日本左官業組合連合会が、日本全国の腕に覚えのある職人たちを集めて完成させた「長八美術館」は、旧歌舞伎座や成田山新勝寺などを手掛けた和風モダンの巨匠・故吉田五十八氏にちなんで創設された「吉田五十八賞」を受賞しました。
また監修の石山修武氏は、鉄やガラスを駆使して作品を作り上げる現代の前衛的な建築家であり、日本伝統の漆喰を縦横無尽に使った左官技術との見事なコラボレーションがこの美術館の建築に現れています。
「長八美術館」は天皇、皇后両陛下も西伊豆松崎町を行幸された際には立ち寄られています。日本が誇る漆喰左官の技術と、鏝絵(こてえ)の名人「伊豆の長八」の作品が収められた「長八美術館」をご覧になられたのでしょうか?
鏝絵という技術は、漆喰を塗り込む鏝(こて)を使って立体的に絵を描き上げ彩色したもので、現在は関東大震災などでそのほとんどが消失してしまいましたが、かつて「浅草観音堂」「成田山新勝寺」「目黒祐天寺」「高輪泉岳寺」などにその作品を見ることができました。
現在では美術館の道路を挟んだ向かい側にある「長八記念館」となっている「浄感寺」の欄間に、1年の歳月をかけて描かれた「飛天」という作品を見ることができますが、それは素晴らしい作品です。
素晴らしい「長八美術館」から隣に目を転じると「鏝塚」と墨書された小さな建物があります。これはこの美術館建築の際に全国から選ばれた左官職人たちが、自分の手となって働いてくれた鏝を供養した塚で、題字は元総理大臣の小泉純一郎氏の揮毫によるものです。
そして反対側のミラーガラスで作られた建物の一角には、あの有名なガウディー建築の代表作として、いまだに作り続けられている「サクラダファミリア」で日本人の主任彫刻家として彫り続けている、外尾悦郎氏が1986年に4か月間帰国したとき彫り上げた「ナシミエントの塔」という彫刻が静かに佇んでいます。
「長八美術館」は、乗用車の方は国道136号線を土肥の方から来ると、雲井、蛇石峠方面に向かい雲井へ右折する手前の左側にありますが、見逃しやすいので注意して下さい。そして駐車場は道路を挟んだ右側にあります。大きなトイレも完備しており、駐車場の敷地内には食堂、土産物店もそろっています。
食堂の名は「さくら」。注文をしてから一人ずつ1合入の羽釜ご飯を炊くのでだいぶ時間がかかりますが、その間自家製のところ天が酢醤油、黒蜜ともに食べ放題です。
ここでは特にアジのマゴ茶漬けが名物で、通常の店の3倍程の量のアジのたたきが出てきます。美術館の帰りに立ち寄ったらいかがでしょう。
乗用車の方は雲井経由で下田に抜けるとよいでしょう。駿河湾越しに見える富士の景観はまるで絵に描いたようで、日本一といっても過言ではありません。
ただこの辺りは道幅が狭く、カーブが多いので運転者の方が富士を見るのは非常に難しいです。たまに大型バスやダンプカーとのすれ違いもありますので、慎重に運転してください。
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(2024/4/25更新)
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