糠平ダムの少し下流に架かるのは、士幌線が廃止される昭和62年3月まで使用されていた第三音更川橋梁。営業当時沿線には小さな集落が点在しており、駅から険しい山道を通らず線路を歩いて帰宅した人も多かったため、アーチ橋の脇には必ず待避所が設置されています。
NPO法人ひがし大雪自然ガイドセンターでは旧士幌線の遺構を巡るツアーが毎日開催されています。ダム湖の渇水期はタウシュベツ橋梁というダム湖に沈んだ橋梁跡を訪れるツアーが人気ですが、ダム湖が満水となる時期には旧士幌線アーチ橋の遺構巡りも開催されています。
糠平ダムを越えて糠平湖上流域に残る第五音更川橋梁。
士幌線は昭和14年に終着駅の十勝三股まで開業しましたが、昭和52年には1500人居た十勝三股の人口が15人にまで減少した事などを受け、糠平〜十勝三股間が代行バスに切り替えられました。このアーチ橋はその当時に廃線となった区間にあり、国登録有形文化財にも指定されています。
ツアーでは車を県道脇に停め、廃道となった場所を数分歩いてアーチ橋の袂の河原まで降ります。なおガイドセンターでは長靴も貸してくれます。
ツアーはアーチ橋だけではなく、廃駅も訪れます。こちらは旧幌加駅跡。十勝三股のひとつ前にあるので昭和52年には事実上廃止された駅です。
線路とプラットホームが残されている貴重な産業遺産ですが、ガイドセンターの方が管理されているので雑草は刈られ、全体を見渡すことが出来ます。
この駅の周囲には町が存在しましたが、国立公園内という特性上建造物は更地に戻されるため、今では跡形もなく森に帰しています。また、駅構内手前にあるポイントは手動で自由に切り替えることも出来ます。
糠平温泉郷は9軒の宿からなる小さな温泉街ですが、周囲を大雪山国立公園の豊かな自然に囲まれているため、運が良ければ野生の鹿が草を食んでいるなんて光景にも出会えます。また他にもモモンガや野ウサギ、エゾリス、キタキツネなどの動物たちも潜んでいます。
宿泊施設に泊まれば「外湯巡り入浴券」が貰えるので、他の宿泊施設の温泉に入る事も可能。また温泉街の奥にはスキー場もあるので、一年を通して楽しめます。
おすすめの宿は元祖湯元館。昭和元年、糠平で初めて温泉施設を造った老舗旅館です。
お湯はナトリウム・塩化物・炭酸水素塩泉。源泉に近いため温度が高く加水して調整していますが、柔らかくスベスベな肌触り。
露天風呂は北海道の原生林を眺めながらゆっくり浸かれるもので、とても気持ちのいいものです。
ひがし大雪自然ガイドセンターのツアーにはアーチ橋巡り以外にも、農村風景を訪ねるコースやスノーシュー散策、凍った糠平湖でのワカサギ釣りなど様々なコースがあります。ただし、メインとなっているタウシュベツ橋梁見学ツアーはダムの渇水期限定なので終了する時期がその年によって異なります。(2016年は台風被害により満水となったのが例年より三カ月早い8月でした)
アーチ橋見学ツアーの場合、ダムが満水になってから雪が積もるまでの開催で、9時〜と14時〜、それぞれ2時間半で3150円(1人の参加で他の参加者が居ない場合4000円)となります。※2016年現在。
ツアーに参加すれば案内して頂けるばかりでなく、ガイドさんの豊富な知識によって、糠平の自然や歴史についてより深く知る事が出来ます。
また、運が良ければエゾシカやキタキツネに出会えますが、運が悪ければ熊さんと出会ってしまう可能性もあります。ガイドさん無しで訪れる際は熊鈴などの用意を忘れずに。
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