体験型展示が楽しい!「京都鉄道博物館」はお子様連れ京都観光のためのお助けスポット

体験型展示が楽しい!「京都鉄道博物館」はお子様連れ京都観光のためのお助けスポット

更新日:2016/11/17 09:26

小々石 曲允子のプロフィール写真 小々石 曲允子 昭和文化・レトロ旅愛好家、神秘の杜ナビゲーター
大規模な鉄道系博物館が、国内には三カ所あります。さいたま市の「鉄道博物館」、名古屋にある「リニア・鉄道館」、そして今回ご紹介する「京都鉄道博物館」。
国内最大規模を誇ることもさることながら、他館と比較して、普段さほど鉄道に興味を示さないお子様でも楽しめるような体験型の展示がより充実しているのが京都鉄道博物館の特長でもあります。ここでは、特にお子様向けの展示内容に注目してご案内したいと思います。

乗って、潜って、色々な角度から列車を見ることができる!

乗って、潜って、色々な角度から列車を見ることができる!

写真:小々石 曲允子

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京都鉄道博物館は、2016(平成28)年4月に開業しました。
元々当地にあった「梅小路蒸気機関車館」と、大阪にあった「交通科学博物館」とを統合しさらに拡充させる形で完成した施設で、展示車両数は国内最大。大阪の交通科学博物館に展示してあった0系新幹線を、開業前の京都の当館まで一般道を使って深夜輸送した時の様子は、関西のメディアでも報じられ、鉄道ファンの間で大きな話題を呼びました。

JR西日本運営の施設ということもあり、管轄車両であった「トワイライトエクスプレス」をはじめとした各種特急列車・寝台列車などの展示も豊富で、通常ではお目にかかれない廃止・運行終了車両の現物をここで見学することができます。

一部の列車では、中に乗り込んで運転席を見学できたり、屋根を至近距離で上から見下ろすことができたり、また写真のように車両の下に潜り込めるような「かさ上げ展示」がなされているものも。実はこれ、下にある朱雀大路の遺構を傷つけないための配慮でもあるのですが、普段は見ることができない角度から列車を見ることができる体験は子供達にとって楽しいものになるでしょう。

現役JR社員によるワークショップ「鉄道おしごと体験」

現役JR社員によるワークショップ「鉄道おしごと体験」

写真:小々石 曲允子

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毎週、土・日曜日と祝日に開催されている、小学生を主な対象にしたワークショップ・イベント、「鉄道おしごと体験」。各回の開始時間前に配布される整理券番号をもとに、参加者の抽選が行われます。

在来線列車や新幹線の運転士、車掌、駅スタッフ、電気系統や車両、保線などの技術職といった様々な職種の現役担当者によるレクチャーが開催日ごとに交替で行われています。 職種によって体験内容が変わりますので、何度もリピートして楽しめるところが大きな魅力。付き添いの保護者の方々が、お子様と一緒に熱心に話に聞き入って参加されている姿も印象的です。

ちなみに、運転士によるレクチャーはありませんが、運転士が実際に訓練で使用するのと同じマシンを用いての参加者個々による「運転シミュレーター」体験に関しては、土日祝日に限らず、開館日は毎日行われています。1日5回の開催でこちらも抽選になりますが、平日は比較的来場者数も少ないので狙い目ですよ。

自転車で線路を走るとどんな感じ?「軌道自転車体験」

JRの保線係員が実際に線路の点検に使用しているタイプの軌道自転車に乗って走行することができる、「軌道自転車体験」。本館1Fの500系新幹線の展示の横にレールが敷かれており、後ろに係員がついた状態で1人または2人で漕いで進みます。

レールのひずみや枕木の異状などを走行しながら調べるための乗り物で、現在では電気やガソリンで動く軌道自転車もあるものの、こういった人力のものもいまだに活躍しているようです。走行距離も30~40m程度とそれほど長い距離ではないですし、危険防止のために係員の方がついていますので、子供達が実際のお仕事の一端を簡易体験するのにはちょうどいいスケールの体験展示と言えるでしょう。

