写真:菊原 朝香
地図を見る殿様湯は佐賀県武雄市の武雄温泉に、江戸時代半ばに藩主の武雄鍋島氏専用の浴室として造られました。浴槽や床は見事な総大理石。白と黒の大理石を組み合わせた千鳥格子の、当時としてはモダンな雰囲気の造りになっています。
広い休憩室の奥の扉を開けると長い廊下。そのつきあたりのドアを開けて階段を下りると大きな鏡がかかった白木造りの広い脱衣所が。左手の短い階段の下に目をやると隔てるものもなく、すぐそこは浴室……脱衣所と浴室は短い大理石の階段で結ばれているだけで同じ空間にあります。
ドドドドッと豪快に湯口から滝のように流れ落ちる温泉に心躍ります。壁は白木造りのため、清潔感がより感じられるのもポイント。思い切り手足を伸ばしてもありあまる広くてゆったりした大きな浴槽。天井がとても高いためその空間のゆとりと贅沢さが相まって、思わず「はあぁ〜」と声が出てしまう気持ちよさです。
あのシーボルトもこの浴槽につかったんだなぁと思いながらつかる湯は、これまた感慨深いものがあります。23時までと、公衆浴場としては遅くまで営業しているのも魅力。
写真:菊原 朝香
地図を見るお殿様が使っていたというだけあって、休憩室(4畳と4.5畳の二間つづきと広縁)も浴場も脱衣所も空間を贅沢に使った造りでとても快適です。休憩室はドライヤーや扇風機やエアコン、歴史を感じる鏡台があって、湯あがりに必要な最低限のものはそろっています。ドライヤーは脱衣所にもあります。木製の棚の中には実際にお殿様が使っていた物が何点か展示されてもいます。
タオルは大小ともに貸してくれますし、シャンプー・リンス・ボディシャンプーなどもあるので、手ぶらでも大丈夫。それどころか日本茶のセット一式とお湯がたっぷり入ったポットが休憩室に用意されているので、湯上がりにゆったり扇風機で涼みながらお茶を一服しつつ、畳でごろごろできちゃいます。うーん贅沢。特にこの温泉、体の芯まであたたまるため湯あがり後の汗は半端ないだけに、こんな時間が至福のひとときなのです。
タオルなどのレンタル料金は部屋代に含まれています。1時間1部屋の値段なので一人でも大人数でも値段は同じ。なので複数で行くとお得ではあります。定員は決められていませんが、浴槽は3〜4人くらいなら十分つかれるサイズですし。でもあえての一人をオススメします。もしくは2人。せっかくですから贅沢気分満喫したいもの。
写真:菊原 朝香
地図を見る武雄温泉の公衆浴場は、実は殿様湯だけではありません。貸切湯は2つ。殿様湯よりも少しリーズナブルな貸切湯「家老湯」、通常タイプの家族風呂「柄崎亭」。家老湯は4畳半の休憩室があります。定員は設けてないですが、浴槽の大きさから一度に入れるのは2名くらい。柄崎亭は家族風呂5つで構成されています。武雄温泉の中では比較的新しい施設です。
唯一露天風呂のあるのが鷺乃湯。日本庭園を眺めながらのんびり湯につかれます。また宿泊施設「旅館楼門亭」の大浴場でもあるので、ここに宿泊すれば鷺乃湯入り放題!
昭和ノスタルジックが好きな方は元湯、蓬莱湯でのんびりまったり。午前6時の営業前から長蛇の列ができるのがこの2つ。昭和の銭湯といったムードがたっぷり。庶民の憩いの場といった風で、湯あがりに牛乳をキュッと一杯やりたくなります。蓬莱湯は男女それぞれタイル張りの内湯が1つずつ、元湯は男女それぞれぬる湯とあつ湯の木造内湯が2つという、全く違うタイプの浴槽が楽しめます。
写真:菊原 朝香
地図を見る武雄温泉の公衆浴場は、どの風呂も同じ源泉の湯が使われています。泉質は美人の湯の代表格ともいえるアルカリ性単純泉。少しぬるぬるとする、女性が大好きな湯の感触です。余分な皮脂や角質をとってくれるので肌がつるつるになる効果が期待できます。
湯あがりはさっぱりとした肌ざわり。湯あがり後のスキンケアではぐんぐん化粧水を吸い込んでくれますよ。肌にやさしい泉質なので1日に3〜4度ほど入浴できますが、湯あがり後には毎回必ず保湿をしましょう。肌の角質や油脂が落とされる分、水分も抜けやすくなっています。
ちなみに殿様湯と家老湯は、一切加工なしの100%源泉かけながし。源泉温度が高いのですが、泉温23℃のもう一本の源泉とをブレンドして適温になるように調節しています。それでも熱い場合は自分で水道水を入れて調節します。内線電話で湯口からの湯を止めてもらうことも可能です。
受付はそれぞれの湯の入り口にあるので、その都度料金を支払う形になります。料金や営業時間、住所などの詳細については、関連MEMOの「武雄市観光協会」のHPに記載されています。「温泉」のカテゴリーから該当の湯の部分をご覧になってくださいね。
写真:菊原 朝香
地図を見る武雄温泉街のシンボルともなっている楼門と新館(現在は資料館)は、国指定重要文化財でもあります。
特に楼門は設計者「辰野金吾」の遊び心がきいていて、こっそりと彼ならではのいたずらが隠されているといわれています。もう1つ、彼が設計した有名な建築物に東京駅の駅舎があります。この八角ドーム天井にある8つの動物(丑、虎、辰、巳、羊、猿、犬、亥)のレリーフと、楼門天井のレリーフに刻まれた4つの動物(子、卯、午、酉)を合わせると干支の十二支がそろうようになっています。実際に彼がそのつもりでそう設計したという確固たる史料はありませんが、状況から言ってその可能性はとても高いと考えられています。
これだけでも一見の価値アリですよね。
いかがでしたか?殿様湯、入ってみたくなりましたか?温泉好きにも建築物好きにも必見ということがよくおわかりいただけたかと思います。また殿様湯で殿様気分にひたるもよし、湯治として元湯などにのんびり入りびたるもよし。同じ温泉なのに、ひとところで全然違う雰囲気が味わえる。いろんな楽しみ方ができるのが武雄温泉の醍醐味でもあります。温泉街の他の旅館に宿泊して、気分転換に遊びに来るのもアリですよね。
武雄は実は焼物の名窯が多いことでも知られています。湯飲みなら一度に12万個も焼けてしまうという全長23mの世界一の登り窯「飛龍窯(ひりゅうがま)」は必見です。「武雄バーガー」や佐賀牛A5ランクを使った駅弁「佐賀牛弁当」といったB級グルメもはずせない。また宮本武蔵が使ったといわれる井戸が残る東洋館や日本最強パワースポット武雄神社など歴女垂涎の場所も。
湯あがりに色んな武雄温泉を楽しんでみてください。どこに行こうか迷ったら温泉街にある「まちなか案内所がばい」で。笑顔のステキなお姉さんが、武雄の特産レモングラスティーとともに詳しく色々教えてくれますよ。
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(2024/3/19更新)
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