神戸観光・デートにおすすめ☆地元民が愛してやまないスイーツ・カフェ☆人気の秘密とは?「東灘区・御影」

神戸観光・デートにおすすめ☆地元民が愛してやまないスイーツ・カフェ☆人気の秘密とは?「東灘区・御影」

更新日:2013/11/08 14:42

沢木 慎太郎のプロフィール写真 沢木 慎太郎 放送局ディレクター、紀行小説家
神戸に観光に来られたなら、“神戸ならでは”のスイーツやカフェも楽しみたいですよね。スイーツ店が密集しているのは神戸の中心地・三宮からやや東に位置する東灘区で、キラリと輝く個性的な店が多く、地元民を魅了し続けています。なぜ、これほどまでに地元民から愛されるのか?その人気の秘密を探りながら、筆者が自信をもっておすすめできるスイーツやカフェをご紹介。神戸での観光やデートにぜひとも、お役立てください。

地元民を飽きさせない独創性に富んだ“イチジクのタルト”【ダニエル御影店】

地元民を飽きさせない独創性に富んだ“イチジクのタルト”【ダニエル御影店】

写真:沢木 慎太郎

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ご紹介するスイーツの激戦区は、阪急神戸線の岡本駅と御影(みかげ)駅周辺で、大阪と神戸・三宮の中間に位置。関西でも人気の大学がひしめき、以前に外国人が多く住んでいたといった理由などで多くのスイーツ店が密集しています。
その中でも、おすすめの地は、財界人や文化人などの豪邸が多く、神戸市内随一の高級住宅街である御影。閑静な住宅街に、「ケーニヒスクローネ阪急御影店」や「アンプレシヨン」「みかげ山手ロール」といった名店が軒を連ね、地元民から愛され続けています。

まず、筆者のおすすめは、芦屋などでも店舗を展開している『ダニエル御影』。生ケーキやカヌレ、焼き菓子、パンと多彩なスイーツがあるのですが、このお店は独創性に富んだオリジナルのスイーツでいつも楽しませてくれます。

人気商品のひとつ“うなぎの寝床”は創業時からのダニエルの定番商品で、ブラックチョコレートやチョコチップ、ドライイチジク、アプリコットが入ったショコラクラシック。うなぎのような細長い形で丁寧に焼きあげ、ふんわりと口の中にとろける上品な甘さはたまりません。
上質なバターたっぷりの生地に、クリームチーズやホワイトチョコを錬り込んで焼きあげた“白うなぎ”も大人気。プレーン、ショコラ、抹茶などの多彩な味が楽しめるカヌレもダニエルの定番で、遠方から買いに求めるお客さんも多いです。

この日、筆者が選んだのは“イチジクのタルト”。これがタルトなんて、ちょっと変わったデザインだとは思いませんか?見た目にも色鮮やかな、ぱっくりと割れた新鮮な巨大なイチジク。この下にはカスタードクリームがたっぷり入っていて、繊細なタルト生地が掌で包み込むようにイチジクを支えています。イチジクの自然な甘みを上手に引き出した逸品。デザインも個性的ですが、味はもっと不思議です。
うなぎの形をしたり、旬のフルーツを大胆に乗せたりするなど、舌の肥えたスイーツ好きの神戸民を飽きさせない独創性と工夫が、ダニエルのたまらない魅力です。

初めてのデートにおすすめ!ヨーロッパ調の上品さ【御影高杉本店】

初めてのデートにおすすめ!ヨーロッパ調の上品さ【御影高杉本店】

写真:沢木 慎太郎

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続いては、こちらも地元民からの人気が高いフランス菓子店。阪急の御影駅前に本店を置き、神戸などに6店舗を構える「御影高杉」です。

御影高杉本店は、ぜひとも初めてのデートで訪ねていただきたい場所。深い趣のあるイギリスのアンティーク家具が並び、とても素敵な空間。店内にこぼれる木漏れ日の微妙な変化にあわせて、時間ごとに選曲されたヨーロッパの音楽が静かに流れています。

ショーケースには芸術的ともいえる目移りしそうなスイーツの数々。御影高杉本店でしか味わうことができないスイーツもあり、遠方からでも訪ねてくる価値があると思います。
オーブンから漂ってくる香ばしい匂いや、ガラスの部屋の中でひたむきに菓子づくりに専念する職人さん、格式の高さを感じさせるインテリアと相まって、独自のオーラを感じます。この店を選んだセンスの高さに彼女も感激すること間違いなし!

