神戸北野で世界の教会・寺院を訪ね歩いてみよう!

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神戸北野で世界の教会・寺院を訪ね歩いてみよう!

神戸北野で世界の教会・寺院を訪ね歩いてみよう!

更新日:2016/11/19 18:27

菊池 模糊のプロフィール写真 菊池 模糊 旅ライター、旅ブロガー、写真家

神戸北野では洒落た異人館が有名ですが、それだけではなく、グローバルな港町に相応しく、世界のいろいろな宗教の寺院や教会があります。こうした珍しい宗教建築を眺めて歩くだけでも、異国情緒を味わえます。異人館街から南へ下る狭い範囲に点在していますので、半日あればゆっくりと回れます。ぜひ、一味違った神戸散歩をお楽しみください。

日本で唯一のジャイナ教寺院

写真:菊池 模糊

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神戸北野のシンボル風見鶏の館から南へトーマス坂を下ると、北野通りに出ます。そこを西へ40mほど行った山側にインド的な大理石の建物があります。これが日本で唯一のジャイナ教寺院である、バグワン・マハビールスワミ・ジェイン寺院です。特徴的な外観は、エキゾチックな神戸異人館街でも、ひときわ異彩を放っています(写真参照)。

日曜日の午後だけは誰にでも拝観することが許されており、めったに接する機会のないジャイナ教寺院の内部を見学することができます。白い階段を上って2階のホールに入ると、シンプルなホールになっていますので、賽銭箱に小銭を投じて、「ジェイン哲学」というジャイナ教の教義を解説した小冊子をもらうと良いでしょう。さらに、横の階段を利用して3階の聖堂室に至ると、中央に開祖マハーヴィーラの像が祀られており、独特の線香の匂いがたちこめています。信者の方の祈りを妨げないよう、脇のほうから静かに見学しましょう。寺院内で騒ぐことや飲食、喫煙、撮影は禁止です。

この寺院は、神戸に住んでいるジャイナ教徒28家族の浄財によって1985年に建設されたものです。商業に従事する人が多いジャイナ教は、日本では神戸の街に比較的多く住んでいたことから、ここに寺院の造営と日々の運営が実現したのです。

ジャイナ教は、紀元前5世紀頃に、北インドに生まれた宗教で、厳しい戒律を特徴とし、生き物を傷つけない「アヒンサー(不害)」を徹底します。例えば、生命を踏みつける可能性のある農業などには従事しません。聖職者は虫を吸い込まないように白い布マスクで口と鼻を覆い、一般信者も完全な菜食主義を守っています。現代風に言うなら、ジャイナ教徒は究極のエコロジストです。

ユダヤ教の会堂・神戸シナゴーグ

写真:菊池 模糊

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ジャイナ教寺院を出て、北野通りをさらに西へ50mくらい行くと、山側にユダヤ教の神戸シナゴーグがあります。シナゴーグは、ユダヤ教の教会というべきもので、日本では東京と神戸の二か所にあります。ユダヤ教の宗教生活の中心で、祈りの場であるとともに、結婚・教育・文化行事が行われ、世界に広がるユダヤ人のコミュニティーセンターとしての役割を果たしています。

かつて、ナチス・ドイツの迫害を逃れたユダヤ人は、リトアニアの日本領事館で杉原千畝により「命のビザ」を得て、ロシアを経て日本の舞鶴から神戸へ至りました。そして、小辻節三の努力により、なんとか神戸で滞在ビザを延長することに成功しました。その時、多くのユダヤ人が、ここ神戸シナゴーグで休息をとり祈ったそうです。

シナゴーグは、ユダヤ教徒でないと内部に入場出来ませんが、ダビデの星やヘブライ語の表記のある建物を外部から見学するだけでも、貴重な体験です。ユダヤ人の歴史の中で大きな役割を果たしてきた神戸シナゴーグを見て、ユダヤ教の雰囲気を実感するとともに、人道的な援助の手を差し伸べた勇気ある日本人がいたことに思いを馳せてはいかがでしょうか。

プロテスタントの神戸バプテスト教会

写真:菊池 模糊

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神戸シナゴーグから北野通りを東へ戻り、大きな道である北野坂を南へ下ります。最初の信号のある交差点で、左(東側)に曲がると、中くらいの素敵な佇まいの教会が見えてきます。これが、神戸バプテスト教会です。特別な時間帯以外は、内部見学も可能です。

バプテストとは、キリスト教のプロテスタント系の一派で、清教徒の分離派運動の中から、幼児洗礼を否定し「信仰は本人が自覚的に選び取るもの」として、全浸礼(バプテスマ)をする人たちです。現在はアメリカのプロテスタントとしては最も信者数の多い教派で、有名人としては、ノーベル平和賞を受賞した、マーチン・ルーサー・キング牧師がいます。

