写真:波奈 美月
地図を見る「本田宗一郎ものづくり伝承館」は、宗一郎氏の出身地、浜松市天竜区二俣町の静かな裏通りにあります。無骨な職人肌のイメージとは違い、建物はレトロで上品な洋風建築。それもそのはず、登録有形文化財である昭和11年(1936年)竣工の旧二俣町役場を利用しているのです。
「Honda(ホンダ)」は、バイクや車を利用する人なら誰もが知っている有名な企業。創業者である宗一郎氏は史上最高の経営者・技術者といわれ、その生き方や"ものづくりの精神"は没後も多く語り継がれています。
自動車修理工場の丁稚からの叩き上げで、挑戦することの大切さをよく知っていた宗一郎氏。「やってみもせんで、何をいっとるか」「失敗を恐れることよりも何もしないことを恐れろ」「人間やろうと思えばたいていのことができる」などの名言は有名です。
その"ものづくりの精神"が、新しいものを次々に生み出し、小さな町工場を"世界のHonda"に育てあげました。「本田宗一郎ものづくり伝承館」では展示物などを通し、宗一郎氏の"ものづくりの精神"を身近に感じ、学ぶことができます。
写真:波奈 美月
地図を見る入館してまず目に入るのは、宗一郎氏の笑顔と『私の手が語る』と題する大きな手のイラスト。宗一郎氏の左手を紹介していますが、随分キズだらけです。
夢中で仕事をしているうちに、ハンマーで叩いて潰したり、指の先を削り取ったりして、右手と左手の人差し指や親指の長さは1センチも違っていたそうです。
宗一郎氏の著書『私の手が語る』では、「私が話すことは、私の手が語ることなのだ。そう思うとき、私はしみじみ、体験というもののありがたさ、強さを感じる」と述べています。
これらのキズは積み上げてきた体験そのもので、夢を実現するための強力な礎になったのでしょう。イラストの一番下には「みんな私の"宝"だ」と書いています。
宗一郎氏は自らの生き方を、「頭で考え、手で考える」と評しています。ひらめいたことは手で形にしてみる。夢中であれこれといじっているうちに、無理も可能になってくる。手のキズからは、その"生き方"が伝わってきますね。
『私の手が語る』は、2階の「図書閲覧コーナー」で閲覧することができますよ。
写真:波奈 美月
地図を見る伝承館の1階は、昭和初期のHonda製のバイクやエンジンの模型・写真パネルなどが常設展示されています。ビデオも放映され、わかりやすく本田宗一郎氏のことを知ることができますよ。
2階には、宗一郎氏直筆の絵画・トロフィーなどが展示されているほか、関連図書を閲覧できる「図書閲覧スペース」や、講座や作品展などが開催される「ワークショップスペース」があります。
ずらりと並ぶ、Hondaの歴史を物語る貴重なバイクは、ファンにはたまらない逸品。ちなみに写真の一番手前は、1952年製造の「ホンダカブF型」。一世を風靡したHondaの「カブ」の最初のモデルです。
バイクファンならずとも心打たれるのが、宗一郎氏の数々の名言。その名言に関連する写真や出来事が紹介されており、宗一郎氏の"ものづくりの魂"がストレートに伝わってきます。
写真:波奈 美月
地図を見るここで、Hondaが大躍進するきっかけをつくった名車をご紹介!それはなんといっても「スーパーカブ」。世界一売れたバイクというギネス記録を持っています。
元々の「カブ」は、上の記事でも紹介した1952年製の「ホンダカブF型」。自転車にエンジンを付けただけの「補助エンジン付き自転車」です。"Cub"のロゴ入りの赤いエンジンカバーが印象的で「赤カブ」と呼ばれました。
オリジナルのエンジンを開発し、股下ではなく後輪に配置することで、服を汚したりエンジン熱で火傷を起こす心配を解消。発売から半年で約2,5000台を販売するヒット商品になりました。
「スーパーカブ」としての第1号は、1958年に作られた「スーパーカブC100」。写真の小型オートバイです。耐久性・燃費に優れているうえ、誰でも乗れる使いやすさが大好評で、スーパーカブシリーズの累計生産台数は2014年3月時点で8,700万台以上にも達し、160ヶ国以上で愛用されることに。
なんと発売開始後、半世紀以上経ていても、基本設計は変わっていないそうです。宗一郎氏の"ものづくりの精神"の神髄を感じずにはいられません。
写真:波奈 美月
地図を見る写真は、英国で開催される「マン島TT(ツーリスト・トロフィー)レース」の優勝カップ。2階に展示されています。"世界のHonda"として知られるようになったのは、この世界最高峰のレースへのチャレンジがあったからこそ。
昭和29年(1954年)、宗一郎氏が「マン島TTレース」への出場を宣言をした頃、主力商品ドリーム4Eのトラブル発生などが原因で、会社は経営危機の真っ最中。そうでなくても、ヨーロッパのトップメーカーがしのぎを削るなか、まだ中小企業にすぎないHondaが参戦することは無謀としか思われませんでした。
しかし、7年後の1961年(昭和36年)、125ccクラスと250ccクラスの両方で、1〜5位を独占するという快挙を成し遂げ、世界を驚かせました。
Hondaのバイクは一気に世界に知れ渡り、世界から大絶賛されることに。それだけではなく、世界を相手に夢を実現させた姿は日本人に希望を与えました。
伝承館では、半年ごとに展示を入れ替え、随時作品展などが行なわれています。2016年10月1日(土)〜12月4日(日)までは企画展を開催!伝承館初の四輪車両(T360・N360)の展示などを見ることができ、プレゼントもあります。(※企画展 展示車両は、平成29年3月まで展示予定)
企画展の詳細は、下記のMEMO「本田宗一郎ものづくり伝承館」からご確認ください。
入場料は、特別展開催時のみ有料となります(企画展は無料)。月・火曜日は休館日なのでご注意を!祝日の場合は開館し、水曜日が休館日となります。
1階の売店では、宗一郎氏やHonda関連のグッズが販売されています。宗一郎氏のキャラクターや"ポンポン"(遠州弁でオートバイ)入りの浜松注染染め(ちゅうせんぞめ)の手ぬぐいは伝承館オリジナルでお薦め!細かい所まで再現されたHondaの名車のミニチュアや、宗一郎氏関連の書籍などもありますよ。
「本田宗一郎ものづくり伝承館」は、夢を叶える気概と勇気を与えてくれる所。来館をきっかけにあなたの人生が変わるかも!
近くには、もうひとりの二俣が生んだ偉人、秋野画伯の作品を展示する「秋野不矩美術館」があります。徒歩10分ほどの距離ですので、併せて訪れてはいかがでしょうか?
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(2024/3/28更新)
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