物館がこの「ホバ隕石」を購入しようと試みましたが、とても重くて動かせないということで断念したという逸話があるほどの重さなのです。そのため「ホバ隕石」は地球に落ちてきたその場所で現在も静かに時を過ごしています。
「ホバ隕石」が地上に落ちて来たのが8万年前と考えられていますが、隕石そのものは2億から4億年前のもので、クレーターが残っていないのはその昔、巨大な突風が取り除いたからではないかと考えられていますが解明はされていません。そのような神秘的な「ホバ隕石」は単なる展示物ではなく、直に触れることができる貴重な歴史の代弁者で、どのような旅路で地球にやってきたのか、「ホバ隕石」に直接耳をつけると何か宇宙からのメッセージを聞くことができるかもしれませんね。
「ホバ隕石」までの道のりはナミビアの手つかずの自然が多く残り、オタビ山脈の尾根を超える道中では日本にはない山肌の質感を見ることができます。またカラハリ砂漠の一端でもあるので、赤い砂漠の砂が混じる地面の色の変化なども楽しんでくださいね。
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(2024/4/26更新)
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