神戸バプテスト教会は、1952年に建てられたもので、その後、光の丘幼稚園も併設されました。1995年の阪神・淡路大震災で、倒壊を免れた教会は、全国のボランティアの活動拠点となり、幼稚園舎は地域の人々の避難所として用いられました。

神戸バプテスト教会の内部は、プロテスタントらしくシンプルで、過剰な装飾はありません。聖書主義を標榜するバプテストに相応しい雰囲気です。せっかくの機会ですので、神戸北野の散策の途中に、この教会の内部を見学し、長椅子に腰を下ろして、置かれてある聖書を開いてその一節をひも解いてみてください。

正教の神戸ハリストス正教会

写真:菊池 模糊

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神戸バプテスト教会のある角を南に折れ、小道を海側に下っていくと、一宮神社に至るひとつ手前の道の左(東側)の奥に、とても小さな教会があります。これが、神戸ハリストス正教会で、屋根上と二つの窓の間に見られる八端十字架が印象的です(写真参照)。

正教会とはキリストから2000年間連綿と受け継がれてきた歴史と伝統に誇りを持っている教会派で、ギリシア正教とかロシア正教といった風に各国で一つの教会組織を置くことを原則としています。西欧側からは東方教会とも言われますが、本来的な言い方としては正統を意味する「オーソドックス」が使われます。ハリストスは、ヘブライ語の「メシア」のギリシア語訳から来たもので、「キリスト」を意味します。

神戸でのオーソドックスの歴史は古く、1873年にイオアン小野壮五伝教者が正教を布教したことに始まります。第二次世界大戦後、コスモポリタンチョコレートで有名なV・モロゾフの尽力で、ここに生神女就寝聖堂(ウスペンスキー教会)が建立され、それが1968年に神戸ハリストス正教会となったものです。

この教会は、なかなか公開されている時間が少ないのですが、礼拝のタイミングであれば見学できます。聖堂維持のための「ろうそく献金」をして、露出の多すぎない服装で礼節を守って内部を見せてもらいましょう。なお、聖堂内の撮影は禁止されています。

カトリック神戸中央教会

写真:菊池 模糊

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神戸ハリストス正教会を見たら、元の道に戻り、さらに南へ下ります。一宮神社を過ぎて最初の曲がり角を右(西側)へ曲がります。これがパールストリートの続きになる道で、これを西へ真っすぐ歩き、北野坂の信号を横切ってしばらくすると、左(南側)に高い鐘楼のあるカトリック神戸中央教会に至ります。

この教会の大聖堂本体は、鐘楼のある広場に面している大きな楕円形の建物で、一見すると教会のようには見えません。中に入ると、窓と柱のほとんど無い大空間が出現し、スリット状に奥まった上品なステンドグラスから虹のように陽が差し込む美しさに驚かされます。一歩引いた間接的な空間から光を採り入れる仕掛けは、神聖な雰囲気を演出するとともに、洗練された斬新な風情を感じるものです。村上晶子アトリエの設計になります。

かつて、神戸開港後、最初にやってきたカトリック宣教師はフランス人ピエール・ムニクウで、彼は旧居留地に聖堂を建てました。1870年にオープンしたこの建物は、神戸最古の教会であるとともに、神戸における最初の欧風建築です。現在の大丸神戸店のある場所の一角にありました。
やがて、神戸市中央区には、中山手教会、下山手教会、灘教会の三つのカトリック教会が出来ましたが、1995年の阪神淡路大地震によって全て破損・倒壊しました。そこで、これらを統合し、2004年、旧中山手教会の地に、最新の設計によるカトリック神戸中央教会が建設されたのです。

補遺

神戸の宗教建築は、まだまだあります。カトリック神戸中央教会のあるパールストリートをさらに西へ5分ほど歩くと、神戸ムスリムモスクが見えてきます。これは日本で最初に建てられたイスラム教のモスクで、ミナレットとドームのある印象的な建物です。

そして、南へ下って山手幹線の大きな通りを渡ると、近辺で最も大きな神社である生田神社があります。ここは「神社に租税を治める民戸」という意味から「神戸」という名が生まれた由緒ある場所です。さらに生田神社から西へ800mほど歩けば、中国的な関帝廟に至ります。この関帝廟は、三国志の英雄である関羽の他に大慈大悲観世音菩薩(聖観音)と天后聖母(媽祖)も祭っています。

このように、神戸は世界に開かれた国際的な文化都市であり、普通の民家に隣接して世界の宗教施設があります。日本と外国との歴史的関係を考えるきっかけにもなるでしょう。神戸を訪れた際には、時間と興味に応じて、世界の教会・寺院を訪ね歩いてみてください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/10/16 訪問

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