大人の散歩―東京・根津〜湯島―明治の洋館や大正ロマンを巡る

大人の散歩―東京・根津〜湯島―明治の洋館や大正ロマンを巡る

更新日:2015/09/22 14:18

明治の文人墨客の旧居も多い根津〜湯島界隈には、現在でも東京大学をはじめ大学や寺社、ミュージアムなど文化施設が多数存在する。その中でも今回は明治・大正の浪漫漂うポイントを散歩コースとしてご紹介しましょう。坂道は殆ど無く歩きやすいので、往時に想いを馳せながらゆっくり歩いてみるのも気持ち良いですよ。

東京十社の一つ、根津権現の通称で親しまれる「根津神社」

東京十社の一つ、根津権現の通称で親しまれる「根津神社」
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まずは東京メトロ千代田線の根津駅から徒歩5分ほどの根津神社へ。地下鉄を出て不忍通りを北上すると、「根津神社入口」という交差点があるのでわかりやすい。

広々とした境内には老大木が生い茂り、都会の喧騒から一足離れただけなのに、思わず深呼吸をしたくなる。

日本武尊に始まると伝えられる古い社だが、1705年江戸幕府5代将軍徳川綱吉の献納によりこの地に遷座された。翌年完成した権現造りの本殿・幣殿・拝殿・唐門・西門・透塀・楼門の全てが欠けずに現存し、国の重要文化財に指定されている。
また6代将軍家宣(いえのぶ)がここで生まれたことにちなんで、家宣公産湯井や家宣公胞衣塚などが作られた。

季節になれば3,000株の躑躅(つつじ)が咲き、参拝客や出店で賑わう。「根津権現」の通称で親しまれ、漱石や鴎外の小説にも登場する根津神社だが、秋冬の人の少ない時期にぶらりと立ち寄ってみるのもよいのでは。

大正ロマンの薫り「弥生美術館」・「竹久夢二美術館」

大正ロマンの薫り「弥生美術館」・「竹久夢二美術館」
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次は大正ロマンの代表的な作家、高畠華宵(たかばたけ かしょう)と竹久夢二の美術館を訪ねよう。
根津神社から根津駅方向に戻ることになるが、根津駅から言問通りを上り左に折れると、東京大学弥生門のはす向かいに二つの小さな美術館が並んでいる。それが弥生美術館と竹久夢二美術館だ。住宅街に建つ二つの美術館は内部の廊下で繋がっていて、入場券は2館共通、入り口は弥生美術館にある。

高畠華宵は大正から昭和初期にかけて活躍した、美人画を得意とする画家だ。広告や本の挿絵を多く描き、少し虚ろな目をした美人画からは当時の華やかなファッションがよくわかって面白い。
「宵待草」の作詞でも知られる竹久夢二は、抒情的な美人画を多く残している。独特の作風で描かれたなで肩でどこか儚げな女性像に、ついつい引き込まれてしまう。「せつなさ」、「けだるさ」、「やるせなさ」そんな気分がそこはかとなく伝わってくる。

日本画の巨匠横山大観の旧居「横山大観記念館」

日本画の巨匠横山大観の旧居「横山大観記念館」
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弥生美術館・竹久夢二美術館を出て前の通りを左に7〜8分ほど進むと「横山大観記念館」の裏手に出る。入り口は不忍通り側にあるので回り込む必要がある。

日本画の巨匠横山大観の旧居が記念館となっていて、内部を見学することができる。
大観が後半生を過ごした客間、居間、アトリエなどをそのまま展示スペースとして公開していて、大観自身の作品はもちろん、交友のあった画家たちの作品や、大観が集めた美術品なども展示されている。展示品は多くはないが、むしろ普通の生活空間として想像できるので面白い。掛け軸などは日本家屋の床の間に掛けられた状態で鑑賞できるので、建物の雰囲気も含めて楽しむことができる。その際は是非畳に座ってみよう。目線が低くなるので見え方が違ってくるはず。

昭和29年に再建された京風数寄屋造りの建物は台東区の史跡に指定されている。

明治の洋館、三菱財閥総帥の邸宅「旧岩崎邸庭園」

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横山大観記念館から不忍通りを南へ進むと岩崎邸庭園への看板が出ている。
敷地内のアプローチを歩くだけでも2分ほどかかり、往時の広大な佇まいを容易に想像できる。当時は現在の約3倍にあたる15,000坪の敷地に和洋合わせて20棟以上の建物があったという。

洋館と和館の内部を見学できるが土足厳禁なので靴は袋をもらって持ち歩く。
洋館はジョサイア・コンドルの設計で明治29年に完成した。賓客を招いてのパーティなどに使われていたらしい。壁のクロスや天井、床にも意匠が凝らされているのでお見逃しなく。
洋館から船底天井の廊下を通って和館に渡る。岩崎家の内輪の披露宴などに使用されていた広間が残っていて、和風のカフェが設置されている。和館は居住区域で完成当時は建坪550坪もの大邸宅だったとのこと。

煉瓦塀を含めた屋敷全体が重要文化財に指定されている。

休憩するなら〜コーヒーマイスターの店「みのりCafé」

休憩するなら〜コーヒーマイスターの店「みのりCafé」
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根津神社から徒歩1分のところにある「みのりCafé」。和洋がみごとに調和した店内でほっと一息コーヒータイム。「人とのふれあいが第一」と語るオーナーはコーヒー豆の産地にもこだわりがある。メニューで紹介されている3種類のコーヒーはいずれも「子供を酷使しない」、「適正な報酬が支払われている」など働く人への思いやりのある農園のものだ。中には農園内に学校を設けているところもある。

また、どのコーヒーにどのスイーツが合うかもメニューに書かれているので、参考にしてみては。ランチどきなら「八穀米カレー」がおすすめで、ご飯の量も調節してもらえる。

東京下町の散歩コース

歴史やロマンをもとめて歩くなら、流行りの観光スポットよりも古くから人々の生活が続いている下町も良いのでは。ゆっくりと一日かけて巡るのも趣がある。

東京メトロ千代田線 根津駅―→徒歩5分―→「根津神社」―→徒歩1分―→「みのりCafé」―→徒歩11分―→「弥生美術館」・「竹久夢二美術館」―→徒歩7分―→「横山大観記念館」―→徒歩7分―→「旧岩崎邸庭園」―→徒歩3分―→東京メトロ千代田線 湯島駅

*所要時間は目安です。

掲載内容は執筆時点のものです。 2013/10/08−2013/10/12 訪問

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