「福山市しんいち歴史民俗博物館」で体感する“備後絣”の魅力!

「福山市しんいち歴史民俗博物館」で体感する“備後絣”の魅力!

更新日:2016/10/25 16:46

村井 マヤのプロフィール写真 村井 マヤ 中国・九州文化的街並探検家
福山市といえば、新幹線のホームから望める福山城や鞆の浦などの観光地が有名ですよね。そんな福山市に「備後絣」と呼ばれる優れた織物があるのをご存知ですか?江戸時代末期に商品化され一時は隆盛を極めました。現在では、2社が技術を受け継ぐのみ。「日本三大絣」の1つでもある備後絣は素晴らしい織物です。「福山市しんいち歴史民俗博物館」では、「糸紡ぎ」体験や備後絣の歴史も学べ、住民主導の保存活動も行っています。

備後絣ってどんな織物?その歴史と現在〜

備後絣ってどんな織物?その歴史と現在〜

写真:村井 マヤ

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備後絣の始まりは、嘉永6(1853)年に富田久三郎によって、備後で初めて絣の技術が考案されたことによります。そしてこの製法を近隣の農家に伝え、農家の副業として発展していきました。文久元(1861)年には、商品化され、明治元(1868)年には「備後絣」として大阪へと出荷されるようにもなります。その後、染料の改良、紡績技術の変革、分業化・機械化が進み福山の主要産業へと発展していきました。

最盛期には、備後絣の生産高が全国の70%を占めるようになり、伊予絣・久留米絣と並び「日本三大絣」の1つとして全国にその名を知られるようになりました。
一般的なイメージは、備後絣は作業服用の絣で、久留米絣などに比べて格下のような扱いですが、そんなことはなく他の絣にはない文様や色もあり、素晴らしい織物なのです。

「福山市しんいち歴史民俗博物館」では、平成4(1992)年に広島県指定伝統的工芸品に指定された「備後絣」の展示に加えて「備後かすり学習会」による技術保存、活用、伝承活動が行われています。

入館料無料で、素晴らしい常設展示と企画展示を見ることができますので、ぜひ福山市に観光に来られましたら、鞆の浦観光で終わらずに、もう少し足を延ばしてみませんか?
アクセス等は、下記MEMOをご覧ください。

「福山市しんいち歴史民俗博物館」館内に並ぶ機織り機

「福山市しんいち歴史民俗博物館」館内に並ぶ機織り機

写真:村井 マヤ

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福山しんいち歴史民俗博物館は、「福山あしな文化財センター」を併設しており、「備後絣」に関しては、その体験や保存活動の場として利用されています。博物館に入館すると、右手の広いロビー部分から多目的ホールにかけて備後絣の高機・足踏み織機・力織機・括り機など時代ごとにずらっと展示されています。

ロビーに置かれている織機などはいずれも現役で、修理しながら使用・展示されています。写真の織り機が展示されているさらに左奥には多目的ホールがあり、「糸紡ぎ」体験や「綿繰(わたく)り」体験などができる場所や「備後かすり学習会」の方々の活動の場となっています。「備後かすり学習会」は、「伝習会はたおと」と「パッチワーク・創美会」の2つの部会で構成されています。

「伝習会はたおと」は毎週木曜日、「パッチワーク・創美会」は毎月第2・4金曜日が活動日になっています。随時見学は可能ですが、事前連絡をして見学してくださいね。木曜日の来館されたら「伝習会はたおと」の作業風景を、「糸紡ぎ」体験などの際に自然と目にすることになるでしょう。

意外に難しい・・・「糸紡ぎ」体験

意外に難しい・・・「糸紡ぎ」体験

写真:村井 マヤ

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福山市しんいち歴史民俗博物館では、いつでも無料で体験できることがあります。その中の1つが「糸紡ぎ」体験です。時代物の糸車で体験できるのですが、これがなかなか難しいのです。

「大人より子供の方がすぐ上手になります」とは、学芸担当の児玉さんの言葉。その通りで、大人だと糸車を回す手が遅かったり、ふわっとした綿を握る指に力が入りすぎたり、本当にちぐはぐな動きになり、なかなか糸が紡げないのですが、子供さんはあっという間に上手くなるのだとか。最初から上手くいきませんが、日常ではできない体験のおかげで、楽しく有意義な時間が過ごせますよ。
この「糸紡ぎ」体験は開館時間ならどなたでも自由にできますので、ぜひチャレンジを。方法が分からない場合は、博物館の方に声をかけて、コツを教えてもらうとよろしいかと。

