滋賀のローカル線“ガチャコン”で行く温もりの木造駅舎巡り!

滋賀のローカル線“ガチャコン”で行く温もりの木造駅舎巡り!

更新日:2016/11/25 13:46

滋賀県は琵琶湖の東、その田園地帯をガタゴト走るローカル線の近江鉄道。ゆったりと走る姿は愛嬌たっぷりで、地元の人たちは親しみをこめて「ガチャコン」と呼んでいます。

ガチャコンの開業は古く明治31年。その長い歴史を語るかのように、路線にはレトロな木造駅舎が未だ健在。鳥居本駅や新八日市駅などは有名ですが、じつはその他にも美しい木造駅舎があるんですよ。なんとも温もり感じる木造駅舎巡りの旅、いかがですか?

近畿の駅百選!洋風建築の駅「鳥居本駅」

近畿の駅百選!洋風建築の駅「鳥居本駅」
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琵琶湖の東岸を南北に走る近江ガチャコンの木造駅舎を、北の方からご紹介いたします。まずは有名な「鳥居本駅」です。

全距離59.5kmからなる近江鉄道の鉄道路線は、以下の4路線で構成されています。
■彦根・多賀大社線(米原〜多賀大社前)
■湖東近江路線(高宮〜八日市)
■万葉あかね線(八日市〜近江八幡)
■水口・蒲生野線(八日市〜貴生川)

その最北の米原駅から数えて3つ目の駅が「鳥居本駅」(彦根・多賀大社線)。外観からはわかりにくいのですが、中に入ると驚き!天井が高く、まるで教会にいるかのような雰囲気なのです。昭和6年の彦根〜米原間の延伸とともに開業して以来、ずっと使い続けられている洋風建築のこの駅舎は、「近畿の駅百選」にも選ばれており、長い木製ベンチ、大きな窓から差し込む日差しと窓の影など、とても心地よい空間を感じさせてくれます。

鳥居本はその昔、宿場町でにぎわった所で、今も駅から少し歩くと、そういったかつての街道の面影を味わうことができます。しかしながら、近くに休憩できるようなお店などがないので、旅の計画の際には、駅の駐車場に車をおかせてもらい、ここを木造駅舎巡りの鉄旅のスタートにするのもいいかもしれません。

蔦の絡まる2階建ての洋館「新八日市駅」

蔦の絡まる2階建ての洋館「新八日市駅」
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「新八日市駅」は、「万葉あかね線」の八日市駅から2つ目の駅です。「鳥居本駅」から乗車する場合は、近江八幡行きの列車に乗ると直接行くことができます。また貴生川行きに乗って八日市駅で降り、そこから徒歩で10分程ですので、散策がてら歩いて行くのもいいかもしれません。

この「新八日市駅」も「鳥居本駅」同様、見事な洋風建築の駅舎。珍しい2階建ての駅舎ですが、歴史は「鳥居本駅」よりさらに古い大正時代の建築で、100年近い歴史を誇っています。2階建てとなっているのは、かつてこの路線の前身となる鉄道会社では、ここが本社としても使われていたからです。暑い時期には駅舎の2階までが蔦に覆われ、西洋館の趣きをより強くしてくれています。

1階の待合室は古びた木製の長いベンチや木枠で仕切られた大きな窓など、もうレトロ感いっぱい!そして年季の入った木製の改札口は、通勤通学時の朝に有人駅となるここでは、今も現役。これらは、ぜひ実物をご覧になってみてください。マニアならずとも感動します。

なお「新八日市駅」周辺に、食事のとれるようなお店はありませんが、八日市駅まで行くと店も多く、食事やお茶などの休憩なども可能です。

桜咲く!田園地帯の静寂の駅「桜川駅」

桜咲く!田園地帯の静寂の駅「桜川駅」
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「鳥居本駅」「新八日市駅」が、よくメディアに取り上げられるのに対し、この「桜川駅」(水口・蒲生野線)はそういったことがほとんどありません。しかし、静かな周囲の環境の中に佇む木造駅舎らしい雰囲気という点でいうと、この「桜川駅」は路線の中では文句無くNo.1!さらに駅の開業が、なんと明治33年!ガチャコンの木造駅舎を語る時「桜川駅」は絶対にはずしてはならない、そういう駅なのです。

