沖縄のwetland「漫湖」についてそろそろ真剣に語ろう

沖縄のwetland「漫湖」についてそろそろ真剣に語ろう

更新日:2017/06/09 12:45

bowのプロフィール写真 bow トラベルライター
沖縄本島を旅したことがある方ならご存知かと思われるのが那覇空港の近くにある「漫湖」。本土では口にしにくい名前だけにそのインパクトで記憶に残っている方も多いことでしょう。しかし、観光地でもないので実際どんな所なのかご存じない方も多いのではないでしょうか。そんな「漫湖」を真剣にご紹介します。

沖縄にある珍地名「漫湖」

沖縄にある珍地名「漫湖」

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南太平洋バヌアツ共和国にある「エロマンガ島」やオランダの「スケベニンゲン」など世界には「珍地名」や「エロ地名」と呼ばれる、男子中学生が詳しそうな地名が多数あることで知られています。そんな中、我が国日本でも沖縄県にド直球な地名があることをご存知でしょうか。

沖縄本島を旅したことがある人ならば那覇空港からも近い場所にあるため、かなりの確率で目にしている人も多いことでしょう。那覇市内を縦に貫く国道58号線を走っていると目に入ってくるのです、「漫湖」の看板が。

沖縄にある珍地名「漫湖」

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恐らく観光客はほぼ立ち寄らないような場所ですが「漫湖」を挟んだ北岸と南岸には「漫湖公園」という名の園地があり、市民の憩いの場やジョギングコースになっています。ちなみに本土でこの公園に関してのニュースがあった際はあえて名前を伏せ「那覇市内にある公園」というオブラートで包まれた表現で紹介された逸話があります。(ちなみに沖縄では女性器のことをホーミーと呼ぶのでノープロブレム)

漫湖公園には潮を吹くクジラもいる

漫湖公園には潮を吹くクジラもいる

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「漫湖公園」の南岸(古波蔵)側には、大きなくじらのオブジェがあり、「くじら公園」という別名もあります。くじらの本体と大きな尾びれがあり、ちょうど地面を水面に見立ててくじらが泳いでいるかのように見えます。他にもカニの形をした東屋があることでも知られています。

漫湖公園には潮を吹くクジラもいる

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なお、くじらの本体部分は実は遊具が設置されており、お子様たちのプレイスポットに。滑り台や砂場などが完備されています。

漫湖公園には潮を吹くクジラもいる

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ちなみにこのくじら、なぜか約10分間隔で潮を吹く仕様になっています。地元でもそれほど認知されていないらしいのですが潮を吹くのです、「漫湖公園」のくじらは。

wetland「漫湖」の正体とは?

wetland「漫湖」の正体とは?

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「漫湖」は那覇市と豊見城市にまたがる大きな干潟。湖とはいうものの近代になり開発がすすみ、上流から土砂が流れ込み堆積してしまった結果、現在のような干潟に。そしてその水辺はラムサール条約に登録されています。ラムサール条約とは「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」が正式な名称で、条約が採択されたイランの都市の名から「ラムサール条約」と呼ばれています。

実は「漫湖」は水鳥たちにとって貴重な環境が残された湿地でもあったのです。那覇市という県庁所在地の間近に水鳥たちの楽園があったという事実はなかなか観光客には知られていません。

wetland「漫湖」の正体とは?

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その昔は「大湖」と呼ばれていた「漫湖」。そんな「大湖」に余計なことをしたのかしていないのか「漫湖」と名前を付けてしまった人がいるのです。それは古来に琉球王国を訪れた中国の王朝の使い。漫々と水を湛えた光景に感銘を受けて付けた名前が「漫湖」だとされているのです。つまりそういう意味があったのです、「漫湖」には。

「漫湖水鳥・湿地センター」へ行こう

「漫湖水鳥・湿地センター」へ行こう

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そんな「漫湖」に興味を持った方におすすめしたいのは「漫湖水鳥・湿地センター(Manko Waterbird and Wetland Center)」です。「漫湖」の南側、所在地で言うと豊見城市になるのですが、ここでは「漫湖」の成り立ちから生息する生物などの展示や、干潟の観察ゾーンが設けられています。

「漫湖水鳥・湿地センター」へ行こう

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入館は無料なのですが、その展示は無料とは思えない程に力が入っています。特に「漫湖」の成り立ちに関する展示は非常に興味深く、実は水鳥たちにとって住みよい環境が人間たちの営みによって生み出されていたという意外な真実を知れば、「漫湖」の見方も変わるかもしれません。

「漫湖水鳥・湿地センター」へ行こう

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また「漫湖水鳥・湿地センター」の2F部分には水鳥ウォッチングに最適なゾーンが設けられていたり、休憩できるスペースも。館内はなかなか広いのでくまなく歩いてみてください。

「漫湖水鳥・湿地センター」裏の木道を散策しよう

「漫湖水鳥・湿地センター」裏の木道を散策しよう

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「漫湖水鳥・湿地センター」館内を見終わったら、その後方に広がる干潟へと足を運びましょう。干潟を観察できるように木道が広範囲に設置されています。木道の先には水鳥の観察台も設けられていますよ。

「漫湖水鳥・湿地センター」裏の木道を散策しよう

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木道沿いには沢山の掲示物が用意されており、そこに生息する生物のデータなどが事細かに記されています。たとえば湿地に残されたフィールドサイン(足跡など)がいったい誰のモノなのか?そういったことを楽しみながら観察できるのです。また、写真にも映り込んでいますが漫湖は絶滅危惧種を含む約20種類のハゼが生息していたり、他にも貴重な貝類や世界的にも珍しい鳥類が生息するなど、まさに生物の宝庫でもあるのです。

「漫湖水鳥・湿地センター」裏の木道を散策しよう

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とにかく、干潟に目をやれば視界内ではおびただしい数の生物たちが蠢いていることに気付きます。しかし、この豊かな生態系をもつ「漫湖」にも実は問題が。それはマングローブ林がどんどん拡大しているということ。実は、拡大しすぎても陸地化していくことにつながり、水鳥たちにとっては休息する場所やエサをとる場所が少なくなってしまうというのです。

かつては全国ワースト5に入る水質汚染に見舞われた「漫湖」。その環境を取り戻すために植栽されたマングローブの林をわざわざ一部伐採し、水鳥たちの休憩場所を確保するという取組みがいま行われています。自然界というのは本当に微妙なバランスのもと成り立っているのだなぁときっと痛感することでしょう、「漫湖」を訪れれば。

実は貴重な自然の宝庫!「漫湖」を訪ねよう

那覇の中心街からほど近い都会の中にある湿地ですが、水鳥をはじめ実に様々な生物が観察できる「漫湖」。その名前から得てしてネタとして扱われることが多いのですが、ちょっと興味を持った人はぜひ足を運び、人間と自然との共生に関して考える機会にして欲しいと思います。

漫湖水鳥・湿地センターへはゆいレール「奥武山公園駅」下車で徒歩20分くらいはかかります。レンタカーならば無料の駐車場があるので便利でおすすめ。月曜日は休館日なのでご注意ください。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2016/10/04 訪問

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