ハンガリーで最も美しい世界遺産の村「ホッロークー」の伝統的な家並みにホッコリ

ハンガリーで最も美しい世界遺産の村「ホッロークー」の伝統的な家並みにホッコリ

更新日:2016/11/02 15:15

Hiroko Ojiのプロフィール写真 Hiroko Oji ヨーロッパ一人旅愛好家
ハンガリーで最も美しい村と言われるホッロークーは、首都のブダペストから北東へバスで約2時間。世界で初めて世界遺産に登録された、伝統的な生活様式と古民家が残る村です。

村全体が、静かで長閑な空気に包まれ、まるで時が止まったかのよう。民家の前には、古い農具が置かれた緑や石畳みの庭が広がり、民族衣装の村人に出会えるとホッコリします。背後の小高い山には城跡が残り、林に囲まれた可愛らしい村が一望の下です。

メインストリート沿いの、白壁の古民家と小さな教会

メインストリート沿いの、白壁の古民家と小さな教会

写真:Hiroko Oji

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ハンガリーの首都ブダペストから直通のバスは一日に1〜2本という、非常に少ない便ですが、日帰りできる位置にあるホッロークー(Holloko)の村は、世界で初めて世界遺産に登録された村です。約2時間ほどで、大きなカラスの像が乗った石が出迎える、村の入り口に到着します。これは「Holloko」の「Hollo」が「カラス」、「ko」が「石」という意味を持つことからのようです。

終点のバス停で降りると、すぐそばにあるのは「納屋の庭」。運が良ければ、ここで民族衣装を身に纏ったパローツ(※)の人々が歌やダンスを披露してくれる庭です。木彫りの地図も通り沿いに掲げられて、メインストリートのコシュート通りが始まります。小さな白壁の家々が、石を敷き詰めた通りの両側に並び、博物館やお土産物屋、レストランなどが入るお家を見ながら進むと、前方に見えてくるのが可愛らしい教会の建物。14世紀に建てられたもので、白壁の上に続く鐘楼部分は木製で、白とこげ茶のコントラストが美しい教会です。

※ パローツ人とは、モンゴル人から逃れてカスピ海沿岸地方から移住してきたトルコ系クマン人の末裔にあたる人たちのことです。

パローツ様式の古民家が続く通りは見所満載

パローツ様式の古民家が続く通りは見所満載

写真:Hiroko Oji

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村全体は、端から端まで歩いても10分もかからないほどこぢんまりしています。通り沿いに軒を並べる古民家は、パローツ様式と言って、泥と藁を混ぜて作った壁の上から石灰を塗って白くする建築様式で建てられたものです。軒下の板の部分にそれぞれ個性的なデザインの透かし彫りを施し、鱗のように薄い黄土色の石を敷き詰めた屋根が何とも言えない魅力を持っています。又、イニシャルや図柄がデザインされた表札のような看板や、通りとの境界に設置された木製の柵が、家ごとに違いがあって味のある温かみを感じます。

教会の前で、コシュート通りを真っすぐ進むと、村の博物館や郵便博物館が建ち並ぶ通りが続きます。また、ペトーフィ通りへと坂を下ると、陶芸家の家や彫刻家・木彫り師の家などといった家が続き、それぞれの家の周りには素朴な作品が並べられていて、購入することができます。さらに通りを進むと、小さな井戸がある、石畳の小さな広場に辿り着きます。この前には人形博物館があり、民族衣装を身にまとった、約150体の人形の展示が見られます。

博物館内で見られる独自の生活様式

博物館内で見られる独自の生活様式

写真:Hiroko Oji

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コシュート通り沿いにある村の博物館内では、パローツ人が使っていた生活用具がそのまま残され、見学できるようになっています。

広い室内は、寝室部分とリビング部分が一体となって、民族衣装にもみられるような刺繍の美しいカバーをかけた布団が置かれた木製のベッドやベビーベッド、木彫り装飾が施されたテーブルとイス、タンスなどが置かれていて、温もりを感じるスペース。傍らに続くのは台所となる一角で、白い漆喰で塗り固めた竈があり、壁際に鉄製の鍋や陶器の壺・食器もそろえられています。さらに隅の床に置かれた木製の農具や機織りの機械なども見られ、かつての生活が垣間見られる空間です。

別の博物館の民家内には、村の起源・「カラスの石」と呼ばれるようになった物語を、民族衣装を着た人形を用いて表現しており、こちらも興味深い展示となっています。

背後の小高い山の上に建つ城跡へ

背後の小高い山の上に建つ城跡へ

写真:Hiroko Oji

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村の北西の外れ、人形博物館の少し先にある山道に入って登って行くと、ちょっとしたハイキング気分で、小高い山のてっぺんに建つ城跡の前に出ることができます。標高365メートルしかありませんが、ここからの眺めが素晴らしい。さらに、廃墟となった城内に入城し、高い位置にある壁しか残っていない窓から見る眺めは壮大で最高です。平原の中に、島のような小さな村の家並みが続く眺めが一望のもとです。

13世紀に造られたという石造りのお城は、石積みの壁や土台が残るだけの廃墟となっています。現在、一部に残る石壁で囲まれた棟内で、模型やパネルでお城の歴史を、民族衣装の人形で当時の日常生活を、また戦闘服姿の人形で守備の様子などを展示しています。中庭には井戸も残されています。

民族衣装で観光客をお出迎え

民族衣装で観光客をお出迎え

写真:Hiroko Oji

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村の中を散策していると、お土産物や民芸品のお店やレストランの間を笑顔で歩き回り観光客を出迎えてくれる人に出会えます。綺麗な刺繍入りの可愛らしい民族衣装を身につけ、写真撮影にも快く応じてくれて、和やかな時間が持てますので是非声をかけてみて下さいね。(残念ながら取材日は少し寒い日で、民族衣装の上から上着を羽織った状態でした。)

訪れにくいバスの運行ですが、ブダペストからも日帰り可能

ホッロークーの村は、昔ながらの生活様式と古民家がしっかり残されており、訪問の甲斐がある村ですが、首都ブダペストからの足は便利ではありません。直行便は、平日は午後1便、日帰り可能な午前の8:30発があるのは土・日に限られているので、計画を立てられる時はご注意下さい。なお、乗り継いで行くバス便はいくつかあります。MEMOにリンクしておきますので、出発地(Budapest)と目的地(Holloko)を入力して調べてみてくださいね。

城跡へは、ミニハイキング気分で上れる山道をご紹介しましたが、歩くのはちょっと・・・という方は、村のバス停の少し坂を上ったところにある駐車場から出るミニトレインを利用されると、広い車道からアクセスすることができます。トレインというより、ゴルフカートのような乗り物に近い車ですが。

ホッロークーでは、日頃の忙しない生活からエスケープでき、本来の過ごし方を思い出すいいチャンスになるかもしれません。

掲載内容は執筆時点のものです。 2010/03/27 訪問

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