写真:八岳木 流泉
地図を見る須川高原温泉は、岩手、秋田、宮城の三県にまたがる栗駒山山麓に湧いています。標高が高く、朝晩の気温差が大きなことから、紅葉の速度が速いといわれています。紅葉の見ごろは例年10月下旬。上着を持って出かけましょう。
須川高原には、上記三県の県境があります。岩手県側に建つ「須川高原温泉」は、平安時代には存在していたとの記録が残る由緒正しいお宿。大きな外観ですが、どこか懐かしい雰囲気もあり、いつも湯客で賑わっています。なお、同温泉から数歩のところ、秋田県側には須川温泉「栗駒山荘」があります。訪ねる際には間違えないよう注意です。
須川高原温泉へ車で行くには、東北自動車道、一関インターで降り、国道342号線を通るルートが一般的。その他、秋田の湯沢方面から一般道で南下することもできます。また、電車であれば東北新幹線やJR東北本線の一ノ関駅から、9番乗り場にて12番のバスへ乗ります。1時間30分ほどで須川高原温泉の宿前に到着します。料金は1450円です。
写真:八岳木 流泉
地図を見る須川高原温泉では、料理がつく一般の宿泊と、自炊する湯治とに分かれており、滞在する棟が違います。宿泊する場合は、棟の間違いにも注意です。また、こちらの温泉では外来入浴も広く受け付けています。栗駒山登山の人はもちろん、温泉目当ての人や紅葉狩りのついでに立ち寄る人など様々です。
須川高原温泉には、本館に付随する内湯と、離れに位置する露天風呂が用意されています。床や壁、天井の素材をすべて木とする内湯は抜群の雰囲気ですが、ここではやはり露天風呂に入っておきたいところです。外来入浴の料金は、大人600円、子ども300円。こちらでは内湯、露天ともに別料金ですので、大人が両方入る場合は1200円かかります。時間は、内湯が9時から16時まで、露天が6時から21時までです。
名物の露天は、「大日(だいにち)湯」と呼ばれる千人風呂です。大日とは、眼前にそびえる大きな大日岩のこと。約15メートル四方の露天風呂には、50人以上が悠に入浴できます。
泉質は酸性・含硫黄・アルミニウム-硫酸塩・塩化物泉。舐めれば酸っぱく、湯色は真っ白。硫化水素のにおいがして、湯温もぬるめで長湯ができます。
写真:八岳木 流泉
地図を見る濃厚な須川高原の源泉を味わった後は、宿の裏手を散策しましょう。旅館の裏は付近の山(剱岳等)への登山口になっていたり、名残ヶ原というお花畑に続いていたりします。もちろん、登山とまでいかず、簡単なトレッキングで切り上げても楽しいです。
裏手にはゴウゴウと川が流れていますが、これは源泉の川です。須川高原温泉の源泉は毎分6000リットル、ドラム缶30本以上ということです。湯船に溜められるよりも、川として流れて捨てられるほうがはるかに多いという贅沢な実情です。その源泉の川のほとりには、椅子が設けられており、無料で足湯を楽しむこともできます。
湯煙が上がる川を横目に、きちんと整備された階段を登り、少し歩きましょう。
写真:八岳木 流泉
地図を見る須川高原温泉の宿の裏手から100メートルほど登った場所に、小さな木造の小屋があります。ここが同温泉の隠れた名物“おいらん風呂”です。
おいらん風呂とは、温泉蒸気による蒸し風呂のこと。一人用の寝そべりスペースに穴が開いており、そこから熱い須川の温泉蒸気が上がっています。ゴザを敷いてから穴をふさがない程度(少しお尻を持ち上げて)に寝そべり、毛布などで全身をくるみます。そうすることで、全身が源泉の蒸気で包まれ、ひとり蒸し風呂状態になるのです。これが非常に気持ちよく、デトックス効果も抜群です。毛布等の道具を持っていけば、誰でも自由に体験できます。
写真:八岳木 流泉
地図を見るおいらん風呂をあとにして、もう少しだけ上へ歩いてみます。重装備の登山者とすれ違ったと思えば、浴衣姿の湯治客もいたりと、多面性が面白い須川高原温泉です。
そうしてうしろを振り返ると、そこには赤や黄色の紅葉が。宿の屋根すら埋もれるほどに、波打ち茂る見事な色づきです。露天風呂に入りながら、おいらん風呂で体を休め、紅葉を見て心も鎮める……須川高原温泉にしかないこの三要素。秋の旅先は決まりですね。
東北地方の秋は、早くに始まり早くに終わってしまいます。実際、須川高原の紅葉見ごろは10月いっぱい。加えて、須川高原温泉の営業も、例年11月の初めには終了してしまいます。須川高原の紅葉、真白な源泉、大露天風呂。駆け足で過ぎる秋の須川高原温泉、じっくりゆっくり楽しんでください。
この記事の関連MEMO
- PR -
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索
(2024/3/29更新)
- 広告 -