おすすめのスイーツは、旬のイチゴを添えたミルフィーユ。香ばしいパイ生地に上質なクリームとの相性が良く、まさしく逸品。イチゴは、クリームやスポンジの相性を考えると酸味が必要であり、間にはさむものと表面にトッピングするものとで使い分けています。フルーツは切り方によっても味が変わり、最善のバランスを考えて常に工夫を凝らしているのが、地元民から愛される味の理由。

ブランドだけにとらわれず、素材の特徴や履歴をきちんと知り、ごまかしのないものを見極めて使いこなすという、ぴりりとした緊張感が張りつめています。居心地の良さの中にも漂う緊張感。それは、初めてのデートにも相通じるものがあると思うのです。
これから新しく始まるであろう二人の未来を、このカフェから始めてみませんか?

スタッフ全員が菓子職人!スイーツの美術館【菓子工房 セセシオン】

スタッフ全員が菓子職人!スイーツの美術館【菓子工房 セセシオン】

写真:沢木 慎太郎

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ここで、ちょっと一息。阪急の御影駅周辺は、実はこじんまりとした品のいい美術館が建ち並んでいるのです。
その一つが、世良(せら)美術館。女流画家世良臣絵(せらとみえ)が設立した美術館で、“女性がほっとできる空間”づくりが見事。世良臣絵の作品や彼女が師事した小磯良平の水彩作品が飾られ、日常空間を忘れて文化の香りがするひとときを過ごすことができます。

このほかにも、仏教美術や近世画家が鑑賞できる香雪(こうせつ)美術館や、宮殿を思わせる昭和の名建築で日本の古美術を展示した白鶴美術館も、かなりのおすすめ。スイーツめぐりの合間にぜひ立ち寄ってください。

写真の建物は、窓辺に緑や花が彩り、まるで美術館のようにも見えますが、こちらは菓子職人たちの妖精たちが住む可愛い家「菓子工房 セセシオン」。ウィーンやドイツの伝統菓子などを中心に幅広く取りそろえ、その味わいに地元でも驚く方が多く、ひと際輝く個性的なお店です。
窯で焼く菓子の香ばしい香りが外にまで漂い、ついお店に入ってしまいます。そこには、見た目にも色鮮やかな、美しい焼き菓子やスイーツが並び、ガラスの向こう側にお菓子を作っている職人さんたちが。お客さんを見かけると急いで厨房から外に飛び出して、接客をしてくださいます。

つまり、スタッフの方は全員が作り手。アトリエで画家から絵を購入するように、お菓子の家で職人さんと直接にふれあいながら、スイーツを買い求めることができるのです。お菓子を実際に作っている方と話しをしながら、スイーツを選べるのでとても新鮮!まるでスイーツの美術館にでも紛れ込んだよう。
シェフの方とも直接、お会いすることもできますよ。スイーツを食べるだけでなく、“顔”が見えるお店。お客さんとの出会いを大切にされています。

記憶にいつまでも残り続ける深い味わいのスイーツを堪能!【菓子工房 セセシオン】

記憶にいつまでも残り続ける深い味わいのスイーツを堪能!【菓子工房 セセシオン】

写真:沢木 慎太郎

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シェフならでは鋭い感性で切り取ったスイーツはまさにアートそのもの!食材へのこだわりはドイツやウイーンからも取り寄せるほどで、ナッツやドライフルーツの比率が見事で、とても食べごたえがあります。

アーモンドは香り高いシチリア産。卵は兵庫県八千代町から届く放し飼いの自然卵。素材にあわせて何種類ものバターを使い分けています。

焼き菓子は鮮度が特に大切。セセシオンがこだわるのは、しっかりとした焼き込みで、旬の素材を生かしたパイやタルトはどれも素晴らしい味わいです。味覚のハーモニーと食感のコントラストが見事。おいしいと感じた感激が、食べた瞬間だけに終わるのではなく、記憶の中にまでずっと刻み込まれていきます。

「お客さまの記憶に残り、再び食べたくなるようなお菓子をご提供したい」
それが、セセシオンの菓子づくりへの想い。
店舗拡大よりも、御影にあってよかったとお客さんに思っていただけるようなケーキ、特に焼きたての焼き菓子ならではの魅力を再発見できるようなケーキを作り続けていらっしゃいます。

