京都「二条城」は大政奉還の舞台!見どころ徹底ガイド

京都「二条城」は大政奉還の舞台!見どころ徹底ガイド

更新日:2020/07/02 16:56

bowのプロフィール写真 bow トラベルライター
2017年で徳川幕府が終焉を遂げた大政奉還から150周年!その舞台となったのは世界遺産二条城。巨大な天守があるわけでもなく、ビジュアル的には印象の薄い存在ですが、連日多くの観光客が訪れる京都屈指の観光スポット!そんな二条城の魅力を徹底ガイドいたします。

徳川家の栄枯盛衰の目撃者だった「二条城」

徳川家の栄枯盛衰の目撃者だった「二条城」

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京都が誇る世界遺産二条城は1603年(慶長8年)に徳川家康が上洛した際の宿泊所として築城されました。徳川幕府の終わりを告げる大政奉還が二条城で表明されたということは有名ですが、徳川家康が征夷大将軍に任命された際、重臣や公家衆などを招いて盛大に祝賀の儀を行ったのもここ二条城。つまり江戸時代の終焉だけでなく幕開けの場でもあったのです。

そして三代将軍家光の頃には後水尾天皇が二条城へ行幸。5日間にも渡る壮大な行幸は徳川家の隆盛を天下に知らしめました。このように二条城は江戸時代の幕開け、絶頂期、そして終焉を見届けてきたのです。

徳川家の栄枯盛衰の目撃者だった「二条城」

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そんな二条城は歴史のターニングポイントにも顔を出します。1611年(慶長16年)には二条城二の丸御殿で徳川家康と豊臣秀頼が会見を持ちます。この時、秀頼の成長ぶりに驚いた家康は豊臣氏を滅ぼす決意をしたとされています。いわば大阪の陣のきっかけとなった場所とも言えるでしょう。

余談ですが、江戸中期の逸話・見聞集である「明良洪範(めいりょうこうはん)」には秀頼の身長が6尺5寸、体重は43貫と記されています。これを今の数字に直すと196cm160kg!とんでもない巨漢だったとされ、そこから発するカリスマ性にも家康は恐れたと言われています。

重要文化財「唐門」は第一のみどころ

重要文化財「唐門」は第一のみどころ

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今日の二条城の原型が整ったのは、三代将軍家光が後水尾天皇を二条城へ招くために数年がかりで行った大改築によるもの。創建は家康ですが、完成させたのは家光といえます。国宝・二の丸御殿の正門にあたる唐門は重要文化財であり、これもまた後水尾天皇行幸の際に設置されました。

唐門は切妻造の四脚門で、堂々たる唐破風や極彩色の彫刻が特徴。同時代の唐門の中では国内最大級といわれています。

重要文化財「唐門」は第一のみどころ

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そんな唐門は2013年に修復工事が完了。檜皮葺の張替え、金箔貼りなおし、漆塗り替え、彫刻の彩色など全面的な修復により当時の輝きを取り戻しました。彫刻や金の飾金具などを見ているとどことなく日光東照宮を彷彿とさせるような門でもあります。

重要文化財「唐門」は第一のみどころ

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この唐門を眺めていると、少し違和感を抱く部分があります。そう、徳川の城だというのに菊の御紋だらけなのです。

二条城の現在の正式名称は「元離宮二条城」。明治維新後は徳川家から皇室所有になり「二条離宮」と名を変えた時代があったのです。その後旧宮内省から京都市へ下賜されており、現在は京都市の所有となっています。

実はこの唐門の修復の際、菊の御紋をはがしたところ下からは葵の御紋が出てきたのだそう。ちょうど葵の御紋を隠す蓋のように菊の御紋が張り付けられていたのです!唐門以外にも菊の御紋はありますが、全てが菊の御紋に差替えられたわけではなく、いくつかは葵の御紋も残っています。ディズニーランドの隠れミッキーのように隠れ葵の御紋を探してみるのも面白いかもしれませんね。

日本建築史上重要な遺構・国宝「二の丸御殿」

日本建築史上重要な遺構・国宝「二の丸御殿」

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お城の顔ともいえる天守。全国の有名なお城でも実は鉄筋コンクリート製の天守が多く、創建当時からの天守を残す「現存天守」は12のお城だけで「現存十二天守」とも呼ばれ、その価値が評価されています。

しかし天守ではなく住まいの部分である「御殿」が現存するのはたったの4つ、高知城・掛川城・川越城と二条城のみ!その中でも唯一御殿として国宝の指定を受けているのが二条城なのです。江戸時代初期の住宅様式である書院造の代表例として日本の建築史上重要な遺構とされています。

