古くから紅葉の名所として親しまれてきた、斑鳩町の「竜田川(たつたがわ)」。川沿いの一帯は「奈良県立竜田公園」として整備されており、約2kmほどにわたって見事な紅葉が続きます。
紅葉の見頃は、11月下旬〜12月上旬ごろ。11月末の週末(2016年は11月26日・27日(土日))には「紅葉祭り」も行われ、たくさんの観光客で賑わいます。
竜田川の紅葉の美しさを詠んだ歌は、百人一首にニ首も収められています。
●「千早ふる 神代も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは」在原業平(ありわらのなりひら)
(大意:神代の昔にも聞いたことがない。竜田川の水が散った紅葉で紅色のしぼり染めになるなんて)
稀代の色男として知られ、平安時代の「伊勢物語」のモデルとも目される在原業平の歌。恋仲でありながら天皇の側室となった藤原高子のところにあった、屏風に描かれた紅葉を見て詠んだと伝わっています。
●「嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 竜田の川の 錦なりけり」能因法師(のういんほうし)
(大意:激しい山嵐で三室山の紅葉が散り、竜田川の川面は錦織りのような美しさだ。)
能因法師は、全国各地の歌枕(≒名所を詠んだご当地ソング)を収集したことで知られる、漂白の歌人です。この歌をきっかけとして竜田川の紅葉の美しさが全国的に知られるようになったとされています。
竜田川に沿って歩いていくと、両岸には黄色や赤に色づいた見事な紅葉が次々に現れます。もっとも美しいのは、その名も「紅葉橋」の周辺。赤い欄干が両岸の紅葉に馴染むようになっていて、遠目から見てもとても優美な印象です。
もちろん、紅葉橋は実際に渡ることもできます。近くで見ると金属製であることがわかってしまうため、日本庭園のような風情はありませんが、橋の上から、または両岸からと、さまざまな角度から竜田川の紅葉が楽しめるようになっています。
現在の竜田川は、川幅も広くしっかりと整備されていますので、歌のように散った葉っぱが水面を埋め尽くし、「竜田の川の錦なりけり」という光景を見るのは難しいかもしれません。
しかし、風がなくて流れが穏やかな日には、水面に紅葉が映り込んで、美しい錦が見られます!とても美しい光景ですので、ぜひ注目してみてください。
竜田川の岸辺には、能因法師の歌にも詠まれた「三室山(みむろやま)」があります。神がおわす山として崇められてきましたが、標高はわずか82m。小さな丘くらいのサイズです。春は全山が埋め尽くされるほどの桜の名所としても知られています。
三室山の山頂には能因法師の供養塔と伝わる五輪塔もあります。気軽に登れる高さですので、ぜひ山頂まで行ってみるといいでしょう。
竜田川の紅葉の見頃は「11月下旬〜12月上旬」ごろです。周辺には何箇所か無料駐車場がありますが、桜や紅葉の時期には混雑しますので、公共交通機関を利用するといいでしょう。
また、同じ斑鳩町内の世界遺産寺院「法隆寺」などの拝観と組み合わせると、より充実した秋の旅行になるでしょう。正岡子規の有名な俳句「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」を実感するには最適な季節です。
ご当地グルメとして、竜田が発祥と伝わる「竜田揚げ」も見逃せません。町おこしグルメとして地域で一体となって提供しており、各店ともに工夫をこらした竜田揚げメニューがいただけます。紅葉狩りと合わせてお楽しみください。
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(2024/4/25更新)
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