この糸車のそばには、「備後かすり学習会」の方々が使用されている織り機が並んでいます。木曜日が活動日なので、木曜日に博物館に行かれましたら、機織りをされている様子を見学できますよ。
見学に関しては、織り機や作品に触らないように注意して見学してくださいね。
活動日でなくても見学は可能ですが、勝手に見ても良いか気になるようなら博物館の方に断ってから見学されると良いでしょう。基本的には、自由に見学可能です。荷物が多い方は、荷物を置いて見学されると作品や機織り機に触れないので安心ですよね。

2階の展示室では、備後絣の工程や歴史などを学べる!

2階の展示室では、備後絣の工程や歴史などを学べる!

写真:村井 マヤ

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1階で「糸紡ぎ」体験や「糸繰り」体験をした後は、2階の第3展示室の備後絣のコーナーを見学しましょう。こちらでは、備後絣ができるまでの工程を絣の原料となる木綿のことから、順を追って学べます。

また絣の製造道具の展示や、織り機なども時代ごとに並べられ、限られたスペースですがコンパクトにしかも体系的に備後絣が学べます。この展示室にある備後絣は、職人が織ったものではなく一般の女性が織ったものです。
備後絣は基本的には、副職として農家などのお嫁さんたちが織っていたものです。織りがうまい娘さんは、すぐにお嫁入りの話があったという話も。

2階の展示をじっくり見れば、想像以上に絣づくりが大変な作業であることが分かります。織りの作業に入るまでに20近くの作業が必要なのですから。1階で「備後かすり学習会」の方々の作業の様子を一度見る機会があれば、その大変さもさらに実感!

パッチワークの素材としての需要も高い木綿の絣ですが、やはり衣服として使用したいものです。洋服の素材としても魅力的ですが、最近では和服を着る女性も少しずつ増えていますので、備後絣を普段の着物として気楽に着て欲しいものですね。

絣の文様〜複雑で美しい文様も

絣の文様〜複雑で美しい文様も

写真:村井 マヤ

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絣の文様の作り方には、経(たて)絣、緯(よこ)絣、経緯絣の3種です。経絣は、経糸の染め残した部分を並べて文様を織り出した絣。矢絣に経縞などが経絣の代表的な文様で、写真でいうなら真ん中が経絣です。とてもモダンで粋な柄ですね。

次に緯絣は、経絣と逆で緯糸の染め残した部分をならべて文様を織りだすもの。経絣よりも複雑で「絵絣」などの文様(写真左端)を織ることができます。ダイナミックな柄でかつ面白い文様となります。

最後に経緯絣は、経糸と緯糸の両方の染め残した部分を組み合わせて文様を織り出す絣です。経緯の重なった部分ははっきりとした白色。
文様を組み合わせるのが難しく、高度な技術が必要です。写真右端の織物がそれで、織り上がったものをみるとよくある絣だと思われるでしょうが、今ではなかなか織ることができない貴重な文様なのです。

備後絣の制作工程を見学すれば、普段着として着用されてきた絣の奥深さがお分かりになるでしょう。そもそも織物自体がとても手間暇かかるのです。
1階で活動されている「備後かすり学習会」の方々で、ご自分で着物を織られる方もいらっしゃるそうです。手織りのものには不思議と温かさやパワーがあるのか、機械織りで織られたものよりちょっと重く感じるそうですよ。

備後絣をもっと身近に・・

博物館を見学して備後絣なかなか良いなって思われても、いきなり備後絣を着物として着用するのは大変でしょうから、最初は小物から初めてみるのも良いのではないでしょうか・・。
最近では、ストールやジャケットなどがネットなどで販売されています。また、福山市しんいち歴史民俗博物館の入口にも少しですが備後絣の製品がありますので、名刺入れや巾着などをお土産にいかがでしょうか・・。

まずは、福山市しんいち歴史民俗博物館で備後絣について学んでみましょう。見学したその日から「絣」の魅力にはまるはず!

*現在備後絣を取り扱っている関連企業は、合資会社橘高兄弟商会と森田織物の2社となっています(下記MEMO参照)。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/10/06 訪問

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