写真:浦賀 太一郎
地図を見るゆじ(ぢ)また、と実に読みにくい湯岐温泉へのアクセスは、やけにモダンな駅舎のJR東日本水郡線「磐城塙(いわきはなわ)駅」からバスで約30分。バスといっても、休日の運行は無く平日のみ、4本程度しか運行しておらず、車以外で行くには事前に旅館に送迎の予約が必須です。
湯岐温泉が近づくにつれ、もともと深かった山々の峰はさらに深まり、同時にスマホも一つ、また一つと電波の針が減っていきます。道路は、狭い区間はそこまで長くはありません。最寄りの「湯岐」停留所は、ぽつねんと佇む屋根付き長椅子付きのバス停。日本映画のワンシーンにでも出て来そうな、まさに「田舎のバス停」風情たっぷりです!
バス停のすぐ脇から、すれ違い困難な坂道を車なら1分。歩きなら5分。山形屋旅館は、隣接するいくつかの旅館と共に、鄙びた湯岐温泉郷に存在しています。これはあくまで誉め言葉ですが、外観はまさに「昭和」そのもの!ほとんど感動的ともいえる昔ながらの旅館に入ると、どこか懐かしい声が暖かく迎え入れてくれます。
内装は「昭和」をちゃんと残しつつも、全室接続無料の無線LAN(Wi-Fi)がスマホ電波の遠さをカバーしてくれており、ひと安心です。トイレも、ほっと胸を撫で下ろしたくなる洗浄器付き(ウォシュレット)で、しっかり「現代」も採り入れてくれています。
写真:浦賀 太一郎
地図を見る旅館にチェックインしたら、とにもかくにも温泉に入りましょう!離れにある「岩風呂」は基本的に混浴ですが、女性専用の時間帯や貸切にできる温泉が館内にあります。詳しくは、記事下の関連MEMOリンクから公式HPをご覧ください。
湯岐温泉は、古くから「中風の湯」として知られ、多くの人々が湯治に訪れ、患いを治してきました。アルカリ単純温泉の、いわゆる「美肌の湯」です。泉温は、ぬるめの40℃。心地良すぎなぬるさです。多くの温泉は、熱すぎたり泉質が強かったりするため長湯は禁物の場合が多いですが、湯岐温泉ではの〜んびり長々、一回30分〜1時間。一日に4、5時間と長湯をすることによって、温泉の成分を体に沁み込ませ、心も体もすっきりときほぐすことができます。
上段(写真右)には、上がり湯(かけ湯用)があり、下段の大きな湯舟には壁面に天然の花崗岩。その割れ目から、ぷく、ぷく、とあぶくが浮かんでくるのが見て取れます。源泉が、こんこんと湧き出しているのです。自噴源泉がそのまま湯舟になっているのは全国的にも非常に珍しく、最高に鮮度の良い温泉にま〜ったりと浸かることができるのです!
冒頭でも触れましたが、湯岐温泉の歴史について古文書は多くを語ってくれておらず、地域の人々の口伝から、かろうじてその一端を垣間見ることができる程度です。ですがこの岩風呂には、よくよく見てみると岩肌に人口の切れ目のような址があることが判ります。これは、昔この地域を統治していたお殿様が保養に訪れた時のために、木枠で囲い湯舟にしていた址だとされています。お殿様も同じようにこの温泉で、ま〜ったりと寛いだんでしょうね!湯上りのビン牛乳も、これまた乙!
写真:浦賀 太一郎
地図を見る夕食は奥久慈の恵みをふんだんに使用した自慢の手料理!コメや味噌は塙町産のもの。お隣の矢祭町の市場や、自家農園、ご近所で採れた超新鮮野菜。魚は久慈浜や水戸の市場で旬の食材を厳選。
栃木のマス文化の最高峰・プレミアムヤシオマスのお造り(写真中央)は夕食の目玉!ほんのり甘く、上品な味わい。クセや臭みの無い、マス本来の美味しさが追及されています。一番の自慢は茨城ご当地和牛の「常陸牛」。プランで迷ったら、まず常陸牛付きのプランを選びましょう。絶品です!
福島、栃木、茨城と、三つの県境に近い湯岐温泉。太平洋へも近く、食材は海も山も川も全部新鮮でおいしく満腹満足!ゆ〜ったり温泉に浸かり、た〜っぷり食べて、そしてまた、ま〜ったり温泉に浸かる。これは幸せ!まさしく「極楽、極楽」の境地です。
写真:浦賀 太一郎
地図を見るゆったりした和室でぐっすり眠ったら、朝の清浄な空気を胸いっぱいに吸い込んで、朝めし前の散策はいかがでしょうか。
水戸藩士の藤田東湖が療養に訪れ、江戸幕府老中・小笠原長行(ながみち)が潜伏したという「和泉屋旅館」。アスファルトの石橋の下に真正面から落ちてゆく、不動滝の爽やかさ。イガイガを艶やかに実らせる栗の木。八幡さまは、古びて小さくても鎌倉の鶴岡八幡宮のような立派な祠に祀られています。
色とりどりの蝶や花、停留所だけ広くなる片側だけの道。そのどれもがどこか懐かしく、でも新しく、そんな風景と一体になれるようなひと時が過ごせます。こんな癒しの体験も、湯治の一環といえましょう。
早い時間にチェックインして、温泉に入ってのんびりゆったりしてみる。たまにはそんな旅も良いですよね!車ですぐの所には9〜10月が見ごろのダリア園や、茨城県へ少し下れば日本三名瀑・袋田の滝をはじめとした、奥久慈の大自然が広がっています。
「癒し」といったら、これ以上の癒しは無いでしょう。それが「湯治」です。日帰り入浴も可能ですが、なんとか一泊、時間を作って「プチ湯治」の癒し旅をぜひ山形屋旅館で堪能してください!
この記事の関連MEMO
- PR -
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索
(2024/4/26更新)
- 広告 -