米南部の歴史を知る旅！クリントン大統領センターとセントラル高校

更新日：2016/11/22 11:21

アメリカ南部に位置するアーカンソー州は、ビル･クリントン氏の出身地。州都リトルロックには、8年間の大統領時代について詳しく展示した「クリントン大統領センター」があり、人気の観光スポットになっています。そして全米で最も美しい高校「リトルロック･セントラル･ハイスクール」は、かつて全米を揺るがす事件が起こった場所。自然豊かな美しい州で、アメリカの歴史に触れる旅をしてみませんか？

アーカンソーの有名人と言えばクリントン氏！

写真：いしいひい

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アメリカ南部に位置するアーカンソー州（Arkansas）は、日本人にはなじみが少ないかもしれませんが、森と湖と川の風景が飽くことなく続く、自然豊かな州です。

州でいちばんの有名人は、第42代大統領ビル･クリントン氏！州都のリトルロックには、クリントン氏の業績を網羅した大規模なミュージアム「クリントン大統領センター」があり、多くの観光客が訪れます。
館内には大統領執務室が再現され、8年間に渡る大統領時代の公文書や記念の品などの数々を見ながら、アメリカの1990年代を振り返ることができます。

ここに来ると、アーカンソー州出身のクリントン氏が、庶民派大統領として州民から如何に愛されているかが分かりますよ！

美しい高校で、人種差別を象徴する事件が！

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そしてリトルロックでもうひとつ必見の場所が、かつて全米で最も美しいと称えられた高校「リトルロック･セントラル･ハイスクール」。威風堂々としたアールデコ調の美しい建物は今も現役の高校ですが、アメリカ南部の複雑な歴史を語る史跡でもあります。

1957年、この高校で全米を騒がせる事件が起こりました。
人種差別の廃止を求めて公民権運動が広がっていた当時、最高裁が「黒人の入学を拒否するのは憲法違反である」との決定を下したのを受け、それまで白人生徒のみであったこの高校にも、9人の黒人生徒が入学したのです。
これに反対する市民が校門に集合して黒人生徒の入校に反対した上、白人至上主義者であった州知事は州兵を出動させて、黒人生徒が高校に入るのを阻止しました。
それに対抗してアイゼンハワー大統領は米軍兵士を投入。黒人生徒9人は、兵士に登下校を護衛されながら通学することになりました。

9人はいつしか「リトルロック･ナイン」と呼ばれるようになり、その動向は連日トップニュースで全米に報道されたそうです。

高校のビジターセンターで公民権運動の歴史を学ぼう

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リトルロック･セントラル･ハイスクールは国の史跡に指定されていますが、今も現役の高校なので、観光客が見れるのはその美しい外観のみになります。しかしその向かいにビジターセンターがあるので、是非見学してみましょう。
当時の兵士が携帯した銃などの展示や、リトルロック･ナイン事件をはじめ公民権運動の歴史を詳しく伝えています。

校内でリトルロック･ナインは、黒人と席を並べることを嫌悪する白人生徒に囲まれ、罵声や暴力、無視などのいじめを受け続けたそうです。しかし、9人は頑張りました。白人生徒の嫌がらせに仕返しして放校処分になった女子生徒1名を除く、8人が見事高校を卒業。
若い彼らが意志を貫徹できたのは学業を続けたいと言う情熱からか、それとも後世に対する使命感を彼らなりに感じていたのか。その勇気と忍耐に、心から感動するに違いありません。

人種差別の時代が終わって

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先述のクリントン大統領センターにも、リトルロック･ナインのコーナーがあるので、是非ご覧ください。

事件から40年が経過した1997年、リトルロック･ナインはセントラル･ハイスクールの式典に招かれ、再び母校の地を踏みました。クリントン大統領が自ら学校のフロントドアを開けて彼らを招き入れ、人種差別のない社会に向け貢献した彼らを讃えました。後輩にあたる在校生たちも、熱い拍手と笑顔で彼らを迎えたそうです。

かつては差別の象徴であり、現在は融和のシンボルとなったセントラル･ハイスクール。リトルロックは、差別や偏見のない世界を築くため、過去から学んでいかないといけないと感じさせる場所です。

まとめ

アーカンソー最大の空港であるビル＆ヒラリー･クリントン･ナショナルエアポートから、クリントン大統領センターまでは、車で15分ほど。セントラル･ハイスクールおよびビジターセンターは、さらに西に10分あまり行ったところにあります。
リトルロックから車で1時間ほどのところには、豊かに温泉水が湧き出るホットスプリングス国立公園があるので、あわせて観光するのもおススメです。
アーカンソー州への旅は、20世紀のアメリカを知る旅になることでしょう。