中宮温泉は、金沢市内から車で約2時間の白山の北部にある秘湯(営業している温泉はわずか3軒)であると同時に、霊峰白山への登山道のひとつ「中宮道」の入り口でもあります。
言い換えますと、白山の麓の温泉街というよりも「白山の一部」であり、大自然に抱かれた立地。その山肌の紅葉は見事であり、金沢市内からだけでなく、反対方面の岐阜側(白川郷)からも有料道路である白山白川郷ホワイトロードを通って、例年10月中旬から多くの観光客が紅葉を目当てに訪れるスポットとなっております。
さて紅葉を見るだけではもったいないのがこの中宮温泉です。なぜならこの中宮温泉は「入って良し、飲んで良し」の湯治場だからです。
入れば神経痛や筋肉痛、疲労回復に飲めば胃腸病・慢性消化器病などに良いといわれ、内と外から健康になることのできる稀有な温泉です。飲用にと自前のタンクで汲んで持って帰る人もいるほど、実は湯治ファンには知られた温泉郷なのです。
色は普通の水より少し白く、飲んだ際の味はしょっぱい感じですので、飲用だけでなく調理に相性が良さそうです(写真右の水が温泉水です)。
中宮道を使用して白山の頂上である御前峰(2,702m)を目指すと、コースタイム13時間以上というロングトレイルのため、ここから登ろうという登山者は極めて少ないのが現状です。
一方で、下山道として使用した場合は前泊地の室堂から約12時間(室堂⇒中宮温泉)ですので、健脚の方なら早朝出立すれば夕方には中宮温泉に到着できることになります。
もし白山登山の際に訪れたいなら、中宮道を下山道として使用するのがベターですね。
中宮道の上部は9月下旬から色づき始めますので、白山頂上付近の紅葉が全盛となる10月頃にあわせてアクセスするのが良いでしょう。
中宮温泉には3軒の温泉宿がありますが、宿泊以外でも使い勝手の良いのが2016年8月にリニューアルオープンしたばかりの「くろゆり荘」です。
日帰り入浴やランチもやっているので、昼間に紅葉を楽しんだらぜひ訪れたい宿。ただしこの宿の神髄を味わいたいなら、やはり宿泊するのが良いでしょう。というのもリニューアルオープン後のくろゆり荘は湯治だけでなく「100%天然由来の薬膳料理」で有名であり、夕食では山の幸のフルコースを味わうことが出来るのです。
写真は夕食のいわゆるアンティパスト。山で採れたわらびや温泉水で仕込んだ卯の花、米麹でつくったソースのかかった岩魚のカルパッチョなど、ここでしか食べることのできない料理が並びます。
この後にも天然まいたけの炒め物、近くで仕留められたジビエ(イノシシ)のスープ、岩魚の塩焼き、手作りポン酢&塩こうじで食べる蒸し物、鬼ぐるみなどオーガニックフードのオンパレードです。もちろんご飯は温泉水で炊き込んであります。極めて贅沢なひと時ですね。クロモジなど白山の植物から抽出した薬草茶も新鮮です。
古くから湯治場として知られた中宮温泉では現在、くろゆり荘だけが「湯治」すなわち食料持ち込みの素泊まりに対応しています。景色の良い自炊室には立派なキッチンが備えつけられていますので、最近「胃腸の調子が悪いな〜」という方はこの深山幽谷の中宮温泉で湯治をされてはいかがでしょうか。くろゆり荘には薬膳指導員が駐在しているので、相談してみてもOKですね。
中宮温泉は基本的に車またはバイクでのアクセスになります。
公共交通機関を利用される場合は平日のみですが、コミュニティバス(デマンドバスですので予約が必要!)が瀬女バス停から出発していますので、金沢市内から瀬女までバスで向かいましょう。
なお中宮道を歩いていく場合は明瞭で道迷いはないと思いますが、一部道幅が狭い箇所がありますので、重い荷物を背負って行かれる場合はあせらず、途中にある無人の避難小屋(2か所ありますが水場のあるゴマ平避難小屋がオススメです)に一泊しましょう。
では気を付けていってらっしゃいませ〜
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