写真:沢木 慎太郎
地図を見るタイでは朝夕に国歌が流れ、その間は直立姿勢を保ったまま動いてはいけません。タイは東南アジアで唯一、戦争で欧米諸国の植民地支配から逃れた国であり、これは国王の政治手腕によるもの。日本では、「日の丸」「君が代」は天皇の戦争責任と相まって、これを拒絶する人も多いのですが、タイでは国民のすべてが国王を英雄視。タイ国民を戦争から守った王として、絶大なる人気を誇っています。
プミポン国王をはじめ、タイ国王の遺徳が感じられる観光スポットが「王宮&ワット・プラケオ(エメラルド寺院)」。王室の重要な祭典や迎賓館として今も現役として使われ、プミポン国王の遺徳が最も感じられる場所です。夜には敷地内の数多くの寺院がライトアップ。白亜の壁の向こうに、タイならではのきらびやかな寺院を見ることができます。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る王宮のうち、最も中心となる建物が、“エメラルド寺院”で知られる「ワット・プラ・ケオ」。チャクリー王朝の初代国王ラーマ1世が1782年、王室を守る寺院として建てたもの。精緻なタイル張りの外観はきらびやかで美しく、タイで最も威厳のある仏教寺院です。
「ワット・プラ・ケオ」のご本尊となるのが『エメラルドの仏』。高さ66センチのヒスイ製で、タイ人のアイデンティティーとなる霊験あらたかな仏像です。年に三回(夏・雨期・乾期のはじめ)、仏像の衣替えがあり、これは王室の大切な行事の一つ。プミポン国王も、衣替えの儀式を執り行われました。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る続いても、王宮内にある建物「チャクリーマハープラーサート宮殿」。数ある王宮建築でも、西洋風のルネサンス様式に、タイの装飾をほどこしたお洒落な宮殿です。チャクリー朝100周年を記念し、ラーマ5世がイギリス人の建築家に命じて建設。白亜の威風堂々とした建物で、「チャクリー王朝100年祭」となる1882年に完成しました。
建物のほとんどは非公開。1階部分の武器博物館だけが公開されています。「チャクリーマハープラーサート宮殿」は現在、王族の納骨堂として使用。お亡くなりになられたプミポン国王も、この宮殿で安らかに眠られることになるのでしょうか?きらびやかなタイの伝統的な尖塔と装飾が、亡くなったプミポン国王を悲しみながらも毅然と美しく輝き、タイ王室の威厳を感じさせます。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る王宮は、白壁に囲まれた敷地面積20万平方メートルの広大なエリア。芸術の粋を凝らした名建築がずらりと並び、繊細な装飾やユニークな仏像がたいへん素晴らしい。
ブッダの遺骨を納めているとされる黄金の仏塔がそびえ、その隣にはアンコール・ワットをイメージさせる美しい寺院があります。四段重ねの屋根。カラフルなタイルをはめ込んだ円柱形の塔が特徴の寺院「プラサート・プラ・テーピドーン」(写真)。
「プラサート・プラ・テーピドーン」は、仏教の守護神の一つである帝釈天(たいしゃくてん)が住んでいるとされる山を表したもの。クメール様式の塔を持ち、先端にはシヴァ神のシンボルも。内部は非公開。ラーマ1世からラーマ8世までの歴代国王の像が安置されていますが、プミポン国王の像も奉納されることになるのでしょう。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る最後に、タイへ観光で行かれたなら、タイのお土産にぜひご覧いただきたいのが「Royal Project Shop」(ロイヤル・プロジェクト・ショップ)。タイ王室がプロディースするショップで、“Doi Kham(ドイカム)”と呼ばれる王室主導のタイオリジナルブランドを展開しています。
ドイ・カムのコーヒーやマカデミアナッツ、ハーブティー、コーヒークッキー、ドライフルーツ、ハチミツ、乳製品、パン、マッサージオイル、雑貨、チェンマイ産のイチゴを使ったジャムなど実に多彩。王室管理のもとで高品質・安全な食品などを販売しています。
このロイヤルプロジェクトは、タイ農村部でアヘン栽培をしているのを見て、心を痛められたプミポン国王が始められたもの。農産業で安定的な収益が得られるよう社会支援を行うことを目的としています。新鮮で安全な食材などを適正な価格で買えることに加えて、タイの社会発展にも貢献できる素晴らしいプロジェクト。偉大なプミポン国王の魂は今も、タイの中に生き続けています。
写真は、タイ観光の玄関口となる「スワンナプーム国際空港」の地下1階にある店ですが、バンコク中心街のデパート(サイアムパラゴン、セントラルワールドプラザなど)や、スーパー(フジスーパーなど)にも商品が置かれているので、タイに旅行に行かれたらぜひチェックしてみて下さい。
「王室プロジェクト」の実施など、開明君主としてタイ国民から深い敬愛を集めてきたプミポン国王。お亡くなりになられたことはたいへん悲しいことですが、ご紹介した観光スポットを巡り、絶大なる人気の国王のご遺徳に触れてみてはいかがでしょうか?
「王宮&ワット・プラケオ(エメラルド寺院)」の詳細や、周辺の観光スポットについては別途、記事にまとめていますので、関連MEMOのリンクからのぞいてみて下さい。
タイでは国王のご崩御に伴い、国を挙げての喪服期間となっています。王宮周辺では終日、全国から追悼のために多くのタイ人が集まり、喪に服しています。多くのタイ国民は弔意を表すため、黒または白の衣服を着用しています。強制ではありませんが、可能であれば外出時に黒めの色の礼節をもった衣服をお召しになることをおすすめいたします。
不謹慎な言動は、タイ国民に対してたいへん失礼になります。追悼者への配慮が必要であることは言うまでもありません。喪服期間での注意事項(タイ政府観光庁)のリンクを関連MEMOに張り付けておきましたので、タイへの観光の際は十分にお気を付けください。
なお、タイでは依然として階級社会、首都と地方との格差が激しく、地方の農民層から支持を集めるタクシン派(タクシン元首相を支持する人たち)と、これに反対する都心部の中流階級との間で衝突。軍事クーデターなども起こり、武力衝突がしばしば繰り返されています。これまではプミポン国王が調停役として采配をふるうこともありましたが、国民から絶大な支持を集める国王がお亡くなりになり、今後のタイ社会は不透明さを増すことになるでしょう。
この記事の関連MEMO
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(2024/4/26更新)
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