写真:乾口 達司
地図を見る「くろしお」はJR西日本が走らせている特急列車。その出発駅は京都駅あるいは新大阪駅であり、環状線や阪和線、紀勢本線などを経由して、和歌山県の新宮駅まで走っています。いわば、京阪神と南紀とを結ぶ大動脈であり、1965 年、天王寺駅-名古屋駅間で開通して以来、数多くの旅人を南紀へ、あるいは南紀から京阪神へ運んで来ました(新宮-名古屋間は後に廃止)。その後、「スーパーくろしお」や「オーシャンアロー」といった車両も登場し、鉄道好きや旅人を楽しませてくれましたが、2012 年3月17日のダイヤ改正により、その名称は開通当初から活躍している「くろしお」に統一されています。
写真は287系の「くろしお」。287系の運転開始日は2012年3月17日で、2016年3月のダイヤ改正により、京都駅に乗り入れる唯一の車両となっています。つまり、新幹線で京都駅に降り立った人が南紀へ向かう際は、この287系に乗車することになります。
写真:乾口 達司
地図を見る写真は287系を側面から撮影したもの。「くろしお」の名が表示されたネームプレートもご確認出来るでしょう。実はこのネームプレートには、「くろしお」ならではのエピソードが秘められているのです。
「くろしお」の名が太平洋沖を流れる黒潮(くろしお)に由来することは、容易に推察出来るでしょう。太平洋に突き出した紀伊半島を半周するように走る特急列車には確かにふさわしい名前ですが、その運転開始当初、四国と千葉の路線にはすでに「くろしお」の名を持つ列車が走行していたのです。四国の高松駅と窪川駅とのあいだを走っていたのは、現在の「南風」などに当たる急行列車の「黒潮」。千葉・房総半島の両国駅と安房鴨川駅とのあいだを走っていたのが、現在の「わかしお」に当たる準急列車「くろしお」です。この2つは1965年10月に名称が変更され、「くろしお」の名は今回ご紹介するものに限られることとなりましたが、一時期は全国3カ所でそれぞれ異なる「くろしお」が走っていたのです。当時はさぞかし紛らわしかったことでしょうね。そんなことを思い浮かべながらネームプレートを眺めるのも、旅の楽しみの一つであるといえるでしょう。
写真:乾口 達司
地図を見る車内に乗り込むと、ご覧のような表示が目に入るはず。そちらに掲載されている文言をお読みいただくとおわかりになるように、「くろしお」の走行する紀勢本線は、100年から150年程度の周期で繰り返し発生している南海トラフ巨大地震の被害想定地域に含まれています。表示は乗客に対して、いつ、どこで、どのような規模で発生するかわからない南海トラフ巨大地震とそれによって引き起こされる津波に警戒するように呼び掛けたものですが、車内には他にも地震および津波からの避難用のはしごなどもそなえられており、巨大地震の被害想定地域を走る「くろしお」ならではの特徴を表しています。もちろん、地震発生の際は乗務員の指示に従い、迅速に避難してください。
写真:乾口 達司
地図を見る太平洋に沿って走る「くろしお」では、もちろん、車窓からの眺めも「素晴らしい!」の一言に尽きます。日中は雄大な太平洋を思う存分楽しむことが出来ますし、乗車時間が夕方であれば、ご覧のように、太平洋に沈む夕日も眺められます。いずれの時間帯に乗車しても、太平洋側にすわることをおすすめします。
写真:乾口 達司
地図を見る和歌山県を代表するさまざまな駅を眺められるのも、「くろしお」の魅力の一つといえるでしょう。写真は本州最南端の駅として知られる串本駅。民謡の「串本節」ゆかりの串本駅からは、本州の最南端に位置する潮岬灯台や奇景として知られる「橋杭岩」(はしくいいわ)、串本海中公園などへおもむくことが出来ます。
「くろしお」の停車駅に限っても、ほかにパンダでお馴染みの白浜アドベンチャーワールドの最寄り駅に当たる白浜駅や、那智の滝をはじめとする熊野地方のキーステーションとなる紀伊勝浦駅などがあり、「くろしお」がいかに魅力的な駅を通過しているかがおわかりいただけるでしょう。気の向くまま、思い切って途中下車し、見知らぬ土地をめぐってみるのも楽しいですよ。
特急列車「くろしお」とそれが走る路線の魅力を感じていただけたでしょうか。京阪神だと、京都駅や新大阪駅、大阪駅、天王寺駅、そして、関西空港の最寄り駅になる日根野駅に停車する車両もあるため、和歌山旅行には欠かせない列車といえます。「くろしお」を利用して和歌山県の旅を満喫してください。
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(2024/4/26更新)
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