写真:Hiroko Oji
地図を見るドイツに数ある観光街道、ロマンティック街道やアルペン街道などと共に、日本人に人気の高い古城街道は、その名の通り、古城がたくさん見られるルートです。
特に、ネッカー川が流れるネッカー渓谷の部分は古城や見所が多く、エーベルバッハ(Eberbach)の町もそのうちの一つ。列車で訪れやすく、鉄道駅舎を背にして5分も歩けば町の中心地。メインストリートから川沿いに出ると、閑静な緑に囲まれた保養地風景が広がります。
写真:Hiroko Oji
地図を見る旧市街には、中世の防衛施設として建てられた塔が4つ保存されています。その中で川沿いにあるのが、特徴的な形状の「プルファー塔(Pulverturm・火薬塔)」。2つの棟の建物からなる隅櫓として15世紀に建設されました。煉瓦を積み上げて13世紀に建設された、中世の市壁の西端の角を防衛する施設です。防衛施設だっただけあって、市壁のそばには大砲も置かれたままになっています。
プルファー塔の高い位置に取り付けられている時計は、1766年にエーベルバッハの時計職人であったヤーコプ・ブラウンによって製作されたもので、現在も時を刻んでいます。
写真:Hiroko Oji
地図を見る町の名前「エーベルバッハ」のエーベルはイノシシ、バッハは小川で、「イノシシの小川」という意味を持つだけあって、町中では、イノシシの像やお土産物をあちらこちらで見かけることができます。
赤い洋服を着たペイントのイノシシ像やスパイダーマンのようなイノシシ像がある中、プルファー塔の足元では、水を飲みに来たような仔イノシシたちの像も見られます。ここは「イノシシの泉」と言われていますが、水は枯れてしまって泉のように見えないのがちょっと残念。
写真:Hiroko Oji
地図を見る旧市街に残る4つの塔のうち、北端にあたるリンデン広場に面する塔が、14世紀に建てられた「ハスペル塔(Zinnfiguren-Kabinett・写真中央のとんがり屋根の建物)」。煉瓦がアクセントの四角い塔で、一時期、1階が塗り固められてしまい、上の階から出入りするためのウインチが設けられたこともあり、ウインチ塔とも呼ばれています。現在、この塔の中にはブリキでできた人形の博物館(ブリキ人形キャビネット)が入っていて、木造の階段を上って入場します。
写真の右側の木組みの建物は「シュポールシェ・ハウス」。蔦が壁を這う木組みの素敵な建物で、ホテル・レストランとして利用されていますす。
写真:Hiroko Oji
地図を見る木組み建築が並ぶ一帯の中心地はマルクト広場。木馬が木枠のデザインに組み込まれた木組みの家や、写真のような堂々とした木枠デザインの家、三角の壁面と急傾斜の屋根が可愛らしい家など、楽しくなる家並みが続きます。
広場に面して、1823年、ヴァインブレンナー様式(バーデン古典主義様式)で建てられたクリーム色の旧市庁舎(現在は博物館として利用)や、木枠と木製の鎧戸を持つたくさんの窓の間を美しい壁絵で飾るホテル・カルプフェン( Hotel Karpfen)など、見応えある建物が多く、広場の石畳の上にはテラス席が広げられています。
エーベルバッハには、プルファー塔と並んで、13世紀初めの防衛施設として、かつてロスブロンナー塔(馬の井戸の塔)と呼ばれたローゼン塔(Rosenturm・バラ塔)が町外れにあります。塔の壁の厚さは2メートルあり、エーベルバッハで唯一の円筒形の塔であり、最古の塔です。一部木組みの家と一体化している所も特徴的です。また、旧市街の南端に位置するブラウアー・フート(警察帽)は、特徴的な形のどんよりとした青いスレート屋根がその名の由来となった塔で、ランドマークの一つといえるでしょう。
また、背後の山上にはエーベルバッハ城趾(Ruine der Burg Eberbach)という12世紀の城塞跡があります。1403年にはすでに破壊されており、緑の溢れる中に積み上げられた苔の生えた石や煉瓦の土台が、廃墟となって残されています。
見所ではないのですが、「エーベルバッハ」という名前自体が、「エロイカより愛をこめて」という漫画に登場する人物の名前に使われており、その漫画人気から、この町を訪れる日本人観光客が急増したことがあったことは、面白い点と言えるかもしれません。
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(2024/4/26更新)
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