遠侍、式台、大広間、蘇鉄の間、黒書院、白書院の6棟が立ち並ぶ御殿は牛車がそのまま進入できる大きな車寄から入ります。

日本建築史上重要な遺構・国宝「二の丸御殿」

提供元:元離宮二条城

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二の丸御殿内部は部屋数が33、約800畳という広大な空間!日本絵画史上最大派閥である狩野派による障壁画や、多彩な欄間彫刻や飾金具によって装飾されており、将軍の御殿としてふさわしく豪華絢爛という言葉がピッタリ。

上の画像は来殿者の控室でもある遠侍(とおざむらい)三の間、別名「虎の間」とも呼ばれています。来客の控室なのに虎に睨まれるという、リラックスできない空間は徳川家の権力の大きさを来殿早々に見せつけるかのような部屋でもあるのです。次の間である式台でも巨大な松の障壁画が徳川家の繁栄を象徴するかのような威圧感を放っています。

日本建築史上重要な遺構・国宝「二の丸御殿」

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そして二の丸御殿で一番格式が高いとされるのが大広間の一の間、二の間。ここがまさに大政奉還が表明された現場そのもの。上段は将軍のスペースであり、書院造りの特徴である床の間や違棚、帳台構がある一の間。下段は大名たちがズラリと並ぶ二の間なのですが、一の間は48畳に対して二の間は44畳。つまり、将軍スペースの方が広いのです。

この大広間で特徴的なのが天井。四方が丸くなっている「折上格天井(おりあげごうてんじょう)」と呼ばれる書院建築では一番格式の高い形状で、一の間は将軍の頭上部分がもう一段上がった「二重折上格天井」になっています。このように目を凝らさないと見逃してしまうような天井部分でも格式を表しています。

国宝「二の丸御殿」をじっくり堪能しよう

国宝「二の丸御殿」をじっくり堪能しよう

提供元:元離宮二条城

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大広間より先はややプライベートな空間に。蘇鉄の間を過ぎた次の間は黒書院で、別名小広間とも呼ばれる部屋。ここは将軍とより近しい譜代大名たちとの面会の場。障壁画にも桜や雪を被った松が描かれるなど、今までの間のような威圧感が少なくなっているのがわかります。

そしてその奥にある白書院は将軍のプライベートな居間・寝室にあたる所。ここではついに障壁画は全て落ち着いた水墨画に変わってしまいます。このように二の丸御殿では障壁画に着目しながら見てみるととても面白いのです。

国宝「二の丸御殿」をじっくり堪能しよう

提供元:元離宮二条城

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そんな二の丸御殿にはなんと3000面以上の障壁画があり、そのうち1016面が重要文化財指定。狩野探幽率いる狩野派による絢爛豪華な障壁画の数々は、桃山文化を今に伝える貴重なものばかり。現在の御殿内の障壁画は模写によるレプリカで、原画は場内の展示収蔵館内で保管されています。

また御殿内は京都でも有名な「鴬張り」の廊下。歩けば音のなる足元も要チェック!

二条城は他にも見どころ多し!

二条城は他にも見どころ多し!

提供元:soulman/pixta

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二の丸御殿に隣接するように広がるのは国の特別名勝に指定されている二の丸庭園。小堀遠州の手による書院造庭園であり、御殿のどこから見ても美しいように配置された庭園です。

しかし神仙蓬莱の世界を表したといわれるこの庭園を待っていたのは意外な運命。三代家光から数えること200年以上、十四代家茂まで誰ひとりとして二条城を訪れた将軍がいなかったため、その間に庭園は荒れ果て、最後の将軍慶喜が入場した頃には池も干上がって枯山水状態だったそうです。

大政奉還以降の二条離宮の時代に大きな改修が度々行われ現在の形に繋がったとされています。

二条城は他にも見どころ多し!

写真:bow

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本丸内には天守台があり、ここに登れば城内だけでなくその後方に比叡山や大文字山などの眺望が得られます。ここにはかつて五層の天守があったのですが、1750年の落雷で焼失。その後は再建されなかったのですが、2016年には有識者会議により天守を復元しようという提言も!

そして近年では早朝拝観などの新しい提案なども続き、入城者数はうなぎのぼりに増加中!新たな一面も見せ始めた二条城から目が離せません。

二条城の基本情報

住所:京都市中京区二条城町541
入城料:大人1030円 中高校生350円 小学生200円 ※二の丸御殿観覧料含む
開城時間:8:45〜16:00(閉城17:00)※季節により変動あり
休城日:年末年始12月29日〜1月4日、12月・1月・7月・8月の毎週火曜日
電話番号:075-841-0096
アクセス:京都市バス「二条城前」下車すぐ、地下鉄東西線「二条城前」下車すぐ

2020年7月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/12/07 訪問

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