如庵がある有楽苑は、名鉄犬山線で名古屋から約30分の犬山遊園駅から清流木曽川沿いに徒歩7〜8分の名鉄犬山ホテル敷地内にあり、犬山遊園駅から国宝犬山城を眺めながら入苑します。見どころは、手入れの行き届いた庭園と精緻に配置された国宝如庵、元庵、弘庵の三席の茶室。楽しみは一服の抹茶と頂く際の極上会話です。
有楽苑に入場したらまずは庭園を一周して緑滴る日本庭園をご堪能下さい。
静寂へ引き込まれる小径の侘びを感じてみてはいかがでしょう。
通常、国宝如庵内部には入れませんが、内部を眺める事が可能です。わずか3畳半ほどの茶室は、70cm四方ほどのにじり口(茶室の入り口)の上の窓から隈なくのぞけます。1618年頃に建てられた如庵は、行燈の灯り(写真)と自然光だけで採光の為、昼間での薄暗く感じるでしょう。
苑内の茶室(元庵あるいは弘庵など)で抹茶をいただきますが、茶室如庵は有楽苑で開催される特別な茶会などでも茶室として使われる事がありません。
入苑者は、如庵に連なる有楽斎の隠居所だった旧正伝院書院縁側(写真左手)に腰を下ろし、庭を眺めたり、苑内に広がる静けさを心いくまで楽しむことも。瞼を閉じると小鳥のさえずりと、風の音に揺れる木の葉の音だけが聞こえます。旧正伝院書院の朽ちかけた縁側に手をふれれば、建物が経た長い年月を想像できるでしょう。苑内を回るスタッフの方たちは、石灯籠や数カ所ある門の来歴などをとても親切に教えてくれます。会話を楽しんでみてはいかがでしょう。元庵、弘庵は如庵にゆかりありますが、門や、石灯籠、石碑は、如庵を移設する際に、所有していた三井のコレクションを名古屋鉄道が合わせて購入したもの。いずれも歴史的に貴重なものです。
有楽斎は、織田家で働き、信長の死後は、秀吉に仕えます。信長にならい茶の文化を好んだ秀吉から石高をもらい、秀吉のお伽衆(おとぎしゅう)を務めています。お伽衆とは、当時の大名の話相手や、相談相手、読書きの手伝いなどした教養人を言います。
写真は有楽苑に入苑するとすぐの元庵の裏側からの佇まい。数寄屋の雰囲気を是非楽しんでください。有楽苑内では、如庵と旧正伝院書院と元庵を取り囲んで日本庭園が造られており、もう一つの茶室弘庵は独立しています。
茶室元庵(げんあん)は、有楽斎が大阪時代に建てた茶室を、茶室如庵に隣接して復元したもので、「大阪にあった如庵」と呼ぶべき茶室です
抹茶は日によって元庵や弘庵で出され、茶室に隣接する部屋や縁側で出されます。御簾(みす)越しに縁側から庭を眺める抹茶の一服も格別ですよ。
三つ目の茶室弘庵(こうあん)は、有楽苑内に離れのように新しく、茶会用に作られた茶室です。入り口手前(写真)にあるのが、つくばいと水琴窟(すいきんくつ)。もみじが美しい茶室「弘庵」をゆっくりと散策する前に、水琴窟のハープのようなやわらかい音を楽しんでみてください。つくばいから水が落ちていると、聞き逃しそうなくらい微妙で柔らかな音色です。
弘庵の周囲は如庵や元庵と同じように、竹、笹、もみじの剪定が行き届いた庭木が配置されどこを歩いても春夏秋冬で変化する緑とともに景色が楽しめます。
庭を覆う緑が光を遮り、見どころの一つ、苔の美しさが際立っています。苑内では苔を踏まないように、飛石の上を多く歩きます。紅葉は11月中旬頃が見頃です。
抹茶は¥600でいただくことができますが、入苑料(¥1,000)とは別。抹茶をいただく場所は日によって変わります。楽しみは、お茶を入れてくれる女性の係の方がまるで、秀吉のお伽衆のようにお話の相手をしてくれること。お茶の作法や、有楽苑のトリビアなど尽きない話題を、丁寧に説明してくれます。まずは、地元銘店の和菓子「有楽風」(写真)を頂き、次に抹茶。
ほんのり薄暗い茶室の中で、まるでお伽衆との会話のように、時を忘れる極上の時間になります。お茶の一服を楽しんだ後、時間の許す限り庭を眺めたり、写真をとったりして楽しめます。
有楽苑と国宝茶室如庵の雰囲気を楽しんでいただけたでしょうか。大茶人の有楽斎は秀吉没後、家康とも関係を持ちました。大阪城に住んでいましたが、大阪夏の陣が始まる前に大阪城から辞去し、京都建仁寺に如庵を作り、隠遁生活に入りました。
小京都と言われる犬山ですが、有楽苑内は、まるで京都に迷い込んだ錯覚を覚えることでしょう。静寂な日本庭園と国宝茶室を眺めながら、抹茶の一服と極上の会話を楽しんでみてはいかがでしょう。月に一度の如庵見学会では、定員25名で、入苑+抹茶+如庵説明と内部入室が¥3,200で楽しめます。
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