写真:泉 よしか
地図を見る弥生美術館は東京の文京区、東京大学弥生門のすぐ近くに位置する大正時代に迷い込んでしまったような小さな美術館です。
今回の山岸凉子展 「光 ―てらす―」 ―メタモルフォーゼの世界―は弥生美術館が一年がかりで企画し、実現した貴重な原画展です。開催期間は2016年9月30日〜12月25日。これまでに代表作の一部は展示されたことがありましたが、初期作品から最新作までの流れを辿る本格展示は初めての試みです。
北海道出身のマンガ家・山岸凉子は1969年『りぼんコミック』5 月号に掲載された『レフトアンドライト』でデビューしました。萩尾望都、竹宮惠子、大島弓子、青池保子、木原敏江といった少女漫画の一時代を作り上げた「花の24年組」と呼ばれる中の一人で、代表作は『アラベスク』『日出処の天子』『テレプシコーラ 舞姫』など。バレエや神話・古代史をモチーフとした、華麗で激しくどこかミステリアスでありながら、人の内面奥深くを描いた作品を得意とします。
写真:泉 よしか
地図を見る山岸凉子展の展示は1階と2階に分かれています。1階は主に代表作である『日出処の天子』の原画及び『アラベスク』の原画がずらりと!ファンならもう息が止まりそうになります。
大型のカラー原画から、コマ割りしたペン画まで。少女誌に連載されていた当時を知っている人ならば、どのイラストにも見覚えがあるかもしれません。
表情や肉体を描く細く優雅な線は、あまりにも精緻でデザイン性に富み、一つの完成した世界を作っていることに驚かされるでしょう。衣装の柄や群舞の場面もいつまでも見飽きないほどです。
作品の中には、萩尾望都が背景を描いた原画や、初出当初は足首までしか描かれていなかったものが、後に大型ポスターに起用されることになり、紙を継ぎ足して足だけを後から描いた作品などもありますよ。探してみてください。
写真:泉 よしか
地図を見る(写真は1階の展示)
2階には、デビュー作をはじめとする初期の作品や短編作品、そして『テレプシコーラ 舞姫』や『レべレーション ―啓示―』といった2000年代に入って描かれた新しい作品の原画までが展示されています。まさにメタモルフォーゼ(変容)。特に初期の丸顔で瞳の中に星の宿る絵柄から、少女マンガの枠に囚われない独特の絵柄に変わっていく様子は驚くよりほかありません。
マンガ作品の扉絵やカットだけでなく、マンガ雑誌の表紙を飾った原画も多く展示されています。『LaLa』創刊号(創刊当時の誌名は『花とゆめ LaLa』)や、『月刊Asuka』(当時の誌名は『ASUKA』)の表紙原画などを見る機会は、たいへん貴重なのではないでしょうか。
写真:泉 よしか
地図を見る会場には『日出処の天子』の厩戸皇子(うまやどのおうじ)の、ほぼ等身大パネルもあります。記念撮影OKですよ!
山岸凉子展の来館客は圧倒的に女性が多く、年代的には40〜50代の方が多いそうですが、『テレプシコーラ 舞姫』や『レべレーション ―啓示―』からファンになったという若い方も。今の時代でもまったく色あせない山岸凉子作品を、ぜひ生でご覧になってください。
弥生美術館で開催されている山岸凉子展 「光 ―てらす―」 ―メタモルフォーゼの世界―は、2016年9月30日から12月25日までですが、期間を前期(9月30日〜10月30日)、中期(11月1日〜11月27日)、後期(11月29日〜12月25日)に分けて、およそ76点ほどのカラー作品を入れ替えます(前期と後期は同じ作品を展示)。
なお、その理由はカラーインクの退色を防ぎ、原画を保護するためです。(黒インク、又は色鉛筆作品の多くは全期間を通して展示)
また、弥生美術館3階には高畠華宵の作品を中心とする常設展示が行われており、隣接する竹久夢二美術館も弥生美術館と同じチケットでそのまま鑑賞できますので、こちらもぜひ寄ってみてくださいね。
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(2024/4/19更新)
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