「桜川駅」の特にオススメなのが、春の桜の咲く時期。線路に沿って並ぶ桜の木が一斉に開花し、待合室から改札口の鉄製ラッチのシルエット越しにそれが見えるのです。写真は桜の季節のものではありませんが、桜と木造駅舎の風景は、ぜひとも実際にご覧になっていただければと思います。

田園地帯の中の利用者も他より少ない無人駅だけに、静かな雰囲気の待合室ですごす時間は、まさに至福のひととき。また、駅近くには「来夢来人」というカフェがあり、食事や休憩も可能です。メニューも豊富で、時期によって変わるケーキセットはお手頃価格でオススメです。

100年以上の歴史と温もりを語る「日野駅」

100年以上の歴史と温もりを語る「日野駅」
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「日野駅」(水口・蒲生野線)も「桜川駅」同様、明治33年の八日市〜日野間延伸開業にともなって開業された駅で、古い歴史を持ちます。そして「日野駅」のすごいのは、これまで建て替えられたことがないということ。改築工事などはあったそうですが、開業以来100年以上に渡り、当時の姿を今も残す貴重な建造物でもあるのです。

静かな木造駅舎の佇まいでありながらも利用客数は多く、通勤・通学時の朝夕には有人となる「日野駅」、その温かみのあるのは待合室だけではなく、ホームにある大きな木造の屋根も、大変趣きがあり歴史を感じさせてくれます。

「日野駅」は開業以来、地元である日野町の人々に大変愛され、大切にされてきており、老朽化にともなう解体案が出ている今も、保存に向けての協議が町と鉄道会社との間で進められています。もしかすると姿を変えてしまうかもしれない日野駅ですが、ぜひ訪れてその歴史と温かみにふれてみてください。

木造駅舎の温かみを存分に感じる「水口駅」

木造駅舎の温かみを存分に感じる「水口駅」
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最後にご紹介するのは、「日野駅」から2つ目の駅「水口駅」(水口・蒲生野線)です。ここも明治33年の開業ですが、八日市〜日野間の延伸開業より少し遅れて、日野〜貴生川間の延伸開業にともなっての開業となります。駅舎は真新しい感じで改修されていますが、待合室は木造の温かみを感じさせてくれる、新旧がいかされたものとなっています。

駅は通りにあり利用客も少なくありませんが、朝の通勤・通学時にのみ有人駅となることからもわかるように、日中の待合室は静かな時間が流れます。朝夕は学生が多くなるので、静かなひとときを求めるなら日中がいいでしょう。また、日野方面に向かって通りを5分程歩くと手作りケーキのカフェなどもありますので、列車待ちの休憩などに良いかも知れません。

なお、鉄路で「鳥居本駅」まで戻るには、米原行き直通で1時間半くらいですが、直通の無い場合は乗り継ぎで「鳥居本駅」まで戻ることもできます。

おわりに

いかがでしたでしょうか、近江ガチャコンで巡る木造駅舎の旅。そのどれもが、木造ならではの温かみと、これまでの歴史の長さを感じさせてくれる素晴らしい駅舎です。ゆっくりと走るガチャコンと木造駅舎は相性もピッタリ。日頃の喧噪を離れて、こういったゆったり旅もいいものです。この他にも「彦根口駅」(彦根・多賀大社線)もレトロな木造駅舎として知られており、旅のプランに加えるのもいいかもしれません。

また近江鉄道では、サイクルトレインといって自転車を持ち込んでの利用も可能となっています(持ち込み区間や時間帯に制限あり)。駅周辺の散策にはとても便利なので、こちらの方もご検討ください。

なお、これらの木造駅舎はその歴史が古いほど老朽化が進んでおり、この先姿を変えてしまう可能性も少なくありません。ぜひ、この機会に一度訪ねてみてはいかがでしょうか。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/08/13−2016/08/24 訪問

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