紅葉とライトアップで更にノスタルジック。秋の江戸東京たてもの園

紅葉とライトアップで更にノスタルジック。秋の江戸東京たてもの園

更新日:2016/10/31 17:17

東京都小金井市にある「江戸東京たてもの園」は、失われつつある歴史的な建物を移築保存し展示する目的で、都立小金井公園内に設置された野外博物館です。
その公園が、毎年11月下旬の3日間に、「紅葉とたてもののライトアップ」と題して、20時まで閉園時間を延ばして様々なイベントを開催。ライトアップはもちろん、キャンドルナイト、野外コンサートなど、秋の夜長にノスタルジックな雰囲気を味わう事が出来ます。

西ゾーンの目玉は、前川國男邸

西ゾーンの目玉は、前川國男邸
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江戸から昭和初期までの、歴史的価値の高い建築物30棟を、約7ヘクタールもの広い敷地内に復元している「江戸東京たてもの園」。園内は、前川國男邸や洋館、茅葺き屋根の民家などが立ち並ぶ西ゾーンと、旧武蔵野郷土館資料の展示室や高橋是清邸のあるセンターゾーン。昔の商家・銭湯・居酒屋など、下町の風情を再現した東ゾーンの3つのエリアに大きく分かれ、大人も子供も楽しめます。

西ゾーンで興味深いのは、建築に興味のある人ならその名を必ず知っている言って良い、前川國男邸。ル・コルビュジエの弟子でもあったその彼の、品川区上大崎に1942年(昭和17年)に建てられた住宅です。建築家の自邸というだけあって、70年以上も前に建てられたものとは思えないほどモダン。建材の入手もままならなかった、戦時下の物資不足の時代にこれだけのものが造れたのだから驚き。木造モダニズム建築の傑作は、今見ても古さを感じません。

優しい街の灯りが、郷愁にかられる

優しい街の灯りが、郷愁にかられる
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園内の建物や木々をライトアップする他に、民家の囲炉裏焚きやガス灯、あんどんにも火を入れて、昔のあかりを再現。暗くなると優しく鮮やかに光る灯りに、ホッと落ち着く思いがするでしょう。

東ゾーンは、昔の商家・銭湯・居酒屋など、昭和初期の街並みが再現されていて、復元した建物の中には、当時の暮らしや商売の道具・商品などが展示されています。
中でも人気なのが、ジブリ作品のモデルにもなったという銭湯「子宝湯」。玄関上の七福神の彫刻、脱衣所の折上格天井、九谷焼三六角タイル絵など贅をつくした造りは必見です。

家々から洩れる灯りは柔らかく、夕飯時、何処かの家のお母さんが子供を呼ぶ声、賑やかにお酒を飲み交わす男たちの声、風呂屋に向かう親子の声などが、耳を澄ますと聞こえてきそう。

華族にでもなった気分で、優雅に過ごす

華族にでもなった気分で、優雅に過ごす
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西ゾーンの洋館「デ・ラランデ邸」は、新宿区信濃町からの移築した建築で、最初は、1階部分は明治時代の気象学者・物理学者である北尾次郎が自邸として設計したと伝えられる木造平屋建て・瓦葺き・寄棟屋根・下見板張りの洋館でした。その後1910年(明治43年)頃、ドイツ人建築家ゲオルグ・デ・ラランデにより、木造三階建ての住宅として大規模に増築され、その後も住人が変わる度に、少しづつ改築を重ねてきたと言われています。

その「デ・ラランデ邸」では、1階中央の半円筒形サンルーム付きの部屋と庭を利用したカフェ・武蔵野茶房があり、そこでお茶はもちろん、ビールやカレーなどの軽食を頂け、期間中は生演奏が行われていて、優雅に過ごす事が出来ます。

キャンドルと屋台で、ほっこり気分

キャンドルと屋台で、ほっこり気分
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東ゾーンの入り口の橋を渡ると「万世橋交番」前から、東広場にかけて、約1000個のTキャンドルを灯され、幻想的な風景が広がります。そして、花の形や渦巻きの形に並べられたキャンドルを囲むようにして、飲食店の屋台が立ち並びます。

ホットワインやコーヒーの他にも、やきそば、うどんなどの暖かい食べ物などがあり、冷えた体を温まりほっと一息つけます。
ただし人気のエリアなので、お目当ての物は、売り切れない内にゲットしておきましょう。

都電に乗って時空の旅へ

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園内にあるのは、建物ばかりじゃありません。東ゾーンには「都電7500形」が野外展示されています。この車両は1962年式の、当時渋谷駅から虎ノ門、六本木、西麻布を経由して新橋駅まで運行されていた6系統で、ワンマン化に適さなかった為、1978年に廃車。ビューゲル(屋根の上にある集電装置)も上がっており、現役時代を彷彿とさせています。

もちろん動きませんが、乗り降り自由。昼間は黄色く派手な車両も、夜、車内に灯りがともると、何とも言えぬ物哀しい雰囲気がありますね。うっかりシートで居眠りをしてしまい、目が覚めたら別の世界に行ってた、なんて事も起こりそう(笑)

「紅葉とたてもののライトアップ」は、11月末のみの開催

このイベントは、毎年11月の勤労感謝の日の前後、3日間限定で開催されているものです。2016年は、11月25・26・27日の3日間。
期間中は、JR武蔵小金井駅から送迎バス(1回100円)が出ていますが、もちろん公共のバスも走っているので、予めサイトでチェックしておきましょう。

ライトアップは16時半からですが、開園時間の9時半から入る事が可能です。明るい内に建物の内部を見て、暮れなずむ夕陽を眺めながらお茶をし、夜になったらライトアップを見る、なんて楽しみ方もありですね。ただし、夜は冷えるので、防寒をお忘れなく。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2015/11/22 訪問

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