写真:bow
地図を見るgoogleで検索すると何故か「日本の観光名所」という注釈が付いている糸満ロータリー。その歴史は終戦後にまでさかのぼり、沖縄を占領した米軍によって基地や道路の建設がすすめられていく過程で糸満ロータリーは誕生しました。
信号機に頼らず多くの車をさばけるロータリーは、復興期の沖縄に適していたため、糸満ロータリー以外にも嘉手納ロータリー、泉崎ロータリーなどが設けられ、これらは沖縄三大ロータリーと呼ばれる存在となっていました。
しかし、その後は時代と共に道路の整備がすすみ、糸満ロータリー以外は姿を消すことに。糸満ロータリーはアメリカに占領されていた「アメリカ世(ゆー)」の痕跡を今に伝える県内唯一のロータリーとなったのです。そんなロマン溢れる糸満ロータリーは全国の道路マニアにとっては憧れの地でもあるのですが、近年大きな転換期を迎えていました。
動画:bow
地図を見る実は近年の糸満ロータリーは交通量の増大に対応するために変則的な形の交差点へと形を変えていました。五叉路で、なおかつ信号が7つもある複雑な交差点は慢性的な渋滞を引き起こす要因となり本来のロータリーの機能は失われていました。
そうした経緯から一時は十字路への変更すらも議題に上がった糸満ロータリーなのですが、道路交通法の改正により2014年9月1日に「環状交差点における車両等の特例に関する規定の整備」が施行。それまでローカルルールが多かった全国各地のロータリー交差点は再整備され、欧米諸国で多く見られるラウンドアバウトと呼ばれる環状交差点が導入されることになったのです。
これを機に糸満ロータリーは旧来の形を捨て、ラウンドアバウト化の社会実験を2015年10月より実施!そして2016年度より本格的にラウンドアバウトの運用を始めたのです。
ラウンドアバウトは簡単に言えば、信号が無い円形の交差点。環状交差点内が優先道路となり、環状は右回り一方通行。信号もない交差点なのに大丈夫なのかと思う人もいるかもしれませんが、ラウンドアバウト化された糸満ロータリーの動画を見てもわかるとおり、不思議と安全に交通が確保されているのです。
動画:bow
地図を見る動画でもご紹介していますが、ラウンドアバウト走行時のポイントとしてはいくつかあります。意外ですがロータリー進入時の一旦停止およびウインカーは不要。進入時は右から来る回っている車を優先しつつ徐行で進入。交差点内は常に徐行し左寄りを走行し、目的の方向に差し掛かる手前で左ウィンカーを出し、歩行者の通行を妨げないように交差点から離脱していきます。恐らく初めて走る人でもそれほど違和感もなく走行できるので安心していいかと思います。
ちなみにラウンドアバウトのメリットとしては、速度の抑制による重大事故の低減、信号がないため停電時も安心で省エネ、さらには渋滞緩和等の効果が期待されています。社会実験の結果は渋滞長の短縮など見事に数字にあらわれており、糸満ロータリーはラウンドアバウト化することにより、その存在を更に後世へと伝えていけるようになったのです。
写真:bow
地図を見る「糸満ロータリー」のすぐ北東に位置する小高い丘に、ひときわ目立つ展望台が見えるかと思います。ここは「山顛毛(サンティンモー)」と呼ばれる場所。伝統行事である糸満ハーレーの最初のレースが、この場所でスタートをつげる合図の旗が振り降ろされます。
そんな高台にある山顛毛からは、糸満ロータリーのみならず糸満市街も一望。2016年現在で全国に約50ヶ所しかないというラウンドアバウトを俯瞰で観察するにはもってこいのポイントです。全国的にその価値が見直されつつある環状交差点。沖縄県内でも、ここ糸満ロータリーに続き与那原町にも誕生するのだとか。この山顛毛から眺める交差点の形が全国に溢れるのかもしれませんね。
存続の危機を経て新しくラウンドアバウトとして生まれ変わった糸満ロータリー。市民もあくまで馴染みあるロータリーの形にこだわった結果が新たな糸満ロータリーを生み出したといっても過言ではなく、これからも糸満市のシンボル的存在としてこの地にあり続けるのでしょう。また、道路マニアにとっても聖地の一つが守られた形となったのです。
ついつい走って見たくなる不思議な交差点ラウンドアバウト!沖縄旅行に行ったのなら、ちょっと立ち寄ってみませんか?糸満ロータリーへは那覇空港から車で約20分程度です。
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(2024/4/20更新)
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