まるで恋人と過ごしているような居心地の良さ【神戸にしむら珈琲・みかげ館】

まるで恋人と過ごしているような居心地の良さ【神戸にしむら珈琲・みかげ館】

写真:沢木 慎太郎

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さきほどのセセシオンは、テイクアウト専門店ですが、斜め向かいにある「神戸にしむら珈琲・みかげ館」でイートインも可能。ゆったりとした居心地のいい時間の中で、至福のスイーツをいただくことができます。

セセシオンで、小学生のころから菓子づくりに憧れ、この世界に入ったという20歳の可愛いパティシエールさんに「恋人と過ごすのにおすすめのスイーツはありますか?」と尋ねたところ、彼女は「そうですね」と、ちょっと小首を傾げ、「こちらはいかがでしょうか?」と優美な微笑をたたえながら選んでいただいたのが、写真の手前にある“焼栗と洋ナシのタルト”。

白い帽子と赤いエプロンが似合う彼女は大切そうにケーキを両手に包みこみ、「にしむら珈琲」にまでタルトを運んでいただいたのですが、その真心がこもった真摯な気持ちにとても感激しました。

「神戸にしむら珈琲・みかげ館」は窓辺に花壇や緑があふれ、木のぬくもりを感じるイスやテーブルやヨーロッパ調のアンティークなインテリアに、落ちついた深い趣を感じます。
深い森の中にいるような心地よい空間でいただく、香りの高い、深くコクのある珈琲は、なんともぜいたくな味わい。
珈琲もお店も、上品で高級感にあふれるのに、気どったところが少しもなく、優しく包み込むようなやすらぎがあります。

御影高杉本店のカフェテラスが、“初めてのデートにおすすめ”なのに対し、「神戸にしむら珈琲・みかげ館」は何度かデートして気心が知れた二人が過ごしたい場所。まるで恋人と一緒に過ごしているような居心地のよさを感じます。

「神戸にしむら珈琲・みかげ館」は1、2階がカフェで、3階では溶岩石のプレートで但馬牛のステーキを味わうことができ、神戸ならではの料理も堪能!阪急・御影は、1000万ドルの夜景で人気の六甲山の麓にあり、夜景を見て楽しんだドライブの後は但馬牛のディナーで舌鼓を打ってはいかがでしょうか?

ちなみに、「神戸にしむら珈琲」は、「北野坂にしむら珈琲店」を含めて神戸を中心に展開しているカフェ。日本で初めて自家焙煎のコーヒー豆を使ったストレート・コーヒーを提供したことでも知られています。

「北野坂にしむら珈琲店」は1974年に日本初の会員制喫茶店としてオープンしましたが、1995年に起きた阪神・淡路大震災をきっかけに一般の人にも開放。蔦の絡まる赤煉瓦の建築は、風見鶏の街・北の坂のランドマークにもなっており、レトロな雰囲気の中で優雅なひとときを過ごすことができるので、異人館めぐりの際にぜひ訪れください。

おわりに

セセシオンで、20歳のパティシエールさんから、「恋人と過ごすのにおすすめ」として選んでいただいた“焼栗と洋ナシのタルト”は、ほくほくとした焼栗と、ジューシーな洋梨がなんとも絶妙。ひと口食べると、口の中でほんのりと甘くとろけ、掌に降りかかった淡雪のように白い微かな記憶を残しながら時の彼方へと、すっと消えていきます。

“もう二度と逢うことはなく、たとえ目の前から消えてしまっても、いつまでも心に残り続ける恋をしたい”。そんなふうに思える味です。
神戸は、筆者が学生時代に初めてデートした思い出の場所。そんな遠い昔の懐かしい記憶を、淡雪のような優しいタルトの味は思い起こさせてくれました。

神戸スイーツの神髄は、売り上げ確保を優先するのではなく、いつまでも記憶に残り、お客さんがもう一度食べに行きたいと思ってもらえるような菓子づくりへの想い。その魅力は、記録よりも、お客さんの心に残る感動に価値を置いていること。神戸市民から愛される人気の秘密は、ここにあるのではないでしょうか。
神戸ならではのスイーツとカフェで、いつまでも思い出に残る素敵な神戸の旅を!

掲載内容は執筆時点のものです。 2013/11/02 訪問

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