江戸情緒あふれる豪商の町 日田市「天領日田豆田町」

江戸情緒あふれる豪商の町 日田市「天領日田豆田町」

更新日:2017/01/17 16:59

肥後 球磨門のプロフィール写真 肥後 球磨門 一人旅ブロガー
大分県日田市にある豆田町は、江戸時代に天領として栄えた町です。当時の商家や土蔵が多く残る古い町並みが大切に保存され、国土交通省の「美しいまちなみ大賞」を受賞するとともに、重要伝統的建造物群保存地区にも選定されています。250年前のふるい雛人形が多数展示された雛御殿や、江戸時代に建てられた酒蔵が残り、日本最大規模の私塾があった天領日田豆田町を紹介します。

天領として栄えた日田豆田町

天領として栄えた日田豆田町

写真:肥後 球磨門

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日田市豆田町地区は、大分自動車道日田ICから数分の場所にある豆田町北側の月隈公園市営駐車場(無料)から徒歩10分弱、JR日田駅からも徒歩10〜15分で到着できます。
江戸時代に天領だった日田で、商人の町として栄えたのが豆田町です。当時の商家や土蔵が多く残り、古い町並みが保存され、平成13年(2001年)国土交通省が主催する「美しいまちなみ賞」の大賞を受賞。平成16年(2004年)には、重要伝統的建造物群保存地区に指定されました。

写真は御幸通りにある長屋。嘉永から天保年間(1800年代中旬)の建物で、細長い一棟の建物を仕切って幾つかの店舗が営業しています。伝統ある建物の中で営業される今風の店舗も街並みに違和感なくなじみ、江戸情緒を感じながら散策できます。

江戸時代の古い町割の残る豆田町

江戸時代の古い町割の残る豆田町

写真:肥後 球磨門

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豆田町は古い町割が今も残っています。江戸時代に開かれて平行して走る南北2本の上町通りと御幸通りの大通りと、それを結ぶ数本の路地には江戸時代や明治時代に建てられた家や土蔵が多く残っています。
御幸通りと上町通りは電柱が撤去されているので、伝統的町並みがより強調されて江戸時代にタイムスリップしたように感じます。

江戸時代の古い町割の残る豆田町

写真:肥後 球磨門

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二つの大通りを結ぶ魚町(いおまち)や住吉町などの名前がついた小さな通りも散策におススメです。魚町には国指定史跡の廣瀬資料館や、文久3年建築の蔵、住吉町には大正3年に建築された元歯科医院だった3階建ての洋館などの見所が満載です。

江戸時代の古い町割の残る豆田町

写真:肥後 球磨門

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上通りには、日本文化遺産の構成文化財「長福寺本堂」や県内最古の薬局「伏見屋岩尾古雲堂」など、御幸通りにはない趣があり、また美味しいウナギ料理がいただける「日田まぶし千屋」もあるので立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

上町通りは御幸通りに比べて交通量が多いので、通行には十分注意しましょう。

日田醤油の天領雛御殿は新旧の雛人形が勢揃い!

日田醤油の天領雛御殿は新旧の雛人形が勢揃い!

写真:肥後 球磨門

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御幸通りにあるのが170年以上の間、昔ながらの製法で製造した高級醤油を販売している日田醤油で、別名「雛御殿」。九州随一といわれるほどの繁栄を極めた日田の豪商たちが京都や大阪で豪華な雛人形を買い求め、日田の旧家ではその多くが今も残されていています。

日田醤油の天領雛御殿は新旧の雛人形が勢揃い!

写真:肥後 球磨門

江戸時代創業の日田醤油が公開している雛御殿には、複数の部屋に新旧の雛人形が数千体も展示されています。中には250年前の享保人形も飾られていて雛人形の歴史を見ることができます。

日田醤油の天領雛御殿は新旧の雛人形が勢揃い!

写真:肥後 球磨門

日田では毎年2月中旬から3月末まで「天領日田おひなまつり」が開催され、旧家に保存されている雛人形が各家で一斉に公開されます。雛御殿に来れば数多くの雛人形がいつでも出迎えてくれるので、天領ひなまつり開催期間以外に日田を訪問する時はここに来ることをおススメします。

お酒の試飲ができる「薫長酒造 酒蔵資料館」

お酒の試飲ができる「薫長酒造 酒蔵資料館」

写真:肥後 球磨門

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豆田町上通りの端、花月川に架かる一新橋のたもとに江戸時代創業の「薫長(くんちょう)酒造」の酒蔵が並んでいます。一番古い蔵は1702年に建てられたもので、全ての蔵が建築当時の姿のまま残っている全国的にも珍しい酒蔵です。

お酒の試飲ができる「薫長酒造 酒蔵資料館」

写真:肥後 球磨門

文政9年(1826年)に建てられた酒蔵の2階が、酒造資料館として無料開放されています。槽(ふね)、酒袋(さかぶくろ)という清酒を絞るときの道具など、酒造りの機械が導入される前に使用されていたものが数多く展示され、酒造りの歴史や文化を知ることができます。内部は少し薄暗いので足元に注意して見学しましょう。

お酒の試飲ができる「薫長酒造 酒蔵資料館」

写真:肥後 球磨門

資料館の隣には、酒造りの工程や酒造りの様子を学ぶ事ができる「お酒の学習室」や、お酒の試飲ができる「薫長酒館」もあり、お酒好きにはたまらない施設です。
お酒が飲めない方は、0.3%のアルコールを含みますがバニラアイスクリームに大吟醸の酒粕と生酒を混ぜ、さらにお酒で炊き上げた「赤米」を混ぜ込んだ「吟醸アイスクリーム」をおススメします。 甘さ控えめのさっぱりした大人向きのアイスです。

日本最大規模の私塾「咸宜園」

日本最大規模の私塾「咸宜園」

写真:肥後 球磨門

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御幸通りの長屋から歩いて数分のところにあるのが、江戸時代後期の儒学者「廣瀬淡窓(ひろせたんそう)」が文化14年(1817年)に開いた日本最大規模の私塾「咸宜園(かんぎえん)」です。淡窓が亡くなった後も塾は門下生に引き継がれ、明治30年(1897年)に閉塾するまで、およそ5,000人もの門下生が全国から集まったといわれ、九州隋一の商業都市だった日田が学問の中心地でもあったことがうかがえます。

当時の建物はほとんどが取り壊され、現存するのは勉学所の秋風庵(しゅうふうあん)と書庫の遠思楼(えんしろう)のみですが、建物があった場所の境界が明らかなので咸宜園の往時の姿を偲ぶことができます。この地に立って、激動の時代に勉学に励んだ俊英たちに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

天領日田で江戸文化に触れませんか

江戸時代、商人町として急速に発展した天領日田豆田町は、九州の経済や学問の中心地として繁栄しました。現在も旧家が数多く残り当時の面影を物語っています。「天領日田資料館」では日田の歴史や文化について展示されているので、まずここに立ち寄ってから散策することをおススメします。
九州では並ぶものがないほど繁栄した日田豆田町を散策して、江戸時代の商人の町の雰囲気を楽しんでみてはいかがでしょうか。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/08/17 訪問

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