大人の目から見ると、一見地味な内容の展示に思えますが、線路の上で自転車に乗ることは子供達にとってはおそらくミニ・アトラクション的な面白さも感じられるのでしょう、毎回賑わっている体験コーナーです。(乗車には、身長制限(120cm以上)があります)

自転車で線路を走るとどんな感じ?「軌道自転車体験」

写真:小々石 曲允子

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ジオラマの列車を自分の手で操縦! 安全走行のしくみを学べる

ジオラマの列車を自分の手で操縦! 安全走行のしくみを学べる

写真:小々石 曲允子

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列車には、運転士をバックアップして安全運行を守るための自動制御装置、「ATS」と「ATC」が取り付けられています。
ATCは自動列車制御装置で、前を走っている列車との車間距離により計測された運転可能速度を運転室に伝え、その速度をオーバーすると自動でブレーキが作動するシステム。また、ATSは自動列車停止装置で、停止を表示している信号機の位置に列車がさしかかった際、運転台のベルが警報を発し、運転士が所定の確認操作をしなかった場合でも自動的にブレーキがかかって停止させるシステムです。

これらの安全装置が作動するしくみを、自らの手で列車の走行を擬似操作することによって学ぶことができるジオラマコーナーは、いつ訪れても子供達に大人気です。500系、N700系新幹線、キハ120系ディーゼルカーなど6種類の列車の中から操作する列車を選ぶことができ、その列車ごとに異なった操作ブースが設置されています。

ジオラマの中に入って、全ての列車が走行する様子を見られるようにもなっていますので、小さなお子様でも楽しむことができますよ。

本物のSLの迫力を家族みんなで体感・満喫!「SLひろば」

本物のSLの迫力を家族みんなで体感・満喫!「SLひろば」

写真:小々石 曲允子

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そして最後になりますが、京都鉄道博物館と言えば何と言ってもSL。「SLひろば」では、梅小路蒸気機関車館の時代からの20両ものSLが展示保存されていますが、そのうちの4両は「SLスチーム号」として、往復約1kmの線路を実際に走行します。

乗客はSLが牽引するオープン車両の客車に乗車しますが、走行中に時折鳴る甲高い汽笛の音や吹き上がる煙には、大人も感動。また、SLスチーム号が転車台の上で回転し、ショベルカーを使って石炭を補給する様子も日時によっては見ることができ、現代の列車にはない仕様が、子供達にとってはなおさら目新しく楽しいSL体験になること請け合いです。

なお、SLが展示保存されている車庫は、現存する日本最古の鉄筋コンクリート造りの扇形車庫として重要文化財になっていますが、来館者は自由に入場できるだけでなく、静態保存されているうちのいくつかのSLに乗り降りができ、運転席に座ったり操縦レバーなどに実際に触ったりすることができます。年配の方が、お孫さん相手にSLの動くしくみを教えている微笑ましい光景をここで見かけることもしばしば。
広場に隣接する検修庫でのSLの検査や修繕の作業風景を、ガラス越しに見学できる連絡デッキも設けられています。(作業内容によって、見学ができない場合もあります)

おわりに

いかがでしたか? 見どころが多過ぎてご紹介しきれなかったのですが、この他にも日本最大面積の鉄道ジオラマや、投入した切符が処理される様子を確認できるスケルトンタイプの自動改札機、運行指令の擬似体験ができる指令室コーナーなどがあり、いずれも子供達で大盛況です。

京都というと、旅行の際、大人は楽しめるけれど子供が楽しめる場所が少ないと思われがちですよね。京都駅からはバスも出ていますし徒歩だと約20分、旅行最終日の余った時間などにもアクセスしやすく、今回ご紹介したような展示内容からも、お子様連れで行かれる場合には特におすすめしたいスポットです。

もちろん館内には、前出のSLをはじめとして大人の鉄道ファンの目を楽しませてくれる、懐かしく、また歴史的にも貴重な車両や備品、資料などの鉄道遺産も多数展示されています。是非一度、足を運ばれてみてはいかがでしょうか。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2016/10/30 訪問

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